2014年11月11日火曜日

【読了】エミリー・ブロンテ著(河島弘美訳)『嵐が丘(上・下)』(岩波文庫)

イギリスの小説家
エミリー・ブロンテ(1818.7-1848.12)の
小説『嵐が丘』を読みました。

ブロンテ姉妹の四女、
エミリーが亡くなる前年、
29歳の時(1847.12)に出版された
著者唯一の長編小説です。


エミリー・ブロンテ著
河島弘美(かわしまひろみ)訳
『嵐が丘(上・下)』
(岩波文庫、平成16年2・3月)


姉シャーロットの『ジェイン・エア』に感動した後、
妹エミリーの『嵐が丘』もぜひ読んでみたいと思い、

いろいろな翻訳に手を出したのですが、
なかなかこれならと思えるものに出会いませんでした。

そうした中で、
河島弘美(かわしまひろみ)氏の翻訳は
画期的にわかりやすく、

最近の日本語の小説を読むのと変わらぬ感覚で、
最後まで読み進めることができました。


おたがいの内に秘めた愛憎がすれ違い、
傷つけあい、もつれにもつれてからみあう
色濃い人間の感情のぶつかりあいが描かれていて、

姉の『ジェイン・エア』と比べると、
はるかにドロドロとした小説でした。

死んでようやく安らぎの場所を得るまでの、
悲劇の過程を描いた小説といえましょうか。


わたしの読みが浅いだけかもしれませんが、
一回読んだだけでは多少雑然とした印象もあり、

これが本当に名作といえるのか、
少し時間を置いて読みなおしたいと思います。


   ***

河島訳のほか、
次の翻訳にも目を通しました。

阿部知二(あべともじ)訳
『嵐が丘(上・下)』
(岩波文庫、昭和35年7月・36年11月)

大和資雄(やまとやすお)訳
『嵐が丘』
(角川文庫、昭和38年12月。改版、平成11年5月)

鴻巣友季子(こうのすゆきこ)訳
『嵐が丘』
(新潮文庫、平成15年7月)

小野寺健(おのでらたけし)訳
『嵐が丘(上・下)』
(光文社古典新訳文庫、平成22年1・2月)

自らの感情をさらけ出すような
会話文がたくさん出てくるので、

これを違和感なく翻訳するのは
至難の業だろうと思います。

3、40年前の翻訳に、
違和感が目立つのは仕方のないことなのですが、

最近の翻訳でも、
なかなかしっくり来るものには出会いませんでした。

この中では、
河島訳がとくに優れていると感じました。


※Wikipediaの「ブロンテ姉妹」「エミリー・ブロンテ」「嵐が丘」を参照。
※「日本ブロンテ協会」のホームページ上にある「ブロンテ姉妹関連年譜」を参照。

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