『源氏物語』は、一生付き合っていきたい古典の一つです。
はじめて感動をもって読み終えたのは、
大和和紀さんの漫画『あさきゆめみし』でした。
漫画ですが、原作に忠実で、よく出来ていると思います。
今挑戦しているのは、與謝野晶子さんの現代語訳です。
昨日、全5冊のうち1冊を読み終えました。
紫式部 著/與謝野晶子 訳
『全訳 源氏物語 一 新装版』
(角川文庫、平成20年4月)
※「桐壺(きりつぼ)」「帚木(ははきぎ)」
「空蝉(うつせみ)」「夕顔(ゆうがお)」
「若紫(わかむらさき)」「末摘花(すえつむはな)」
「紅葉賀(もみじのが)」「花宴(はなのえん)」
「葵(あおい)」「榊(さかき)」
「花散里(はなちるさと)」を収録。
與謝野晶子は、生涯に3度、
『源氏物語』の訳業に取り組まれました。
そのうち1度は関東大震災の影響で、
書きためてあった原稿が消失してしまったため、
出版には至りませんでした。
はじめに世に出たのは、
明治45年2・6月と大正2年8・11月に
金尾文淵堂から全4冊で刊行された『新訳 源氏物語』です。
こちらは3年ほど前に、
『与謝野晶子の源氏物語〈上・中・下〉』
(角川ソフィア文庫、平成20年4月)
として再刊されたときに、読了しています。
前半が抄訳で、後半から詳しくなる、
という一風変わった訳本ですが、
與謝野晶子の文章には
独特の歯切れのよいリズム感があって、
楽しく読み進めることができました。
ただし抄訳で、
わりと急いで完成させたからか、
晶子本人はそれで満足していなかったようで、
晩年にもう一度、訳業に取り組まれました。
昭和13年10月から14年9月にかけて、
金尾文淵堂から全6巻で『新新訳源氏物語』が刊行されました。
こちらは原文に忠実な、全訳になっています。
これも3年前に、
『全訳 源氏物語 一~五』
(角川文庫、平成20年4月)
として再刊されていたのですが、
さすがに続けて読む気力は残っておらず、
しばらく「積ん読」状態になっておりました。
この秋から再び読んでみようと思い、
まずは1冊読み終えました。
やはり与謝野晶子の文章には、
心地よいリズム感と勢いがあって、
ぐいぐいと読み進めることができました。
やはり深い話だな、と感動を新たにしました。
今回はとくに「花散里」の清々しさが心に残りました。
今のところ、
私にとって一番しっくり来るのは、
与謝野晶子の訳本です。
次は第2巻に進みます。
※書誌の情報は、逸見久美氏の巻末解説を参照しました。
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