2016年10月17日月曜日

【読了】C.S.ルイス著〔土屋京子訳〕『ナルニア国物語① 魔術師のおい』

北アイルランド生まれの小説家
クライブ・ステープルス・ルイス
(Clive Staples Lewis, 1898年11月29日生-1963年11月22日没)
の長編小説『魔術師のおい The Magician's Nephewを読みました。

全7巻からなる『ナルニア国物語』の1冊で、
著者56歳の時(1955年5月)に刊行されました


  ***

『ナルニア国物語』は、
瀬田貞二(せたていじ, 1916.4-1979.8)氏の
翻訳で長らく親しまれてきました。

今年の夏に古本屋で
全巻(7冊700円!)を手に入れて、
この機会に読んでみようと思っていたのですが、

9月に土屋京子(つちやきょうこ, 1956- )氏の
新訳が刊行されました。

読み比べてみるとさすがに旧訳から60年をへて、
土屋訳のほうがわかりやすい整った訳文でしたので、
新訳で読み進めることにしました。


瀬田訳と土屋訳には巻次に違いがあります。

瀬田訳は、
1966年5月から12月にかけて岩波書店から刊行されました
その際、もともとの出版順に番号がつけられていました。

◎瀬田貞二(せたていじ, 1916.4-1979.8)訳
ナルニア国ものがたり(瀬田訳)
 1『ライオンと魔女』
  (1950年10月英国、同年11月米国)⇒1966年5月刊行
 2『カスピアン王子のつのぶえ』
  (1951年10月英国、52年9月米国)⇒1966年7月刊行
 3『朝びらき丸 東の海へ』
  (1952年9月英国・米国)⇒1966年8月刊行
 4『銀のいす』
  (1953年9月英国、10月米国)⇒1966年10月刊行
 5『馬と少年』
  (1954年9月英国、10月米国)⇒1966年11月刊行
 6『魔術師のおい』
  (1955年5月英国、10月米国)⇒1966年9月刊行
 7『さいごの戦い』
  (1956年3月英国、9月米国)⇒1966年12月刊行

今回、土屋京子氏の新訳では7巻を出版順ではなく、
物語の時系列にそって並べ直してあります。

◎土屋京子(つちやきょうこ, 1956- )訳
ナルニア国物語(土屋訳)
 1『魔術師のおい』
  (1955年5月英国、10月米国)⇒2016年9月刊行
 2『ライオンと魔女と衣装だんす』
  (1950年10月英国、同年11月米国)⇒※2016年12月刊行予定。
 3『馬と少年』
  (1954年9月英国、10月米国)⇒※2017年3月刊行予定。
 4『カスピアン王子』
  (1951年10月英国、52年9月米国)⇒※2017年6月刊行予定。
 5『ドーン・トレッダー号の航海』
  (1952年9月英国・米国)⇒※2017年9月刊行予定。
 6『銀の椅子』
  (1953年9月英国、10月米国)⇒※2017年12月刊行予定。
 7『最後の戦い』
  (1956年3月英国、9月米国)⇒※2018年3月刊行予定。

土屋氏によると、

「著者C・S・ルイス自身がこの順番で
 七巻の作品が読まれるよう希望していたことから、
 現在、欧米で出版されている『ナルニア国物語』は
 この時系列順の列べかたが標準となっている」

そうです(文庫「訳者あとがき」321頁)。

そんなわけで最初に手にとるのは、
『魔術師のおい』と呼ばれる1冊ということになります。


  ***


C.S. ルイス著
土屋京子訳
『ナルニア国物語① 魔術師のおい』
(光文社古典新訳文庫、2016年9月)

初めて読んでみると、

ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』や、
J・M・バリーの『ピーター・パン』を読んだ時のような、
独特な毒や、取っ付きにくさを感じることはなく、

常識的な感覚に彩られた
安心して読める子供向けの小説として、
すんなり読み進めることができました。

子供の頃にふと出会っていたら、
もっと大きな感動を味わえたはずですが、
今読んでもふつうに楽しめる内容でした。

ナルニア国創世の場面の状況描写が美しく、
(日本語だと多少まどろっこしい感じもあるので)
英語で読んだらどんなだろうと興味がわいて来ました。

圧倒的な感動とまではいかないのですが、
ぜひ続刊を読み進めたいと思いました。

0 件のコメント:

コメントを投稿