◎サン=テグジュペリ著『星の王子さま』翻訳目録(抄)
やさしい英語で『星の王子さま』を読んだのを機会に、
現在刊行されている翻訳について調べてみました。
本業が忙しく、
図書館などで現物を確認できない立場にいるので、
未見のものも含まれています。
今後、適宜修正を加えていく予定です(2017年8月20日)
***
サン=テグジュペリ著
内藤濯(ないとうあろう)訳
『星の王子さま ― プチ・プランス』
(岩波少年文庫53、1953年3月◇159頁)
⇒『星の王子さま』
(岩波少年文庫2010、改版、1976年3月◇161頁)
⇒『星の王子さま』
(岩波少年文庫001、新版、2000年6月◇175頁)
⇒『星の王子さま』
(岩波書店〔岩波の愛蔵版1〕1962年月◇140頁)
⇒『星の王子さま』
(岩波書店〔岩波世界児童文学集1〕1993年4月◇161頁)
⇒『星の王子さま』
(岩波文庫、2017年7月◇224頁)
小島俊明(こじまとしあき)訳
『新訳 星の王子さま』
(中央公論新社、2005年6月◇112頁)
⇒『星の王子さま』
(中公文庫、2006年3月◇149頁)
三野博司(みのひろし)訳
『星の王子さま』
(論創社〔Ronso fantasy collection 1〕2005年6月◇142頁)
倉橋由美子(くらはしゆみこ)訳
『新訳 星の王子さま』
(宝島社、2005年7月◇158頁)
⇒『新訳 星の王子さま』
(宝島社文庫、2006年6月◇165頁)
山崎庸一郎訳
『小さな王子さま』
(みすず書房、2005年8月◇119頁)
池澤夏樹(いけざわなつき)訳
『星の王子さま』
(集英社、2005年8月◇125頁)
⇒『星の王子さま』
(集英社文庫、2005年8月◇143頁)
⇒『絵本 星の王子さま』
(集英社、2006年10月●69頁)
⇒『星の王子さま』
(岩崎書店、2009年10月●60頁)
※ポップアップ(しかけ)絵本
川上勉(かわかみつとむ)・
廿樂美登利(つずらみどり)訳
『プチ・プランス ― 新訳 星の王子さま』
(グラフ社、2005年10月◇199頁)
藤田尊潮(ふじたそんちょう)訳
『小さな王子 ― 新訳『星の王子さま』』
(八坂書房、2005年10月◇139頁)
石井洋二郎(いしようじろう)訳
『星の王子さま』
(ちくま文庫、2005年12月◇163頁)
辛酸なめ子(しんさんなめこ)訳・絵
『「新」訳 星の王子さま』
(コアマガジン、2005年12月◇127頁)
稲垣直樹(いながきなおき)訳
『星の王子さま』
(平凡社ライブラリー562、2006年1月◇179頁)
河野万里子(こうのまりこ)訳
『星の王子さま』
(新潮文庫、2006年4月◇158頁)
河原泰則(かわはらやすのり)訳
『小さな星の王子さま』
(春秋社、2006年5月◇175頁)
谷川かおる(たにがわかおる)訳
『星の王子さま』
(ポプラポケット文庫、2006年7月◇164頁)
野崎歓(のざきかん)訳
『小さな王子』
(光文社古典新訳文庫、2006年9月◇174頁)
三田誠広(みたまさひろ)訳
『星の王子さま』
(講談社青い鳥文庫、2006年11月◇189頁)
奥本大三郎(おくもとだいさぶろう)訳
『星の王子さま』
(白泉社、2007年10月●45頁)
浅岡夢二(あさおかゆめじ)訳
葉祥明(ようしょうめい)絵
『星の王子さま』
(ゴマブックス、2008年11月●99頁)
⇒『大活字名作シリーズ 星の王子さま』
(ゴマブックス、2017年2月◇198頁)
たまだまさお漫画
『漫画で蘇る星の王子さま』
(PHP研究所〔クラシックcomic〕2009年3月◇160頁)
管啓次郎(すがけいじろう)訳
『星の王子さま』
(角川文庫、2011年6月◇158頁)
⇒西原理恵子(さいばらりえこ)絵
『星の王子さま』
(角川つばさ文庫、2011年6月◇172頁)
⇒『完訳絵本 星の王子さま』
(KADOKAWA、2015年10月●77頁)
永嶋恵子(ながしまけいこ)訳
中村みつえ(なかむらみつえ)絵
『星の王子さま』
(KKロングセラーズ、2013年3月◇239頁)
