2022年1月26日水曜日

【読了】はやみねかおる著『都会のトム&ソーヤ(1)』(2003)

昨年の秋に古本屋で、

こうやまのりお著

『ヒット商品研究所へようこそ!

 「ガリガリ君」「瞬足」「青い鳥文庫」はこうして作られる』

(講談社、2001年7月)

を手にしました。子供向けにヒット作を飛ばし続ける「青い鳥文庫」シリーズの秘密に迫る、興味深い1冊でした。どちらかとえいば古典的な作品のほうが好きなのですが、今の小中学生の心をしっかりとつかんだ作品群にも目を向けなければと思いました。

こうやま氏は、青い鳥文庫の中から、

 石崎洋司(いしざきひろし)氏の『黒魔女さん』シリーズ、

 令丈ヒロ子(れいじょう)氏の『若おかみは小学生!』シリーズ

 はやみねかおる氏の『名探偵夢水清志郎』シリーズ

 松原秀行(まつばらひでゆき)氏の『パスワード』シリーズ

 福永令三(ふくながれいぞう)氏の『クレヨン王国』シリーズ

などを紹介していました。こちらも何冊か手に入れたのですが、インターネットでいろいろ探しているうちにふと気になったのが、はやみねかおる氏の『都会のトム&ソーヤ』と呼ばれるシリーズでした。2003年に第1巻が刊行されて以来、2019年に第16巻、2020年に番外編として第16.5巻が刊行されています(未完)。

つい最近(2021年7月)、映画が公開されていたことはまったく知らずに、ただ自分の好きな『トム・ソーヤの冒険』から題名をとっていたことが気になって読んでみることにしました。

はやみねかおる(著)

にしけいこ(表紙・挿絵)

『都会のトム&ソーヤ (1)』

(講談社、2003年10月◇354頁)

内容上、本家の『トム・ソーヤの冒険』を想起させる場面はほとんどなく、男子中学生2人による現代風にアレンジされたほどほどの冒険がわかりやすく展開されていて、楽しいひと時を過ごすことができました。

小中学生のころに出会っていたら、一気に全巻読み進めていたかもしれません。今の私にとっては、すっと読めてしまうところが多少物足りなくもありました。でもまた時間があれば、もう少し読み進めてみたいなと思い、第3巻まで購入しました。続巻を読むことがあれば、また報告します。


2022年1月18日火曜日

最近買った本(研究報告の代わりに)

年末年始、論文執筆が思うように進まなかったので、その代わりとして秋から冬にかけて購入した専門書をいくつか紹介します。近くに大きな図書館がないので、毎月1、2冊、古本で安値がつくのを待って少しずつ購入しています。

細谷勘資著
細谷勘資氏遺稿集刊行会編
『中世宮廷儀式書成立史の研究』
(勉誠出版、2007年2月◇520頁)
※ここ数年、一番購入したかった1冊です。めったに市場に出ないので困っていたところ、12月のはじめに比較的安値で出ているのに気づき、急いで購入しました。遺稿集のため全体的な総論を欠いており、独特の取っ付きにくさはありますが、この分野で欠かすことのできない論文ばかりなので、田島公氏の諸論文と合わせて熟読し、研究史の正確な把握につとめたいです。

国書逸文研究会編
『国書逸文研究』1~30号
(1978年8月~1997年10月)
※かなり安値で出ていたので思わず購入しました。全巻揃えるつもりはなかったのですが、論文執筆のときに意外と必要なので、手元にあれば助かります。

そのほか同じく古書で、
朧谷寿著『堀河天皇吟抄 院政期の雅と趣』
(ミネルヴァ書房、2014年11月◇291頁)
佐藤全敏著『平安時代の天皇と官僚制』
(東京大学出版会、2008年2月◇407頁)
目崎徳衛著『貴族社会と古典文化』
(吉川弘文館、1995年2月◇291頁)
渡辺直彦著『日本古代官位制度の基礎的研究 増訂版』
(吉川弘文館、1978年10月◇590頁。初版は1972年10月)
など。新刊では
古藤真平著『宇多天皇の日記を読む』
(臨川書店、2018年7月◇270頁)
堀井佳代子著『平安宮廷の日記の利用法』
(臨川書店、2017年7月◇270頁)
遠藤慶太著『平安勅撰史書研究』
(皇學館大学出版部、2006年6月◇332頁)
などを購入しました。
近々手に入れたいのが、
前田育徳会尊経閣文庫編
『尊経閣善本影印集成66 台記』
(八木書店、2017年8月◇280頁)
明治大学除目書刊行委員会編
『明治大学図書館所蔵 三条西家本 除目書』
(八木書店、2021年5月◇344頁)
の2冊。『西宮記』研究に直接関わりそうなのは『台記』のほうですが、値段的に『除目書』のほうが先になりそうです。

2022年1月15日土曜日

黒猫騒動(新年のご挨拶)

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
年末年始は、論文執筆に少し時間を割きたいなと思っていたところ、十一月の後半に我が家の黒猫が事故にあい、治療にかかり切りになったため、研究はしばらくお休みせざるを得ませんでした。幸運に恵まれ、前より元気になって復活しましたので、事の顛末をまとめてみました。

