2015年6月25日木曜日

【読了】Helen Cresswell, Moondial(OBW Stage3)

やさしい英語の本、通算108冊目は、

オックスフォード・ブックワームズの
ステージ3(1,000語レベル)の10冊目として、

イギリスの児童文学作家
ヘレン・クレスウェル(1934.7-2005.9)の
小説『月時計 Moondialを読みました。

著者53歳の時(1987.10)に出版された作品です。


Helen Cresswell
Moondial

Retold by John Escott
〔Penguin Readers Level3〕
Original edition (c) Helen Cresswell 1987
This simplified edition (c) Oxford University Press 2008
First published in Pxford Bookworms 1996
10,650語


ヘレン・クレスウェルという作家は、
これまでまったく知りませんでした。

本書には、
岡本浜江(おかもとはまえ)氏による翻訳があるので、
その「あとがき」を参照すると、

「ヘレン・クレスウェルは一九三四年、イギリスのイングランド中部にあるノッティンガムシャーで生まれたイギリスを代表する児童文学作家です。ロンドン大学のキングス・カレッジを卒業した後、教師、服飾のバイヤー、テレビ放送などさまざまな職業についたのち、著作を始めました。」

とあります。

1967年に発表された
『村は大きなパイつくり Piemakers 』
(岩波書店、1970年7月)
が出世作だそうで、こちらも猪熊葉子氏の翻訳で出版されています。


今回の『月時計』は、岡本浜江氏の翻訳で、
『幽霊の友だちをすくえ』という邦題で出版されています。


ヘレン・クレスウェル著
岡本浜江(おかもとはまえ)訳
『幽霊の友だちをすくえ』
(大日本図書 ジュニア・ライブラリー、1991年1月)

『月時計』では内容がわからないので、
小説の内容をそのまま邦題にしたようですが、

『月時計』という語感の、
神秘的な雰囲気も捨てがたいように感じました。

(古本で購入しましたが未読です。)


やさしい英語版で読んでみると、

主人公のミンティが
「月時計」を介して
現在と過去を行き来する
ファンタジー系の軽めの読み物です。

時間旅行に関わる表現は、
英語であまり読んで来なかったので、
独特の読みにくさがありましたが、

話の内容自体は、
現実的な感覚からもそれほど外れておらず、
わかりやすいものでした。

ただし
大人が読んで楽しめるかといえば、
独特の深みがあるわけでもないので、

原文にまでさかのぼりたくなるほどの
魅力は感じませんでした。


10代向けの楽しめるお話と考えれば、
十分な成功作だと思います。


※通算108冊目。計862,354語。

2015年6月12日金曜日

【読了】Robin Hood (PR Level2)

今回は、
前の600語レベルで読んでいなかった
1冊を取り上げました。

やさしい英語の本、通算107冊目は、
ペンギン・リーダーズのレベル2(600語レベル)の20冊目として、

中世イングランドの伝説上の英雄、
「ロビン・フッド」の物語を読みました。


Robin Hood

Retold by Liz Austin
〔Penguin Readers Level2〕
First published by Penguin Books 2000
This edition published 2008
8,760語


ロビン・フッドについては、

先日翻訳で、
アメリカ合衆国の作家
ハワード・パイル(1853.3-1911.11)が、
30歳の時(1883)に出版した小説
『ロビン・フッドの冒険』を読んだところです。

日本語訳の子供向け『ロビン・フッド』は、
パイル版からの翻訳が多いのですが、

今回の版を読んでみると、
パイルのとは設定の違うところが色々とあって、
若干戸惑いながらも興味深く、
読み進めることができました。


上野美子(うえのよしこ)氏著
『ロビン・フッド物語』(岩波新書、1998年6月)

を紐解いてみると、

パイル版『ロビン・フッド』に触発されて、
児童向けにさまざまなロビン・フッドの物語が出版されているようなので、

この場合は、
編者リズ・オースティン氏の解釈による
『ロビン・フッド』とみれば良いのでしょう。

英語圏の人々にとってなじみ深い分、

現代の小説として読めるよう工夫していて、
600語レベルの割には意外に手応えのある一冊でした。

古典なので型にはまったところもあるのですが、

今後いろいろな版で読み込んでいくことで、
ロビン・フッドの魅力にはまっていけたら楽しいかなと思います。


  ***

翻訳は、小林みき氏のをお薦めします。


ハワード・パイル著
小林みき訳
『ロビン・フッドの冒険』
(ポプラポケット文庫、2007年5月)

もうよく知っている人には簡単すぎると思いますが、
初めて手早くロビン・フッドについて知りたい人、
読みやすさを重視する場合は一番お薦めです。


※通算107冊目。計851,704語。


2015年6月10日水曜日

【読了】モンゴメリ著(掛川恭子訳)『アンの愛情』〔講談社〕

カナダの作家
ルーシー・モード・モンゴメリー(1874.11-1942.4)の
小説『アンの愛情 Anne of the Island 』を読みました。

40歳の時(1915.6)に出版された作品です。


ルーシー・モード・モンゴメリ著
掛川恭子(かけがわやすこ)訳
『完訳赤毛のアン シリーズ3 アンの愛情』
(講談社、1990年7月)

