坂井三郎 著
『大空のサムライ 上 ― 死闘の果てに悔いなし』
(講談社プラスアルファ文庫、平成13年4月)
『大空のサムライ』の書名は前から知っていましたが、
その重要性に気づくことなく、今まで過ごして参りました。
近現代史には昔から興味があるのですが、
車や船や飛行機にあまり興味がないからか、
具体的な戦史となると、
どこから手を付けたらよいのかわからなかった
というのが正直なところです。
最近、中川八洋氏の『山本五十六の大罪』を読み、
海軍の実情を語る際の傍証として、
坂井氏の著書(零戦の最後)が引用されていたのを見て、
自分でも読んでみようと思いたちました。
現在、すぐに手に入るのが、
講談社プラスアルファ文庫に収録されている
上下2冊本でしたので、そちらを購入しました。
まだ上巻を読み終わっただけですが、
こういう現場で戦った軍人さんの眼からみた、
戦史というものを、
私はこれまであまり重視して来なかったなあ、
と反省しました。
読んでまず驚いたのは、
記述が非常に詳細なことでした。
記憶をたどるだけでは、
とてもこれだけのものは書けない、
と思いました。
詳しくはまだこれから調べますが、
詳細な日記をつけておられたとのことです。
それなら合点がいきますが、
その日に起こった戦闘について、
ふりかえって詳細な記録をつけ続けること自体、
簡単なことではないはずなので、
坂井氏の能力の高さに感心しました。
冷静に考えれば、
戦闘機を操縦し、敵機を撃墜することは、
精神論だけでどうにかなるわけはなく、
高度な知的水準を備えた人たちが、
零戦に搭乗されていたことを知っただけでも、
本書を読んだ価値がありました。
まだ知らないことばかりの状態ですので、
今後、勉強を続けながら、
たびたび再読していきたいと思います。
なおよく売れた本であるからか、
書誌的にほぼ同じ内容のものが、
書名のみ変えて何度か出版されているようです。
とりあえず、わかったことだけ記しておきます。
講談社プラスアルファ文庫が出た翌年に、
光人社NF文庫から、
『大空のサムライ』3冊本に、
対談本1冊をそえたのものが出ています。
『大空のサムライ ― かえらざる零戦隊』
(光人社NF文庫、新装改訂版、平成15年4月)
『続・大空のサムライ ― 回想のエースたち』
(光人社NF文庫、新装改訂版、平成15年4月)
『戦話・大空のサムライ ― 可能性に挑戦し征服する極意』
(光人社NF文庫、新装改訂版、平成15年4月)
坂井三郎・高城肇 著
『大空のサムライ・完結編 ― 撃墜王との対話』
(光人社NF文庫、平成15年7月)
一番はじめに、これらの元本として、
『坂井三郎 空戦記録』(講談社、新版、平成4年12月)
が出版されているようです。
これらの各冊の関係、初出年代は、
これから調べ、わかりしだいブログを更新していきます
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