やさしい英語の本、通算113冊目は、
オックスフォード・ブックワームズの
ステージ3(1,000語レベル)の15冊目として、
イギリスの小説家、
トーマス・ハーディ(1840.6-1928.1)の
短編集『見知らぬ三人の男 その他』を読みました。
※邦題は『トマス・ハーディ短編全集1』(大阪教育図書、2001-03)に従いました。
Thomas Hardy
The Three Strangers
and Other Stories
Retold by Clare West
〔Oxford Bookworms Stage3〕
This simplified edition (c) Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookwarms 2003
11,680語
やさしい英語で4冊目のハーディです。
1冊目の『らっぱ隊長』のみ、
長編小説を要約しすぎたためか、
何が面白いのかよくわからなかったのですが、
2冊目の『萎えた腕』、
3冊目の『ロングパドルからの物語』
4冊目の『見知らぬ三人の男』
と短編集ばかり読んでくると、
だいぶハーディの雰囲気がつかめてきたように思われます。
今回の1冊には、
1)「The Three Strangers (見知らぬ三人の男)」
2)「What the Shepherd Saw (羊飼いの見た事件)」
3)「A Moment of Madness (狂気の瞬間)」
→原題「A Mere Interlude (ただの幕間劇)」
の短編3編が収められていました。
1) 「The Three Strangers (見知らぬ三人の男)」は、
著者44歳の時(1888)に刊行された
第1短編集『Wessex Tales (ウェセックス物語)』に収録されました。
翻訳は、
山本紀美子訳
「見知らぬ三人の男」
(大榎茂行・内田能嗣監訳
『トーマス・ハーディ短編全集〈第四巻〉変わりはてた男 とほかの物語』
大阪教育図書、2001年2月に所収)
井出弘之訳
「三人の見知らぬ客」
(『ハーディ短篇集』岩波文庫、2000年2月に所収)
小林清一訳
「風来三人男」
(小林訳『ハーディ傑作短編集』千城、1991年4月に所収)
※小林訳『ハーディ傑作短篇集』(創元社、1984年3月)にも収録。
高畠文夫訳
「三人の見知らぬ客」
(『ハーディ短編集』角川文庫、1977年2月)
などが見つかりました。
最新の山本訳のみ未見。ほかは手に入れました。
井出訳、小林訳、高畑訳の中から選ぶとすれば
小林訳の実直な文体に好感がもてました。
ただどなたの訳も、
翻訳であることがよくわかる硬さのある訳文なので、
英語で感じたほどのおもしろさは感じませんでした。
2) 「What the Shepherd Saw (羊飼いの見た事件)」は、
著者73歳の時(1913)に刊行された
第4短編集『A Changed Man and Other Tales(変わりはてた男 とほかの物語)』
に収録されました。
翻訳は、
井上澄子訳
「羊飼いの見た事件」
(大榎茂行・内田能嗣監訳
『トーマス・ハーディ短編全集〈第四巻〉変わりはてた男 とほかの物語』
大阪教育図書、2000年5月に所収)
河野一郎訳
「羊飼の見た事件」
(河野訳『ハーディ短編集』新潮文庫、1968年11月〔19刷改版〕に所収)
※改版前(初刷1957年12月)に収録されていたかは未見のため不明。
などが見つかりました。
河野訳のみ手に入れましたが、
よくこなれていて読みやすいです。
現在絶版中で活字がこまかいのが難点です。
3) 「A Moment of Madness (狂気の瞬間)」も、
「A Mere Interlude (ただの幕間劇)」という原題で、
著者73歳の時(1913)に刊行された
第4短編集『A Changed Man and Other Tales(変わりはてた男 とほかの物語)』
に収録されました。
翻訳は、
山本紀美子訳
「ただの幕間劇」
(大榎茂行・内田能嗣監訳
『トーマス・ハーディ短編全集〈第4巻〉変わりはてた男 とほかの物語』
大阪教育図書、2000年5月に所収)
※出版社の宣伝で、本邦初訳とうたっていますが、
下掲の小林訳があるので、本邦初訳というのは誤りです。
小林清一訳
「ただの幕間劇」
(小林訳『ハーディ傑作短編集』千城、1991年4月に所収)
※小林訳『ハーディ傑作短篇集』(創元社、1984年3月)には未収録。
が見つかりました。
小林訳のみ手に入れました。
丁寧なわかりやすい訳文です。
ただしすべてを丁寧に訳しすぎて、
勢いに欠けるところもあるように感じました。
***
ハーディの短編には、
一見、退屈なだけに思える田舎の日常生活を、
ユーモアを交えつつ
上手に切り出してみせるものが多いようです。
時折、軽めのホラー的な要素が顔をのぞかせるのも
特徴のようで、
私にもそれなりに興味深く読めるものが多そうです。
まだ熱烈に入れ込むほどではありませんが、
次に読むハーディが楽しみになってきました。
※通算113冊目。計913,751語。
0 件のコメント:
コメントを投稿