内藤あいさ(ないとうあいさ)訳
『星の王子さま』
(文芸社文庫、2013年9月◇137頁)
工藤直子(くどうなおこ)訳
『絵本で出会う 星の王子さま』
(ひさかたチャイルド、2015年11月●24頁)
ドリアン助川(どりあんすけがわ)訳
『星の王子さま』
(皓星社、2016年12月◇172頁)
2017年7月31日月曜日
2017年7月24日月曜日
【161冊目】Saint-Exupéry, The Little Prince(LS Level2)
やさしい英語の本、通算161冊目は、
IBCパブリッシング・ラダーシリーズの
レベル2(1300語レベル)の1冊目として、
フランスの作家
サン=テグジュペリ
(Antoine de Saint-Exupéry, 1900年6月-1944年7月)の
小説『星の王子さま Le Petit Prince 』を読みました。
著者42歳の時(1943年4月)に刊行された作品です。
Antoine de Saint-Exupéry
The Little Prince
Retold by Miki Terasawa(寺沢美紀)
〔Ladder Series Level2〕
IBC Publishing,Inc. 2007年7月
14,600語
『星の王子さま』の名は小さなころから知っていましたが、
最近までちゃんと読まないで来ました。
何度か、内藤濯(ないとうあろう)氏の
有名な翻訳を手に取ることはありましたが、
独特の世界観に共鳴できなかったからなのか、
訳文の読みにくさに違和感があったからなのか、
最後まで読み切ることはありませんでした。
2005年以降、
新訳がたくさん出始めたのを受けて、
もう一度読んでみようと思っていたころに、
倉橋由美子(くらはしゆみこ)氏の翻訳に出会いました。
倉橋由美子訳
『新訳 星の王子さま』
(宝島社文庫、2006年6月)
※初出の単行本は宝島社、2005年7月。
どこもよくわかるように、
曖昧さのない現代の日本語に翻訳されてあって、
納得しながら最後まで読み進めることができました(2014年8月読了)。
今回、
倉橋訳をもう一度読み返してみたところ、
わかりやすくはあるのですが、
多少詩情に乏しいようにも感じました。
最近これは良いのではと思って、
読みかけで手元に置いてあるのが
野崎歓(のざきかん)氏の翻訳です。
まだざっと目を通しただけですが、
元から日本語で書かれたかのような、
洗練されたセンス溢れる訳文に仕上っていると思います。
野崎歓(のざきかん)訳
『小さな王子』
(光文社古典新訳文庫、2006年9月)
***
今回やさしい英語で読んでみると、
倉橋訳で読んだ時よりも一層、
作品の深みが伝わって来て、
大きな感銘を受けました。
思っていたよりもずっと
哲学的な含みのある作品で、
生きること、死ぬことの意味、
愛する喜びと、失う哀しみなど、
奥深いテーマが筆者のやわらかな心で、
みずみずしく捉えられていました。
元はフランス語なので、
原文に取り組む機会は今のところなさそうですが、
今後いろいろな翻訳を手に取って、
度々読み返していきたい作品になりました。
※第161冊目。総計1,526,773語。
IBCパブリッシング・ラダーシリーズの
レベル2(1300語レベル)の1冊目として、
フランスの作家
サン=テグジュペリ
(Antoine de Saint-Exupéry, 1900年6月-1944年7月)の
小説『星の王子さま Le Petit Prince 』を読みました。
著者42歳の時(1943年4月)に刊行された作品です。
Antoine de Saint-Exupéry
The Little Prince
Retold by Miki Terasawa(寺沢美紀)
〔Ladder Series Level2〕
IBC Publishing,Inc. 2007年7月
14,600語
『星の王子さま』の名は小さなころから知っていましたが、
最近までちゃんと読まないで来ました。
何度か、内藤濯(ないとうあろう)氏の
有名な翻訳を手に取ることはありましたが、