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   黒 猫 騒 動
 忙しさも落ち着いてきた十一月半ば、多少は研究に時間がさけるかなと思った矢先、春に家の軒先で産まれそのまま居ついていた黒猫が、おどけて来客の車の下に入り込みそのままひかれてしまうという一件がありました。
 月曜の朝、ぎゃんという鳴き声とともにかけていったきり、二日ほどそのまま見えなくなって、もう駄目かと思った水曜の昼過ぎにふと現れ、縁側でじっとしているのを見つけました。触ってみると下腹と後ろ脚をひどく擦りむいていたものの、折れている様子はありませんでした。カリカリや水を近づけても見向きもしなかったので、どうしたものかと思案しているうちにまた姿を消してしまいました。
 それから一日おいた金曜のお昼過ぎに、縁側の白い座布団のうえで重箱ずわりしているのを再発見。少しでも元気になっていればという期待に反し、今回は下腹部がぷっくりと膨れて見るからにしんどそう。水すら受け付けない。お腹の中のほうに問題があるのなら放っておいて治るはずはないので、せっかくここまで持ち堪えたのならと、近くの動物病院に連れて行くことにしました。
 半野良のため素直について来てくれるか心配でしたが、ほどよいサイズの洗濯かごを選んで、底にバスタオルを敷いて黒猫をのせてみたところ、さすがに飛び出す元気はない。車内でも静かなもので、そのまま病院の入口をくぐって診察をお願いすると、「小動物を連れてくる際は洗濯ネットに入れて来るのが決まり」と受付の方に言われました。その場で貸していただいたネットに黒猫を押し込んで、ようやく先生に診ていただくことができました。
 先生の診るところ、骨折はしておらず、お腹の様子も膀胱破裂など最悪の状況ではないとのこと。ヘルニアが疑われるものの、現状かなり衰弱しているので、まずは抗生剤で傷の悪化を抑えつつ、水分と栄養を補給して様子を見ることになり、注射を三本うってもらって自宅へ連れて帰りました。
 それから数日、病院で水分と栄養を補給してもらっては自宅で静養させる生活を続けたところ、注射のおかげかだんだん元気を取り戻し、しばらくしてオシッコをしているところも発見。腎臓系に問題がないことがわかってホッとしました。しかし依然として自分から水を飲んだり、カリカリを食べたりする様子はなく、お腹の傷も、水分を補給するようになったからか再び湿ってきて、傷口から体液が漏れてくるようになりました。
 事故にあって十日目、水曜のお昼ごろ、お腹の傷から何か膜のようなものが垂れ下がり、ぽたぽたと体液が漏れているのを発見しました。急いで病院に連れていくと、手術に耐えられるかまだ少し心配だが、このまま放っておけないからと、そのまま入院して手術することになりました。それから四時間半に及ぶ手術をどうにか乗り越えて、無事終了とのお電話をいただいたのが夜の九時過ぎ。さいわい傷は腸には達しておらず、ただその寸前まで色々傷んでいた部分を切除し、縫い合わせたとのこと。恐らくこれで良くなるはずだが、数日は予断を許さないと。
 それから一日置きに電話して様子をうかがうと、日に日に元気になっていく嬉しい報告が続きました。事故以来なくなっていた食欲も回復し、カリカリを食べてウンチもするようになって、ああこれで生きられるのかなと一息つくことができました。
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 さてこの黒猫、半野良なので名前はなかったのですが、初めて病院に行った日に名前を聞かれ、「まだない」というわけにもいかず、毛色のまま「クロです」と答えました。これ以降、彼女は家でも病院でも「クロ」「クロちゃん」と呼ばれる存在になりました。黒毛にありがちなのか、考え込んで思索にふけるのとは真逆で、誰にもフレンドリーで人懐こく、嫌なこともすぐに忘れるタイプ。車を怖がる様子もなく、日ごろの通院も楽なほう。ネアカな性格の猫がいることに驚かされる毎日でした。
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 入院生活は十日ほどで終わり、家に帰る日、同時に抜糸していただく予定が、縫い合わせたところがまだ湿っていたので抜糸のみ延期になりました。傷跡を舐めてしまわないように首に大きな青色のカラーをつけて、事故前より一回り小さくなったクロは、車に乗せられハイになって無事ご帰宅となりました。
 それから日に日に元気になっていくはずだったのですが、数日して傷跡が乾いてくると、体に溜まっていた悪いものが出る場所を失ったのか、下腹部がまたぷっくりとふくれてきました。オシッコがしづらそうかもと感じた翌日にはお腹が一層ふくれ、トイレに座っても何も出なくなってしまいました。気づいたのが夜遅くだったので翌朝まで一緒にいて注意していると、下腹部のさらに下の方が小さく裂けて、中から白い液体が一気に飛び出てきました。周りがベトベトになって大変でしたが、クロ本人はホッとした表情。少し時間を置いてたまっていた尿も大量に出て、一息つくことができました。
 翌朝病院に連れていくと、お尻の近くに二つ穴があいていて、治療が必要な状態。体内の悪いものが出切って傷が自然にふさがるまで、毎日通うことになりました。無事に治るか心配しましたが、入院前と比べれば遥かに元気はあって、家で毎日ご飯を食べて、仲間の猫と遊んでいるうちに、十日ほどで傷はふさがり、期待膨らむ年末となりました。
 年明けも変わらず元気でしたので、ようやく抜糸をしてもらい、ついでに体重を測ると二・七キロ。最初にかつぎこまれた時は二キロちょうどだったので、手術後ひと月ほどで七〇〇グラムほど重たくなったことになります。見た目も一回り大きくなって、自由に動けるようになった嬉しさからか、お尻ふりふりハイテンションで仲間の猫に飛びかかってこちらが冷や冷やするくらい。
 先日(一月十二日)ついに首のカラーが外れ、無事に全快の運びとなりました。良い獣医さんとの出会いに恵まれたことに感謝。

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というようなことがありました。

















1月6日のクロとその母親