トスカーナ地方フィレンツェ生まれの詩人
ダンテ・アリギエーリ(Dante Alighieri 1265-1321)の代表作、
『神曲(La Divina Commedia)』の地獄篇を読みました。
地獄篇は、
ダンテ39歳から43歳(1304-1308)のころに執筆された
と考えられているようです。
ダンテ・アリギエーリ著/平川祐弘(ひらかわすけひろ)訳
『神曲 地獄篇』(河出文庫、平成20年11月)
※初出は、
〈グリーン版〉世界文学全集、第3集第3巻、河出書房新社、昭和41年。
・その後、
〈カラー版〉世界文学全集、第2巻、河出書房新社、昭和43年。
河出世界文学大系、第3巻、河出書房新社、昭和55年。
世界文学全集、第3巻、講談社、昭和57年9月。
〈ステラ版〉世界文学全集、第1巻、河出書房新社、平成元年9月。
『神曲 新装版』河出書房新社、平成4年。
に訳文・訳注を改訂の上、再録(巻末の書誌を参考)。
・文庫本は、
『神曲 地獄篇』河出文庫、平成20年11月。
『神曲 煉獄篇』河出文庫、平成21年1月。
『神曲 天国篇』河出文庫、平成21年4月。
の3つに分冊。
・当文庫を刊行後、
『神曲 完全版』河出書房新社、平成22年8月。
に再録。ギュスターヴ・ドレの挿画を全点収録(未見)。
いきなりのダンテです。
さすがに『神曲』という作品が存在することは知っていましたが、
これまで一度も読んだことはありませんでした。
今回は、
偶然手にした河出文庫本の
平川祐弘氏の訳文が実にこなれており、
ほどほどの大きさの活字で、
これは読みやすい、
と思って読み進めているうちに、
まず1冊読み終わっておりました。
現代の日本語として
少しも滞るところがないにもかかわらず、
ほどよく詩情を感じさせる文章で、
ダンテの描く地獄について、
興味深く読み通すことができました。
日本で生まれ育った身には、
まったく奇想天外な、変わったお話で、
出てくる人物についても
初めて聞く方ばかりなので、
深い理解は全然できていないはずですが、
まるでその場に居合わせたかのように、
地獄の場面場面を描き切るダンテの筆力は
かなり感じ取ることができたと思います。
西欧の歴史を学ぶ上で、
いろいろな方面に影響を与えた書物なので、
ここで平川氏の名訳に出会えたことは幸せでした。
引き続き、
「煉獄篇」「天国篇」と読み進めたいと思っています。
***
平川祐弘氏の『神曲』翻訳にともなう研究は、
『中世の四季―ダンテとその周辺』
(河出書房新社、昭和56年12月。新装版、平成6年4月。
復刻新版、平成24年6月、副題を「ダンテ『神曲』とその周辺」に変更)
『ダンテの地獄を読む』
(河出書房新社、平成12年2月)
『ダンテ『神曲』講義』
(河出書房新社、平成22年8月)
にまとめられています。
また、
ダンテが28歳(1293年)のころに執筆した
詩集『新生(vita nuova)』にも、
平川祐弘氏の翻訳が出ています。
ダンテ著/平川祐弘訳
『新生』(河出書房新社、平成24年3月)
どっぷり嵌まるほどには
まだ惹かれていませんが、
今後機会があれば、読み進めてみたいと思っています。
※Wikipediaの「ダンテ・アリギエーリ」「神曲」「新生(詩集)」を参照。
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