現役の外交官である
冨田浩司(とみたこうじ 1952- )氏による
イギリスの政治家ウィンストン・チャーチル
(Winston Churchill, 1874年11月30日-1965年1月24日)
の評伝を読み終えました。
冨田浩司著
『危機の指導者チャーチル』
(新潮選書、2011年9月)
冨田氏の略歴については、表紙カバーのそでに、
「1957年、兵庫県生まれ。東京大学法学部卒。1981年に外務省に入省し、(中略)在英国日本大使館公使を経て、2009年から北米局参事官に就任(日米安保関係等を担当)。英国には、研修留学(オックスフォード大学)と2回の大使館勤務で、計7年間滞在」
とまとめてありました。執筆の経緯については、本書のあとがきに、
「本書は、二〇〇六年から〇九年まで、筆者がロンドンの日本大使館に勤務していた間に書きためた素材を基にしている。しかし、チャーチルに対しては、一九八〇年代前半の最初の英国勤務時代から関心を抱き続けてきたので、筆者にとっては二十数年越しのプロジェクトと言える」
と記してありました(301頁)。
昨年の5月に
足沢良子氏による子供向けの伝記を読んだのに続く、
2冊めのチャーチルです。
テーマを7章にしぼりながら
チャーチルの生涯を大まかに描いていく
大人の一般向けのチャーチル入門といった体裁で、
興味深く読み進めることができました。
日本人による先行研究への言及はほとんどないのですが、
直接原書に当たられて、
イギリスにおける最近のチャーチル研究を
筆者なりに消化されている点がありがたく、
非常に勉強になりました。
さまざまな方面への目配りを利かせて、
いろいろな内容を詰め込みながらも、
全体がうまく調和して、飽きずに最後まで読み通せたのは、
冨田氏の筆力の賜物でしょう。
読了後、この稀有な人物への興味が益々大きくなりました。
チャーチルへの愛情を基調とした書物であることは確かなので、
大人向けの最初の1冊としてお薦めできると思います。
チャーチルにもまたすぐに戻ってくるつもりですが、
次は、私が中学生のころに現役で活躍されていた記憶の残る、
レーガンとサッチャーの評伝を読もうと思っていて、
すでに手に入れてあります。
ニコラス・ワプショット著
久保恵美子訳
『レーガンとサッチャー 新自由主義のリーダーシップ』
(新潮選書、2014年2月)
この著者にはハイエクとケインズの評伝もあって、
そちらも気になっています。
読み終えたらまたこちらで紹介します。
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