2025年9月28日日曜日

【読了】池田理代子著『皇帝ナポレオン』第3・4巻(フェアベルコミック)

   池田理代子(いけだりよこ。1947~)『皇帝ナポレオン』の第3・4巻を読みました。全12巻のうち第1~6巻まで Kindle Unlimited で読めるので、まずは6巻までを目処に。
  『ベルサイユのばら』の続編とされる作品です。

 本作品の初出は、『婦人公論』誌上で1986年5月から1995年1月まで『エロイカ』と題して連載されたのち、『エロイカ』全14巻(中公コミックス・スーリ、1987年1月~1995年2月)として単行本が刊行されました。そののち『栄光のナポレオン ―エロイカ―』全12巻(中公文庫コミック版、1997年5~10月)と改題して再刊。さらに10年をへて『皇帝ナポレオン』全9巻(フェアベルコミックス、2007年11月~2008年7月)と改題して再刊されました。

 フェアベルコミックスは、コンビニ仕様のためか巻次を明記していないのですが、わかりにくいので便宜的に全巻を整理しておきます。

 ① ナポレオン・ボナパルト将軍編(2007年11月)
 ② 栄光へ 27歳の天才司令官編(2007年12月)
 ③ ナポレオン イタリア征服す編(2008年1月)
 ④ ナポレオンの危機 エジプト編(2008年2月)
 ⑤ ナポレオンの逆襲 フランス大改革編(2008年3月)
 ⑥ フランス皇帝ナポレオン(2008年4月)
 ⑦ ヨーロッパ大陸の支配者編(2008年5月)
 ⑧ 二人の皇帝編(2008年6月)
 ⑨ 英雄ナポレオンの最期編(2008年7月) 

このフェアベルコミックスの電子版が全12巻に再編され、Kindle ストアで 2014年1月 に刊行されたのが、今回読むバージョンです。電子版は ほかにも色々な媒体のものが出ており、刊行年次にも違いがあるのですが、紙の本より正確な情報がつかみにくいので、もう少し調べてから報告します。



 電子版の第3巻は、単行本『エロイカ』第3巻(第Ⅱ部 第3~6章 1987年11月)と第4巻(第7~9章 1988年6月)に対応しています。(初出はそれぞれ『昭和公論』1987年7~12月号、1988年1・2月号に掲載。)
 電子版では、章数の表示はカットされています。


 電子版の第4巻は、単行本『エロイカ』第4巻(第Ⅱ部 第10~12章 1988年6月)と第5巻(第Ⅲ部 第1~6章 1989年2月)に対応しています。(初出はそれぞれ『昭和公論』1988年3~5月号、1988年8~12月号・1989年1月号に掲載。)
 電子版では、章数の表示はカットされています。

 なお単行本の第5巻(1989年2月刊行)で興味深いのは、全6章(1~6章)のうち第3・4章の部分のみ明らかに黄ばんでいて、紙質が劣化していることです。当初、私が手に入れた1冊だけかと思い、買い直すつもりでいたのですが、調べてみると他の古本屋のものにも同様の劣化が見えるようで、なぜだろうかと興味がわいてきました。

 決定的な証拠はまだ見つかっていませんが、1989年1月は、昭和天皇が崩御され、昭和から平成へと改元が行われたときなので、恐らく代替りにともなう急な紙不足が発生したのではないかと推測されます。急な紙不足のため、単行本を印刷する際に、上質紙で統一することができなかった可能性が想定されますが、ざっと調べた限りではそのような事実を裏づける資料に欠く状態なので、仮説のみを示して今後の課題としておきます。

2025年9月21日日曜日

【読了】与謝野晶子訳『源氏物語』第20・21・22帖「朝顔」「乙女」「玉鬘」

   与謝野晶子(よさのあきこ。1878-1942)氏による現代語訳『源氏物語』。9月は、

  第20帖「朝顔(あさがお)」〈https://amzn.to/3KNYWPQ
  第21帖「乙女(おとめ)」〈https://amzn.to/3IKVapX
  第22帖「玉鬘(たまかずら)」〈https://amzn.to/47bmp59

の3帖を読みました。第21帖でようやく下の世代へと話が移っていくと、物語全体に新しい息吹が吹き込まれた感じがして、この先のお話にまた興味が湧いてきました。でもここから十帖は玉鬘十帖とも呼ばれ、あと少し中休みのような内容が続いていくようです。ストーリー的に斬新なものは感じませんが、紫式部の巧みな筆さばきに、飽きそうで飽きないほどほどの安定した面白さを保っています。

 与謝野『源氏』は、全帖「青空文庫」で読めます。第21帖までの青空文庫版の底本は『全訳源氏物語 上巻』(角川文庫、1971年8月、改版初版発行)の第56版(1994年12月発行)が用いられています。第22帖からの底本には『全訳源氏物語 中巻』(角川文庫、1971年11月、改版初版発行)の第39版(1994年6月発行)が用いられています。上下巻とも、もとは上田英代(うえだひでよ)氏が、古典総合研究所のHP上(http://www.genji.co.jp)に入力公開されていたものを、青空文庫形式に編集しなおしたものです。