独特の世界観に共鳴できなかったからなのか、
訳文の読みにくさに違和感があったからなのか、
最後まで読み切ることはありませんでした。
2005年以降、
新訳がたくさん出始めたのを受けて、
もう一度読んでみようと思っていたころに、
倉橋由美子(くらはしゆみこ)氏の翻訳に出会いました。
倉橋由美子訳
『新訳 星の王子さま』
(宝島社文庫、2006年6月)
※初出の単行本は宝島社、2005年7月。
どこもよくわかるように、
曖昧さのない現代の日本語に翻訳されてあって、
納得しながら最後まで読み進めることができました(2014年8月読了)。
今回、
倉橋訳をもう一度読み返してみたところ、
わかりやすくはあるのですが、
多少詩情に乏しいようにも感じました。
最近これは良いのではと思って、
読みかけで手元に置いてあるのが
野崎歓(のざきかん)氏の翻訳です。
まだざっと目を通しただけですが、
元から日本語で書かれたかのような、
洗練されたセンス溢れる訳文に仕上っていると思います。
野崎歓(のざきかん)訳
『小さな王子』
(光文社古典新訳文庫、2006年9月)
***
今回やさしい英語で読んでみると、
倉橋訳で読んだ時よりも一層、
作品の深みが伝わって来て、
大きな感銘を受けました。
思っていたよりもずっと
哲学的な含みのある作品で、
生きること、死ぬことの意味、
愛する喜びと、失う哀しみなど、
奥深いテーマが筆者のやわらかな心で、
みずみずしく捉えられていました。
元はフランス語なので、
原文に取り組む機会は今のところなさそうですが、
今後いろいろな翻訳を手に取って、
度々読み返していきたい作品になりました。
※第161冊目。総計1,526,773語。
2017年7月10日月曜日
【160冊目】H.G.Wells, The Island of Doctor Moreau (PR Level 3)
やさしい英語の本、通算160冊目は、
ペンギン・リーダーズのレベル3(1200語レベルの)の24冊目として、
イギリスの作家
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(Herbert George Wells, 1866年9月-1946年8月)の
小説『モロー博士の島』を読みました。
ウェルズ29歳の時(1896年4月:英国、同年8月:米国)に刊行されたSF小説です。
H.G.Wells
The Island of Doctor Moreau
Retold by Fiona Beddall
〔Penguin Readers Level 3〕
This edition first published by Penguin Books Ltd 2007
13,226語
まったく知らなかった作品ですが、
ウェルズの名が気になって調べてみると、
『タイムマシン』や『透明人間』などのSF小説で知られる
H・G・ウェルズの代表作の一つであることを知り、
読んでみることにしました。
『タイムマシン』も『透明人間』も、
書名を知るのみで読んだことがなかったので、
今回が初ウェルズということになりました。
***
翻訳を調べてみると、
意外にたくさん出ていました。
※藤本直樹編「H・G・ウェルズSF作品邦訳書誌」(中村融訳『モロー博士の島』創元SF文庫、1996年9月所収)をもとに適宜修訂を加えた。一色訳と西原訳を今回付け加えてある。
木村信次(きむらしんじ)訳
『モロオ博士の島』
(アルス〔アルス・ポピュラアー・ライブラリー 第10〕1924年10月◇243頁)
土屋光司(つちやこうじ)訳
『モロー博士の島』
(三邦出版社、1941年7月◇247頁)
宇野利泰(うのとしやす)訳
「モロー博士の島」
『世界大ロマン全集 第7巻 透明人間』
(東京創元社〔世界大ロマン全集7〕1956年12月◇384頁)
※「透明人間」「タイムマシン」「モロー博士の島」の計3編を収録。
⇒『H・G・ウェルズ短篇集 第3 モロー博士の島』
(早川書房〔ハヤカワSFシリーズ〕1962年6月◇219頁)に再録。
※「ダイヤモンドをつくる男」 「ダイナモの神」
