2017年2月14日火曜日

【150冊目】George Eliot, Silas Marner (PR Level 3)

やさしい英語の本、通算150冊目は、
ペンギン・リーダーズのレベル3(1200語レベルの)の14冊目として、

イギリスの小説家
ジョージ・エリオット
(George Eliot, 1819年11月22日-80年12月22日)の
小説『サイラス・マーナー』を読みました。

男性の筆名(ジョージ)を用いていますが、女性です。
著者41歳の時(1860年11月-61年3月)に執筆された作品です


George Eliot
Silas Marner

Retold by A.J. Brayley
〔Penguin Readers Level 3〕
First published in the Longman Structural Readers Series 1968
This edition copyright (c)Penguin Books Ltd 1999
19,630語

これも本当は、
ペンギン・アクティブ・リーディングのレベル3
(1200語レベル)で読む予定だったのですが、


ペンギン・アクティブ・リーディングのシリーズが
現在、一時的に購入できない状態が続いているので、

ペンギン・リーディングのシリーズにさかのぼって、
購入し読んでみることにしました。


  ***

翻訳は次のようなものが見つかりました。
(CiNii と Amazon の検索による。未見のものを含む。)

①今泉浦治郎(いまいずみうらじろう)訳
 『サイラス・マアナ』
 (警醒社書店、1923年5月)

②土井治(どいおさむ)訳
 『サイラス・マーナー(上・下)』
 (岩波文庫、1952年6・7年。改版1巻本、1988年8月)☆改版を購入済。

③工藤好美(くどうよしみ)・淀川郁子(よどがわいくこ)訳
 「サイラス・マーナー」
 (河出書房〔世界文学全集 第2期6〕1955年11月)
  ※河出書房新社〔世界文学全集22 特製豪華版〕1961年11月に再録。
  ※文泉堂出版〔ジョージ・エリオット著作集2〕1994年8月に再録。

④工藤好美・淀川郁子訳
 新川和江(しんかわかずえ)文
 「サイラス=マーナー」
 (小学館〔少年少女世界の名作文学5 イギリス編3〕1968年5月)☆購入済。
  ※小学館〔少年少女世界の名作文学3 イギリス編3-4〕1977年5月に再録。

⑤吉田絃二郎(よしだげんじろう)訳
 『サイラス・マーナー』
 (大日本雄弁会講談社〔世界名作全集43〕1957年6月)

②と④を購入しました。

②岩波文庫の土井治訳は、
改版のものを手に入れました。

読んで読めないことはないのですが、
多少回りくどく、65年前の古さを感じました。

エリオットの作品自体、
冗長でまわりくどいところがあるので、

読ませる力のある訳文でないと、
全訳で読破するのは辛いように思いました。

④は、新川和江氏による編訳ですが、
工藤好美・淀川郁子両氏の共訳(③)をもとに、
全体をわずか70頁ほどで(279-350頁)わかりやすくまとめてありました。

全体のあらすじを知るには一番ですが、
さすがに手短過ぎるようにも感じました。

そのほか2011年12月から
『ジョージ・エリオット全集』(彩流社)が刊行中であり、
現在、全10巻(12冊)のうち5冊目まで刊行されています。
『サイラス・マーナー』は当初、4回目の配本予定(第4巻)でしたが、未刊。


  ***

全訳で読もうとすると、
文章の一つ一つがまわりくどく冗長な感じがあって、
良い作品なのか判断に困るところがあったのですが、

やさしい英語で読むと、
元々のストーリーそのものは面白く、

次の展開を期待しながら、
最後まで楽しみつつ読み終えることができました。

特に小説の中間部、
主人公サイラスが赤ん坊と偶然出会ったあたりからの記述は、
女性ならではの暖かなぬくもりのある視点に貫かれていて、
読んでいて新鮮な感動に誘われました。

伝統的な価値観を否定するような作品ではないので、
現代的な流行からは外れているのかもしれませんが、

誰もがよくわかるテーマを用い、
読ませる作品を書くことは、
実力のある作家なればこそだと思うので、
エリオットのほかの作品もぜひ読んでみたくなりました。


※第150冊目。総計1,374,681語。

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