やさしい英語の本、通算155冊目は、
ペンギン・リーダーズのレベル3(1200語レベルの)の19冊目として、
イングランドの詩人ジェフリー・チョーサー
(Geoffrey Chaucer, 1343年頃-1400年10月)の
物語集『カンタベリー物語 The Canterbury Tales 』を読みました。
『カンタベリー物語』は、
フィレンツェの詩人ジョバンニ・ボッカッチョ
(Giovanni Boccaccio, 1313年-1375年12月)の
物語集『デカメロン Decameron 』に影響を受けた作品として知られ、
当時主流のラテン語でなく、
イタリア語で書かれた『デカメロン』に呼応して、
中世英語で書かれた代表的な文学作品としても知られるそうです。
Geoffrey Chaucer
The Canterbury Tales
Retold by Joanna Strange
〔Penguin Readers Level 3〕
First published by Penguin Books 2000
This edition published 2008
20,739語
昨年の秋頃に手に入れていたのですが、
堅苦しそうな感じがして読まずに置いてありました。
実際に読んでみると、
世俗のユーモア満載の楽しいお話で、
最後までスイスイ読み進めることができました。
このやさしい英語版には、
次の8話が収録されていました。
The Prologue(ぷろろぐ)
The Knight's Tale(騎士の話)
The Clerk's Tale(学僧の話)
The Wife of Bath's Tale(バースの女房の話)
The Pardoner's Tale(赦罪状売りの話)
The Franklin's Tale(郷士の話)
The Friar's Tale(托鉢僧の話)
The Nun's Priest's Tale(尼院侍僧の話)
※各話の邦題は、西脇順三郎訳『カンタベリ物語』に従いました。
もとより8話のみの作品ではなく、
手元にある西脇順三郎訳『カンタベリ物語』
(ちくま文庫、1987年4・5月)では全24話が収録されています。
未完に終わった作品であるため、
長編の整ったプロローグ(序章)に対応するはずの
エピローグ(終章)が存在しません。
また、各物語の前後関係もそれほど明確ではなく、
未完の物語が途中に挟まれていたりもして、
構成上の不備はそれなりに目立つのですが、
各物語のもつ素朴な魅力が、
それらの欠点を補って余りあるということでしょう。
中世英語で書かれているので、
なかなか原文で読むわけにはいかないでしょうが、
まずは翻訳で、全体を読んでみたいと思いました。
翻訳については、
調べてみるとたくさん出て来たので、
別のブログでまとめ直したいと思います。
※第155冊目。総計1,445,822語。
※桝井迪夫著『チョーサーの世界』(岩波新書、1976年5月)、斎藤勇著『カンタベリ物語 中世人の滑稽・卑俗・悔悛』(中公新書、1984年12月)を参照。
2017年4月29日土曜日
2017年4月24日月曜日
石田勇治著『ヒトラーとナチ・ドイツ』(講談社現代新書、2015年6月)
毛沢東の評伝を読んだのに続いて、
ヒトラーに関する平易な入門書を1冊読みたいと思っていました。
本屋でふと手にした
東京大学大学院総合文化研究科(地域文化研究専攻)教授の
石田勇治(いしだゆうじ)氏による概説がとてもわかりやすく、
一気に読み終えることができました。
石田勇治著
『ヒトラーとナチ・ドイツ』
(講談社現代新書、2015年6月)
ドイツの近現代史について、
ほとんど知識のない状態で読みましたが、
そんな私にも読みやすい文章だったので助かりました。
第一次世界大戦の敗戦と同時に、
帝政を廃止して共和制を導入し、
民主的なワイマール憲法を公布し、
近代的な議会制民主主義が導入されたはずのドイツ国民が、
その後ヒトラーを選択するまで、
20年しか経っていなかったことに驚きました。
毛沢東と比べると、
ありきたりな政治的な手段を用い、
(プロバガンダや暴力に流れる傾向があったとはいえ、)
わりと真っ正面から選挙を戦って、
選挙に圧勝することで政権を手に入れ、
政治的に瑕疵のない手法によって、
ヒトラーが全権を掌握していく様子は、
もっと強引な手法を想定していたので、
意外な印象が残りました。
これならどこかでヒトラーを止められたのではないかと。
著者の石田氏については、カバーの扉に
「東京外国語大学卒業、
東京大学大学院社会学研究科(国際関係論)修士課程修了、
マールブルク大学社会科学哲学部博士課程終了、Ph.D.取得。
現在、東京大学大学院綜合文化研究科(地域文化研究専攻)教授。
専門はドイツ近現代史、ジェノサイド研究。」
とありました。
専門の先生の書かれる本は、
とっつきにくいことが多いのですが、
石田氏の文章は素人の私にもわかりやすかったです。
何となくの印象に過ぎませんが、
ヒトラーは第2次世界大戦の終了前に死亡しているので、
毛沢東に比べれば、遥かに重厚な研究の蓄積があるように感じました。
調べてみると、石田氏は
ほかにも概説を2冊書かれているようなので、
近々手に入れて読んでみようと思います。
石田勇治著
『20世紀ドイツ史』
(白水社〔シリーズ・ドイツ現代史Ⅰ〕2005年7月)
石田勇治編著
『図説 ドイツの歴史』
(河出書房新社〔ふくろうの本〕2007年10月)
ヒトラーに関する平易な入門書を1冊読みたいと思っていました。
本屋でふと手にした
東京大学大学院総合文化研究科(地域文化研究専攻)教授の
石田勇治(いしだゆうじ)氏による概説がとてもわかりやすく、
一気に読み終えることができました。
石田勇治著
『ヒトラーとナチ・ドイツ』
(講談社現代新書、2015年6月)
ドイツの近現代史について、
ほとんど知識のない状態で読みましたが、
そんな私にも読みやすい文章だったので助かりました。
第一次世界大戦の敗戦と同時に、
帝政を廃止して共和制を導入し、
