ペンギン・リーダーズのレベル3(1200語レベルの)の15冊目として、
アメリカの作家
マージョリー・キナン・ローリングズ
(Marjorie Kinnan Rawlings, 1896年8月8日-1953年12月14日)の
小説『子鹿物語』を読みました。
著者41歳の時(1938年3月)に刊行された作品です。
Marjorie Kinnan Rawlings
The Yearling
Retold by Coleen Degnan-Veness
〔Penguin Readers Level 3〕
Published by Penguin Books 2001
10,870語
これも本当は、
ペンギン・アクティブ・リーディングのレベル3
(1200語レベル)で読む予定だったのですが、
ペンギン・アクティブ・リーディングのシリーズが
一時的に購入できなくなっているので、
ペンギン・リーディングにさかのぼって、
購入し読んでみることにしました。
***
『子鹿物語』は子どものころに、
ちゃんと読んだ記憶がありません。
それでもおぼろげながらあらすじを知っているのは、
小学生のころに、
1983年11月から85年1月にかけてNHK総合テレビで放映された
アニメ『子鹿物語 The Yearling 』(全52話)の影響だと思います。
全編しっかり観た記憶はなく、
むしろほとんど忘れていたのですが、
今回とある動画サイトで視聴できた
オープニングとエンディングの音楽をよく覚えていました。
アニメ版は現在、著作権の問題があるのか、
DVDなどで簡単に購入できる状態にはないようです。
映像で観るなら、
ふつうは実写版の映画のほうでしょうか。
1938年3月の原著刊行後間もなく、
クラレンス・ブラウン(Clarence Brown, 1890-1987)監督
のもとで映画化され(1946年12月に米国公開)、日本でも
1949年6月に『子鹿物語』というタイトルで公開されています。
アニメ版以上に名前はよく知っていましたが、
観たことがなかったので最近購入しました。
ただ映画を観るまでもなく、
やさしい英語のほうを読み終わってしまったので、
今後の楽しみに取ってあります。
***
翻訳は調べ出したら意外にたくさんあったので、
まとまり次第、ブログにアップします。
とりあえず、はじめに購入した3点を掲げておきます。
最新の翻訳は、2008年に刊行された
光文社古典新訳文庫の土屋京子(つちやきょうこ)訳です。
土屋京子訳
『鹿と少年(上・下)』
(光文社古典新訳文庫、2008年4月◇420・434頁)
※のちに『仔鹿物語』と改題して再刊(2012年11月)。
読みやすい訳文に仕上がっているはずですが、
想像していたより荒々しい硬派な所のある小説で、
少々とっつきにくい印象もありました。
他の翻訳ならどうかと思って、
偕成社文庫の大久保康雄(おおくぼやすお)訳を手に入れてみました。
大久保康雄訳
『子鹿物語(上・中・下)』
(偕成社文庫、1983年11月◇319・280・294頁)
『風と共に去りぬ』の名訳で知られる
大久保氏の翻訳ならと期待していたのですが、
読んでみると幾分古めかしい印象があって、
必ずしも読みやすい訳文とは言えませんでした。
偕成社文庫は1983年の刊行ですが、調べてみると、
大久保訳の初出は原著刊行後間もなくの1939年のことでした。
ほかにも度々再刊されているので、
気が付いた範囲で大久保訳を掲げておきます。
『一歳仔(イヤリング)』(三笠書房、1939年8月◇491頁)
『イヤリング(1・2)』(日比谷出版社、1949年9月◇281・328頁)
『仔鹿物語』(三笠書房〔百万人の世界文学1〕1953年◇351頁)
『仔鹿物語(上・下)』(角川文庫、1954年◇313・301頁)
『子鹿物語』(平凡社〔世界名作全集32〕1960年12月◇588頁)
『子じか物語』(小学館〔少年少女世界名作文学全集45〕1964年◇315頁)
もう一人、
講談社文庫の繁尾久(しげおひさし)訳も手に入れました。
繁尾久訳
『子鹿物語(上・下)』
(講談社文庫、1983年3月◇312・316頁)
※初出は旺文社文庫(1968年8月◇320・340頁)
大久保訳よりもこなれた印象はありますが、
やはり原文の難解さゆえか、特別読みやすい訳文とは言えないように思いました。
1968年の繁雄訳から2008年の土屋訳まで、
完訳は40年余り出ていなかったようです。
原著には独特の読みにくさがあるようなので、
必ずしも完訳にこだわる必要はないようにも思いますが、
完訳なら最新の土屋訳を選ぶのがベストということになるでしょう。
***
やさしい英語では、
映画のあらすじをたどるような印象で、
あっさりと読み終わることができました。
しかし話の筋そのものが興味深く、
クライマックスの強烈な印象とともに、
大きく心を揺さぶられました。
個人的には、母親の描き方が一貫して厳しく、
冷酷に感じられるところがあまり好きにはなれないのですが、
今後改めて、しっくりと読み返したい1冊になりました。
※第151冊目。総計1,385,551語。
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