2012年6月23日土曜日

【読了】L.M.Montgomery, Anne of Green Gables (PAR Level 2)

やさしい英語の本、通算23冊目、
Peguin Active Reading の Level 2 から、

カナダの小説家
ルーシー・モード・モンゴメリ(1874年生 1942年没)
の名作『赤毛のアン』を読みました。


L.M.Montgomery
Anne of Green Gables

Retold by Anne Collins
(Penguin Active Reading Level 2)
2007年刊(7,856語)


『赤毛のアン』の書名は、
物心ついたころから知っていましたが、
十代二十代のころは、女の子が読む本と思い込んで、
ほとんど見向きもしませんでした。

三十代も半ばを過ぎたころに、
ふと、読んでみようと思いたち、
文庫本で、風景画の表紙が美しい、
掛川恭子氏の手になる「完訳クラシック 赤毛のアン」
のシリーズを読んで行きました。

確か6冊目まで読んだところで中断してしまったので、
まだ全巻読み終えてはいませんが、
はじめの数冊目までの圧倒的な魅力は
十分に感じ取ることができました。

『赤毛のアン』は、ぜひ原著でも、
楽しめるようになりたいと思っております。


さてこの Penguin Active Reading Level 2
に収録されているリトールド版は、

やさしすぎの感もありますが、
美しい挿絵とともに、1週間もかからず、
楽しんで読み終えることができました。

有名な場面はすべて含んでいますから、
そういえばこういう話だったよなと、
あらすじをざっとたどり直すのに最適です。



『赤毛のアン』は、
村岡花子氏が日本に紹介されて以来、
国民に広く親しまれてきた作品ですので、
優れた翻訳がたくさん出ています。

いくつかご紹介します。

わかりやすさでダントツなのが、
掛川恭子氏の翻訳です。


掛川恭子 訳『完訳クラシック 赤毛のアン1 赤毛のアン』
(講談社文庫、平成17年4月。初出は講談社、平成11年5月)

シリーズが文庫本で
すべて揃っているところもありがたく、

『源氏物語』を読了次第、
もう一度、挑戦したいと思っております。



外せないのが、
定盤ともいえる村岡花子氏の翻訳です。



村岡花子 訳『赤毛のアン・シリーズ1 赤毛のアン』
(新潮文庫、平成20年2月)
※花岡美枝・恵里両氏による補訳、改訂版。
※新潮文庫への旧版収録は昭和29年7月。

前に少し読んでみたときには、
訳文が固く古めかしい感じがして遠ざけていたのですが、

最近読みなおしてみると、
作品の成立した時代(1908年)の雰囲気を
よく伝える味わい深い、品のある訳文だと、
思いなおすようになりました。

音読したときのリズムの心地良さは、
村岡訳が一番だと思います。



一つ注意しておきたいのは、
村岡花子訳には2種類あることです。

新潮文庫に収録されている村岡花子訳は
「である」調で統一されているのに対して、

同じく村岡花子訳として、
講談社青い鳥文庫に収録されているものは
「です・ます」調で統一されていて、

印象のまったく異なる訳文となっております。


村岡花子 訳『赤毛のアン(新装版)』
(講談社青い鳥文庫、平成20年7月)
※村岡美枝氏による改訂版。
※講談社青い鳥文庫への旧版収録は昭和59年7月。
 このときの解説は村岡みどり氏。

講談社青い鳥文庫に初収録(昭和59年)されたのは、
村岡花子氏の没後(昭和43年)しばらくたってからなので、

「です・ます」調への改変は、
ご子息の手による可能性もありますが、
巻末には文体の変更についてまったく言及がないので、
花子氏が原稿のみ用意されていた可能性もあります。

今のところ経緯は不明としておきます。


講談社青い鳥文庫は、総ルビ付きで、
挿絵もかわいらしいので、
最初に手に取る方も多いと思われますが、

「です・ます」調の訳文がややまどろっこしく、
新潮文庫本の歯切れのよい訳文を知っている身からすると、
今ひとつの感がありました。

ただし初めて読む分には、
なんら問題のない訳文だと思います。



総ルビ付きで、かわいらしい挿絵もあって、
とにかく読みやすく編集されているものとしては、



木村由利子 訳『新訳 赤毛のアン』
(集英社みらい文庫、平成23年3月)

が一番お薦めです。

小中学生のうちに、
作品の魅力にの気がつくためには、
これで十分だと思いますし、大人が読んでも楽しめました。


※計23冊 計197,270語

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