民主的なワイマール憲法を公布し、
近代的な議会制民主主義が導入されたはずのドイツ国民が、
その後ヒトラーを選択するまで、
20年しか経っていなかったことに驚きました。
毛沢東と比べると、
ありきたりな政治的な手段を用い、
(プロバガンダや暴力に流れる傾向があったとはいえ、)
わりと真っ正面から選挙を戦って、
選挙に圧勝することで政権を手に入れ、
政治的に瑕疵のない手法によって、
ヒトラーが全権を掌握していく様子は、
もっと強引な手法を想定していたので、
意外な印象が残りました。
これならどこかでヒトラーを止められたのではないかと。
著者の石田氏については、カバーの扉に
「東京外国語大学卒業、
東京大学大学院社会学研究科(国際関係論)修士課程修了、
マールブルク大学社会科学哲学部博士課程終了、Ph.D.取得。
現在、東京大学大学院綜合文化研究科(地域文化研究専攻)教授。
専門はドイツ近現代史、ジェノサイド研究。」
とありました。
専門の先生の書かれる本は、
とっつきにくいことが多いのですが、
石田氏の文章は素人の私にもわかりやすかったです。
何となくの印象に過ぎませんが、
ヒトラーは第2次世界大戦の終了前に死亡しているので、
毛沢東に比べれば、遥かに重厚な研究の蓄積があるように感じました。
調べてみると、石田氏は
ほかにも概説を2冊書かれているようなので、
近々手に入れて読んでみようと思います。
石田勇治著
『20世紀ドイツ史』
(白水社〔シリーズ・ドイツ現代史Ⅰ〕2005年7月)
石田勇治編著
『図説 ドイツの歴史』
(河出書房新社〔ふくろうの本〕2007年10月)
2017年4月15日土曜日
【154冊目】H.E.Bates, The Darling Buds of May (PR Level 3)
やさしい英語の本、通算154冊目は、
ペンギン・リーダーズのレベル3(1200語レベルの)の18冊目として、
イギリスの作家
ハーバート・アーネスト・ベイツ
(Herbert Ernest Bates, 1905年5月16日-1974年1月29日)の
小説『五月のすてきな新芽たち
The Darling Buds of May 』
を読みました。
H.E. Bates
The Darling Buds of May
Retold by Annette Keen
〔Penguin Readers Level 3〕
This edition first published by Pearson Education Ltd 2008
12,357語
本書は、ベイツが53歳の時(1958)に刊行されました。
すぐにアメリカで映画化され、
1959年4月に「Mating Game 」という題名で公開されました。
本国イギリスでは、
刊行後30年過ぎてからテレビドラマ化され、
1991年4月から93年4月にかけて、20回にわけて、
原題のまま(The Darling Buds of May )で公開されました。
※Wikipediaの「The Darling Buds of May (novel) 」「Mating Game (film)」「The Darling Buds of May (TV series)」を参照。
まったく知らなかった小説ですが、
そんなに深刻でない、軽めの雰囲気で、
読んで心が暖かくなる、家族の愛情にあふれた楽しい作品でした。
日本人が読んでも十分楽しめる小説だと思うのですが、
映画もテレビドラマも、日本では公開されなかったからか、
翻訳は出ていません。
雰囲気としては
モンゴメリの『赤毛のアン』から、
深刻な要素(死や老い)を取り除いた感じでしょうか。
いずれ原著でも読んでみたい1冊になりました。
邦訳は短編集が何冊か出ているようなので、
調べてからブログにアップしたいと思います。
※第154冊目。総計1,425,083語。
ペンギン・リーダーズのレベル3(1200語レベルの)の18冊目として、
イギリスの作家
ハーバート・アーネスト・ベイツ
(Herbert Ernest Bates, 1905年5月16日-1974年1月29日)の
小説『五月のすてきな新芽たち
The Darling Buds of May 』
を読みました。
H.E. Bates
The Darling Buds of May
Retold by Annette Keen
〔Penguin Readers Level 3〕
This edition first published by Pearson Education Ltd 2008
12,357語
本書は、ベイツが53歳の時(1958)に刊行されました。
すぐにアメリカで映画化され、
1959年4月に「Mating Game 」という題名で公開されました。
本国イギリスでは、
刊行後30年過ぎてからテレビドラマ化され、
1991年4月から93年4月にかけて、20回にわけて、
原題のまま(The Darling Buds of May )で公開されました。
※Wikipediaの「The Darling Buds of May (novel) 」「Mating Game (film)」「The Darling Buds of May (TV series)」を参照。
まったく知らなかった小説ですが、
そんなに深刻でない、軽めの雰囲気で、
読んで心が暖かくなる、家族の愛情にあふれた楽しい作品でした。
日本人が読んでも十分楽しめる小説だと思うのですが、
映画もテレビドラマも、日本では公開されなかったからか、
翻訳は出ていません。
雰囲気としては
モンゴメリの『赤毛のアン』から、
深刻な要素(死や老い)を取り除いた感じでしょうか。
いずれ原著でも読んでみたい1冊になりました。
邦訳は短編集が何冊か出ているようなので、
調べてからブログにアップしたいと思います。
※第154冊目。総計1,425,083語。
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