 第21帖までの校正には上巻の第71版(2002年4月発行)が使用されています。
 第22帖からの校正には中巻の第44版(2002年1月発行)が使用されています。
  第20帖「朝顔」は、
   kumi氏が校正を担当し、
   2003年7月に青空文庫ファイルを作成。
  第21帖「乙女」は、
   kompass氏が校正を担当し、
   2003年7月に青空文庫ファイルを作成
   (2004年2月に修正)。
  第22帖「玉鬘」は、
   kompass氏が校正を担当し、
   2003年7月に青空文庫ファイルを作成。
と、各巻末に明記されていました。

【読了】学研まんが『日本の歴史 8 天下の統一 安土・桃山時代』(1982年7月)

    Kindle Unlimited で読む漫画版日本史。国学院大学名誉教授・文学博士(※1982年刊行当時)樋口清之(ひぐちきよゆき。1909~1997)監修、ムロタニ ツネ象(まんが)『学研まんが 日本の歴史 8 天下の統一 安土・桃山時代』(学習研究社、1982年7月)を読みました。


樋口清之(監修)
ムロタニ ツネ象(まんが)
『学研まんが 日本の歴史 8 天下の統一 安土・桃山時代』
(学習研究社、1982年7月)

 1 戦国の世に入る
 2 上杉謙信と武田信玄
 3 鉄砲とキリスト教がやってきた
 4 若き日の信長と家康
 5 桶狭間の合戦
 6 新戦術 長篠の勝利
 7 秀吉の天下統一
 8 秀吉の政治と朝鮮侵略の失敗

の8章仕立て。中学の教科書よりかなり詳しく、高校で習う日本史をやさしく語り直した印象。子供の頃にくり返し読む機会があれば、大学受験の日本史がずいぶん楽だったろうなと思う。樋口先生の経験によるものか、バランスのよく取れた、出来の良い漫画版日本史だと思います。

 電子版の奥付には(学研教育出版、2011年5月 version1.0発行)と、またAmazonの説明書きには書籍版の「巻頭巻末資料は電子版では未掲載」とありました。

2025年9月14日日曜日

【読了】学研まんが『世界の歴史 8 アジアとヨーロッパの興亡と十字軍とモンゴル帝国 』(1993年4月)

   kindle unlimited で読む漫画版世界史。早稲田大学教授(※1992年刊行当時)長澤和俊(ながさわかずとし。1928~2019)監修、ムロタニツネ象(まんが)『学研まんが 世界の歴史 8 アジアとヨーロッパの興亡と十字軍とモンゴル帝国』(学習研究社、1993年4月)を読みました。


長澤和俊監修)
ムロタニツネ象(案・構成・まんが)
『学研まんが 世界の歴史 8 アジアとヨーロッパの興亡と十字軍とモンゴル帝国』
(学習研究社、1993年4月)

 1 アッバース朝の黒旗あがる
 2 十字軍とサラディン
 3 チンギス・ハン登場
 4 モンゴル大帝国へ
 5 オスマン・トルコ帝国

の5章仕立て。あまり詳しくない時代のお話なので、すらすら読めるものの、読むそばから忘れている自分がいるのも事実。高校で習う世界史の内容をやさしく噛み砕いている印象。頭にしっかり定着するまで繰り返すと先に進めないので、全巻読み通してからまた戻って来ようと思います。

 電子版の奥付には(学研教育出版、2015年6月 version1.0発行)とあり、Amazonの説明書きには、書籍版の「巻頭巻末資料は電子版では未掲載」とありました。書籍版のほうも数年前に購入済みです。

2025年9月7日日曜日

【読了】夏目漱石『それから』(1910年)

 夏目漱石(なつめそうせき。1867年2月~1916年12月)の小説『それから』を、「青空文庫」で読みました。青空文庫版の『それから』は、漱石の自筆原稿にもとづく岩波書店版「漱石全集 第六巻」(1994年5月)を底本としつつ、ルビは漱石の原稿にあったルビのみを付け、岩波編集部が付けたルビを省いています。青空文庫版の巻末には、このほか
 入力:Godot、野口英司、oto
 校正:門田裕志、小林繁雄
 2005年4月16日作成
 2006年5月20日修正
とありました。


 小説『それから』は、1909年6月27日から10月14日まで『東京朝日新聞』『大阪朝日新聞』に連載ののち、1910年1月に春陽堂から単行本が刊行された作品です。2021年に角川文庫版で『三四郎』を読んで、間もなく『それから』にも挑戦していたのですが、ストーリーが平凡な感じがして、退屈になって途中で止めていました。今年の春にふと青空文庫版『それから』を開いてみたところ、歴史的仮名遣いでルビも多めに振ってあって、漱石の文体をたいへん瑞々しく新しいものに感じ、これを機会にと読み進めることにしました。

 四分の一ほど読んだところで先が気になって、kindle Unlimited で漫画版『それから』を読んでみたところ、陳腐なストーリーを思い出して一気に熱が冷め、読むスピードがゆっくりに。それでも後半に入り、告白の場面に向かって物語が動き出すと再び興味がわいてきて、スピードアップして最後までたどり着くことができました。後半の心理描写が見事で、しかしどれだけ絶望的な場面でも、ある種突き放したところがあるのは、漱石に独特。透徹した文体の面白さに、気がつくことができました。


夏目漱石(原作)
バラエティ・アートワークス(企画・漫画)
『まんがで読破 それから』
(イースト・プレス、2009年8月)
 ※電子書籍版改訂、2024年7月。


 『三四郎』『それから』と読んできて、それほどの名作には思えませんが、漱石の文章自体には魅力を感じているので、少し時間をおいてから『門』に挑戦しようと思います。