「盗まれた肉体」 「蜘蛛の谷」
「妖精の国のスケルマーズデイル君」
「モロー博士の島」 の計6編を収録。
⇒『H・G・ウェルズ傑作集1 モロー博士の島』
(ハヤカワ文庫、1977年11月◇297頁)に再録。
※同上の6編を収録。
一色次郎(いっしきじろう)訳
西村保史郎(にしむらやすしろう)絵
『モロー博士の島』
(偕成社〔名作冒険全集19〕1958年1月◇206頁)
西原康(にしはらこう)訳
小野田俊(おのだとし)絵
「モロー博士の島」
『少年少女宇宙科学冒険全集11 タイム・マシン』
(岩崎書店、1961年月◇214頁)
※「タイム・マシン」「モロー博士の島」の計2編を収録。
能島武文(のじまたけふみ)訳
『モロー博士の島 ―他二篇』
(角川文庫、1967年8月◇302頁)
※「モロー博士の島」「妖星」「イーピヨルニスの島」の3編を収録。
橋本槙矩(はしもとまきのり)訳
『改造人間の島』
(旺文社〔旺文社文庫〕1977年8月◇193頁)
※「改造人間の島」 「魔法の園」 「王様になりそこねた男」
「怪鳥エピオルニス」の計4編を収録。
⇒橋本槙矩・鈴木万里(すずきまり)訳
『モロー博士の島 ―他九篇』(岩波文庫、1993年11月◇339頁)に再録。
※「エピオルニス島」 「蛾」 「紫色のキノコ」
「パイクラフトの真実」「ブラウンローの新聞」
「故エルヴィシャム氏の物語」 「マハラジャの財宝」
「デイヴィドソンの不思議な目」 「アリの帝国」
「モロー博士の島」の10編を収録。
中村融(なかむらとおる)訳
『モロー博士の島』
(東京創元社〔創元SF文庫〕1996年9月◇238頁)
雨沢泰(あめざわやすし)訳
『モロー博士の島』
(偕成社文庫、1996年8月◇287頁)
中村融訳と雨沢泰訳を手に入れました。
中村訳は大人向けの手堅い訳、
雨沢訳は小学校高学年くらいからでも大丈夫な、
読みやすさ重視の訳文でした。
とりあえず内容を知りたい場合は、
雨沢訳で十分だと思いますが、
じっくり味わいたい場合は、
中村訳のほうを好まれるかもしれません。
***
やさしい英語で読んでみて、
あまり好きな分野ではなかったのですが、
英文自体はわかりやすく
あらすじを追っていくことができ、
それなりに面白く、
最後まで読み終えることができました。
最新の科学をテーマにした作品は、
時代の推移とともに、かえって古臭さを感じやすくなるようで、
もっと他の作品も読んでみたいと思わせる深い魅力は残念ながら感じませんでした。
ただまだ1度読んだだけですので、
今後読み返すうちに、
大人の寓話としての価値を見出だせるようになるかもしれません。
かの『フランケンシュタイン』と似た作品ともいえますが、
『フランケンシュタイン』ほど主人公の心の内面へ深く切り込んでいくことがないので、
その分読みやすい作品ではありました。
初ウェルズの感想はこんな感じです。
※第160冊目。総計1,512,173語。
ペンギン・リーダーズのレベル3(1200語レベルの)の24冊目として、
イギリスの作家
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(Herbert George Wells, 1866年9月-1946年8月)の
小説『モロー博士の島』を読みました。
ウェルズ29歳の時(1896年4月:英国、同年8月:米国)に刊行されたSF小説です。
H.G.Wells
The Island of Doctor Moreau
Retold by Fiona Beddall
〔Penguin Readers Level 3〕
This edition first published by Penguin Books Ltd 2007
13,226語
まったく知らなかった作品ですが、
ウェルズの名が気になって調べてみると、
『タイムマシン』や『透明人間』などのSF小説で知られる
H・G・ウェルズの代表作の一つであることを知り、
読んでみることにしました。
『タイムマシン』も『透明人間』も、
書名を知るのみで読んだことがなかったので、