 ※『完訳クラシック 赤毛のアン3 アンの愛情』
  (講談社、1999年7月)に再録。


 ※『完訳クラシックス 赤毛のアン3 アンの愛情』
  (講談社文庫、2005年6月)に再録。


ここまでのアン・シリーズ出版の流れをまとめておきます。

1作目(長編1)
『赤毛のアン Anne of Green Gables
 33歳の時(1908.6)に出版、

2作目(長編2)
『アンの青春 Anne of Avonlea
 34歳の時(1909.9)に出版、

3作目(短編1)
『アンの友だち Chronicles of Avonlea
 37歳の時(1912.6)に出版、

4作目(長編3)
『アンの愛情 Anne of the Island
 40歳の時(1915.6)に出版、

3つ目の長編の前に、
短編集が出ていたことに今気がつきました。


村岡花子訳の新潮文庫版では、
出版順のとおりに刊行されていますが、

こちらの掛川恭子訳では、
8つの長編を先に刊行した後で、
2つの短編集が刊行されています。

モンゴメリの執筆順に、
ゆっくり楽しむのもありかなと思いますが、

短編集は、長編をすべて読破してからの楽しみに取っておきます。


1作目のすぐ翌年に
2作目『アンの青春』が出ていたのに比べて、

次の長編『アンの愛情』が出るまでに
6年近くを要しているので、
それなりに苦労のあとが偲ばれます。


  ***

2作目の後しばらく空きましたが、
ちょうどいい具合に前の記憶が消えて、
新鮮な気持ちで読み進めることができました。

3作目ともなると、
幼いのころの底抜けな明るさ、
発想の奇抜さ、常識はずれで妄想ばかりしている所などは、
成長とともに減ってこないとおかしいわけですが、

あまりに大人びてしまうと
アン独特のおもしろさも半減してしまうので、

そのあたりのバランスが難しかったのだろうなと思いつつ、
アンの成長の物語をふつうに楽しませてもらいました。

第1作目が大傑作だとすると、
2作目は傑作、この3作目は名作といった感じでしょうか。

次回作もまたのんびりと読み進めていこうと思います。

2015年6月3日水曜日

【読了】パイル著(小林みき訳)『ロビン・フッドの冒険』(ポプラポケット文庫)

アメリカ合衆国の作家
ハワード・パイル(1853.3-1911.11)の
小説『ロビン・フッドの冒険』を読みました。

パイル30歳の時(1883)に出版された作品です。

中世イングランドの伝説上の英雄
「ロビン・フッド」についての数々の伝説を、
パイルが一つの物語としてまとめ直したものです。

ロビン・フッドの伝説をまとめ直した本は、
ほかにもいろいろ出ているのですが、

その代表といえるのが
パイルの『ロビン・フッドの冒険』だそうです。


ハワード・パイル著
小林みき訳
『ロビン・フッドの冒険』
(ポプラポケット文庫、2007年5月)


パイルの原著に忠実な訳は、
村山知義(むらやまともよし)
・村山亜土(むらやまあど)両氏の共訳で
岩波少年文庫から出ています。


ハワード・パイル著
村山知義・村山亜土訳
『ロビン・フッドのゆかいな冒険1・2』
(岩波少年文庫、1951年8・9月。新版は2002年10月)

60年以上前の訳のわりには、
今でもそれなりに読めると思います。

ただし昭和20年代の、
荒っぽい、くだけた表現を多用しているため、
独特の読みにくさがあって、
私には楽しめませんでした。

その後、
とにかく読みやすいものをと思い、
いくつか手に取ってみた結果、

中野好夫氏の翻訳を手に入れて、
近々読むつもりで手もとに置いてありました。


中野好夫訳
『ロビン=フッドの冒険』
(講談社〔21世紀版 少年少女世界文学館〕2010年10月)
 ※初出は講談社〔少年少女世界文学館〕1988年7月。
 ※中野氏は講談社〔少年少女世界文学全集4イギリス編1〕1961年6月にも
  「ロビン・フッドの冒険」を訳出されているが未見。

中野訳でも実は文体に
多少の古さを感じたのですが、

新しい訳が出ていないのだから仕方がない
と思っていました。

それがつい最近、
2007年に出版された
小林みき氏による翻訳が出ていることを知りました。

早速手に取ってみたところ、

現代の日本語としてまったく違和感ない
リズムの良い訳文で、楽しみながら最後まで
読み終えることがでいました。

小学3・4年生くらいから読めるように編集されているので、

大人には簡単過ぎるくらいですが、
まずさっと「ロビン・フッド」について知りたい時にはお薦めです。


正直なところ、
それほど刺激的な内容でもなかったのですが、

古典ですので、
あら筋がわかった上でくりかえし読んで、
じわりじわりと良さがわかって来るのかもしれません。