明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
年末年始は、論文執筆に少し時間を割きたいなと思っていたところ、十一月の後半に我が家の黒猫が事故にあい、治療にかかり切りになったため、研究はしばらくお休みせざるを得ませんでした。幸運に恵まれ、前より元気になって復活しましたので、事の顛末をまとめてみました。
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黒 猫 騒 動
忙しさも落ち着いてきた十一月半ば、多少は研究に時間がさけるかなと思った矢先、春に家の軒先で産まれそのまま居ついていた黒猫が、おどけて来客の車の下に入り込みそのままひかれてしまうという一件がありました。
月曜の朝、ぎゃんという鳴き声とともにかけていったきり、二日ほどそのまま見えなくなって、もう駄目かと思った水曜の昼過ぎにふと現れ、縁側でじっとしているのを見つけました。触ってみると下腹と後ろ脚をひどく擦りむいていたものの、折れている様子はありませんでした。カリカリや水を近づけても見向きもしなかったので、どうしたものかと思案しているうちにまた姿を消してしまいました。
それから一日おいた金曜のお昼過ぎに、縁側の白い座布団のうえで重箱ずわりしているのを再発見。少しでも元気になっていればという期待に反し、今回は下腹部がぷっくりと膨れて見るからにしんどそう。水すら受け付けない。お腹の中のほうに問題があるのなら放っておいて治るはずはないので、せっかくここまで持ち堪えたのならと、近くの動物病院に連れて行くことにしました。
半野良のため素直について来てくれるか心配でしたが、ほどよいサイズの洗濯かごを選んで、底にバスタオルを敷いて黒猫をのせてみたところ、さすがに飛び出す元気はない。車内でも静かなもので、そのまま病院の入口をくぐって診察をお願いすると、「小動物を連れてくる際は洗濯ネットに入れて来るのが決まり」と受付の方に言われました。その場で貸していただいたネットに黒猫を押し込んで、ようやく先生に診ていただくことができました。
先生の診るところ、骨折はしておらず、お腹の様子も膀胱破裂など最悪の状況ではないとのこと。ヘルニアが疑われるものの、現状かなり衰弱しているので、まずは抗生剤で傷の悪化を抑えつつ、水分と栄養を補給して様子を見ることになり、注射を三本うってもらって自宅へ連れて帰りました。
それから数日、病院で水分と栄養を補給してもらっては自宅で静養させる生活を続けたところ、注射のおかげかだんだん元気を取り戻し、しばらくしてオシッコをしているところも発見。腎臓系に問題がないことがわかってホッとしました。しかし依然として自分から水を飲んだり、カリカリを食べたりする様子はなく、お腹の傷も、水分を補給するようになったからか再び湿ってきて、傷口から体液が漏れてくるようになりました。
事故にあって十日目、水曜のお昼ごろ、お腹の傷から何か膜のようなものが垂れ下がり、ぽたぽたと体液が漏れているのを発見しました。急いで病院に連れていくと、手術に耐えられるかまだ少し心配だが、このまま放っておけないからと、そのまま入院して手術することになりました。それから四時間半に及ぶ手術をどうにか乗り越えて、無事終了とのお電話をいただいたのが夜の九時過ぎ。さいわい傷は腸には達しておらず、ただその寸前まで色々傷んでいた部分を切除し、縫い合わせたとのこと。恐らくこれで良くなるはずだが、数日は予断を許さないと。
それから一日置きに電話して様子をうかがうと、日に日に元気になっていく嬉しい報告が続きました。事故以来なくなっていた食欲も回復し、カリカリを食べてウンチもするようになって、ああこれで生きられるのかなと一息つくことができました。
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さてこの黒猫、半野良なので名前はなかったのですが、初めて病院に行った日に名前を聞かれ、「まだない」というわけにもいかず、毛色のまま「クロです」と答えました。これ以降、彼女は家でも病院でも「クロ」「クロちゃん」と呼ばれる存在になりました。黒毛にありがちなのか、考え込んで思索にふけるのとは真逆で、誰にもフレンドリーで人懐こく、嫌なこともすぐに忘れるタイプ。車を怖がる様子もなく、日ごろの通院も楽なほう。ネアカな性格の猫がいることに驚かされる毎日でした。
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入院生活は十日ほどで終わり、家に帰る日、同時に抜糸していただく予定が、縫い合わせたところがまだ湿っていたので抜糸のみ延期になりました。傷跡を舐めてしまわないように首に大きな青色のカラーをつけて、事故前より一回り小さくなったクロは、車に乗せられハイになって無事ご帰宅となりました。
それから日に日に元気になっていくはずだったのですが、数日して傷跡が乾いてくると、体に溜まっていた悪いものが出る場所を失ったのか、下腹部がまたぷっくりとふくれてきました。オシッコがしづらそうかもと感じた翌日にはお腹が一層ふくれ、トイレに座っても何も出なくなってしまいました。気づいたのが夜遅くだったので翌朝まで一緒にいて注意していると、下腹部のさらに下の方が小さく裂けて、中から白い液体が一気に飛び出てきました。周りがベトベトになって大変でしたが、クロ本人はホッとした表情。少し時間を置いてたまっていた尿も大量に出て、一息つくことができました。
翌朝病院に連れていくと、お尻の近くに二つ穴があいていて、治療が必要な状態。体内の悪いものが出切って傷が自然にふさがるまで、毎日通うことになりました。無事に治るか心配しましたが、入院前と比べれば遥かに元気はあって、家で毎日ご飯を食べて、仲間の猫と遊んでいるうちに、十日ほどで傷はふさがり、期待膨らむ年末となりました。
年明けも変わらず元気でしたので、ようやく抜糸をしてもらい、ついでに体重を測ると二・七キロ。最初にかつぎこまれた時は二キロちょうどだったので、手術後ひと月ほどで七〇〇グラムほど重たくなったことになります。見た目も一回り大きくなって、自由に動けるようになった嬉しさからか、お尻ふりふりハイテンションで仲間の猫に飛びかかってこちらが冷や冷やするくらい。
先日(一月十二日)ついに首のカラーが外れ、無事に全快の運びとなりました。良い獣医さんとの出会いに恵まれたことに感謝。
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というようなことがありました。
1月6日のクロとその母親