今回が初ウェルズということになりました。
***
翻訳を調べてみると、
意外にたくさん出ていました。
※藤本直樹編「H・G・ウェルズSF作品邦訳書誌」(中村融訳『モロー博士の島』創元SF文庫、1996年9月所収)をもとに適宜修訂を加えた。一色訳と西原訳を今回付け加えてある。
木村信次(きむらしんじ)訳
『モロオ博士の島』
(アルス〔アルス・ポピュラアー・ライブラリー 第10〕1924年10月◇243頁)
土屋光司(つちやこうじ)訳
『モロー博士の島』
(三邦出版社、1941年7月◇247頁)
宇野利泰(うのとしやす)訳
「モロー博士の島」
『世界大ロマン全集 第7巻 透明人間』
(東京創元社〔世界大ロマン全集7〕1956年12月◇384頁)
※「透明人間」「タイムマシン」「モロー博士の島」の計3編を収録。
⇒『H・G・ウェルズ短篇集 第3 モロー博士の島』
(早川書房〔ハヤカワSFシリーズ〕1962年6月◇219頁)に再録。
※「ダイヤモンドをつくる男」 「ダイナモの神」
「盗まれた肉体」 「蜘蛛の谷」
「妖精の国のスケルマーズデイル君」
「モロー博士の島」 の計6編を収録。
⇒『H・G・ウェルズ傑作集1 モロー博士の島』
(ハヤカワ文庫、1977年11月◇297頁)に再録。
※同上の6編を収録。
一色次郎(いっしきじろう)訳
西村保史郎(にしむらやすしろう)絵
『モロー博士の島』
(偕成社〔名作冒険全集19〕1958年1月◇206頁)
西原康(にしはらこう)訳
小野田俊(おのだとし)絵
「モロー博士の島」
『少年少女宇宙科学冒険全集11 タイム・マシン』
(岩崎書店、1961年月◇214頁)
※「タイム・マシン」「モロー博士の島」の計2編を収録。
能島武文(のじまたけふみ)訳
『モロー博士の島 ―他二篇』
(角川文庫、1967年8月◇302頁)
※「モロー博士の島」「妖星」「イーピヨルニスの島」の3編を収録。
橋本槙矩(はしもとまきのり)訳
『改造人間の島』
(旺文社〔旺文社文庫〕1977年8月◇193頁)
※「改造人間の島」 「魔法の園」 「王様になりそこねた男」
「怪鳥エピオルニス」の計4編を収録。
⇒橋本槙矩・鈴木万里(すずきまり)訳
『モロー博士の島 ―他九篇』(岩波文庫、1993年11月◇339頁)に再録。
※「エピオルニス島」 「蛾」 「紫色のキノコ」
「パイクラフトの真実」「ブラウンローの新聞」
「故エルヴィシャム氏の物語」 「マハラジャの財宝」
「デイヴィドソンの不思議な目」 「アリの帝国」
「モロー博士の島」の10編を収録。
中村融(なかむらとおる)訳
『モロー博士の島』
(東京創元社〔創元SF文庫〕1996年9月◇238頁)
雨沢泰(あめざわやすし)訳
『モロー博士の島』
(偕成社文庫、1996年8月◇287頁)
中村融訳と雨沢泰訳を手に入れました。
中村訳は大人向けの手堅い訳、
雨沢訳は小学校高学年くらいからでも大丈夫な、
読みやすさ重視の訳文でした。
とりあえず内容を知りたい場合は、
雨沢訳で十分だと思いますが、
じっくり味わいたい場合は、
中村訳のほうを好まれるかもしれません。
***
やさしい英語で読んでみて、
あまり好きな分野ではなかったのですが、
英文自体はわかりやすく
あらすじを追っていくことができ、
それなりに面白く、
最後まで読み終えることができました。
最新の科学をテーマにした作品は、
時代の推移とともに、かえって古臭さを感じやすくなるようで、
もっと他の作品も読んでみたいと思わせる深い魅力は残念ながら感じませんでした。
ただまだ1度読んだだけですので、
今後読み返すうちに、
大人の寓話としての価値を見出だせるようになるかもしれません。
かの『フランケンシュタイン』と似た作品ともいえますが、
『フランケンシュタイン』ほど主人公の心の内面へ深く切り込んでいくことがないので、
その分読みやすい作品ではありました。
初ウェルズの感想はこんな感じです。
※第160冊目。総計1,512,173語。
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