やさしい英語の本、通算145冊目は、
ペンギン・アクティブ・リーディングのレベル3(1200語レベル)の3冊目として、
スコットランドに生まれ、
のちにカナダに移住した小説家
シーラ・バーンフォード(1918.5-1984.4)の
動物小説『信じられぬ旅』を読みました。
著者42歳の時、
1960年にカナダとイギリスで〔Toronto and London: Hodder & Stoughton〕、
1961年にアメリカで出版されました〔Boston: Little, Brown〕。
Sheila Burnford
The Incredible Journey
Retold by Joanna Strange
〔Penguin Active Reading Level 3〕
First Penguin Readers edition published 2004
This edition published 2008
14,895語
インターネットで
ペンギン・アクティブ・リーディングの目録を眺めているうちに、
ふと気になった作品です。
カナダの大自然を舞台に、
2匹の犬と1匹の猫が活躍する児童向けの動物小説ということで、
興味をもって読んでみることにしました。
調べてみると、
出版後すぐに大ベストセラーになったことから、
ディズニーによって映画化され、
今から53年前の1963年11月に初公開。
日本でも『三匹荒野を行く』という邦題で、
1965年1月に公開されましたが、
私の生まれるだいぶ前のことなので、
まったく知りませんでした。
ちなみに映画はアニメではなく、
実写版の動物映画です。
翻訳は次の3種類が見つかりました。
藤原英司(ふじわらえいじ)訳
『信じられぬ旅』
(集英社〔コンパクト・ブックス〕1965年)
※集英社〔動物文学シリーズ〕1969年に再録。
※集英社文庫(1978年12月)に再録。
※講談社〔世界動物文学全集14〕1979年12月に再録。
山本まつよ訳
『三びき荒野を行く』
(あかね書房〔国際児童文学賞全集10カナダ編〕1965年6月)
辺見栄(へんみさかえ)訳
『三匹荒野を行く』
(集英社〔世界の動物名作1〕1972年)
※辺見訳は市場にほとんど出回っていないようです。
一番手に入れやすい藤原訳を手に入れました。
わかりやすい正確な訳文ではありますが、
素っ気のない文体で、文章自体にはあまり魅力を感じませんでした。
一貫して第三者の視点から、
3匹の主人公を客観的に描き出していくスタイルで、
動物が人間のように自分のことをしゃべりだす場面はありません。
内容的にも「信じられぬ旅」とは言いながら、
ファンタジー的な要素はなく、
あくまで現実的にギリギリ起こりそうな事柄しか描かれていないので、
完訳で全部を読み切るのは、
少し退屈なことのように思われました。
ただし藤原訳から
すでに半世紀は過ぎているので、
新訳で装いを新たにすれば、
まったく違った印象を受ける可能性も高いです。
***
やさしい英語で読む分には、
退屈な思いをする間もなく、
どんどん物語が進んでいきますので、
動物が出て来る楽しいお話として、
簡単に読み進めることができました。
ただやはり、
ストーリーの展開が少し平板な気がするのも確かなので、
忘れられた傑作とまでいえるかどうかは、
少し時間をおいて再読してみたいと思います。
もしかしたら原書で読んだほうが、
魅力の伝わりやすい所があるのかもしれません。
シーラ・バーンフォード氏は
それほど多作でなかったようですが、
ほかにも邦訳が出ていないか調べてみると、
興味深い一冊が見つかりました。
中村妙子(なかむらたえこ)訳
『ベル・リア ―戦火の中の犬』
(評論社、1978年10月)
古本で安く手に入るので、
近々こちらも購入して読んでみようと思います。
※第145冊目。総計1,288,504語。
※Wikipediaの「Sheila Burnford」「The Incredible Journey」を参照。
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