2012年12月18日火曜日
【読了】バーネット著『小公子』(脇明子 訳)
フランシス・ホジソン・バーネット著/脇明子 訳
『小公子』(岩波少年文庫、平成23年11月)
イギリス生まれの作家
フランシス・ホジソン・バーネット
(Frances Hodgson Burnett 1849.11-1924-10)
が37歳のとき(1886年)に書いた小説
『小公子(Little Lord Fauntleroy)』を読みました。
バーネットは、
三十代半ばを過ぎてから
『秘密の花園』『小公女』と読んできて、
美しい自然の描写と、
人の感情のより美しい部分を描いていこうとする姿勢に共感し、
お気に入りの作家になりました。
もとは英語で書かれているので、
いずれ原書のまま楽しめるようになりたいと思っていますが、
今回は日本語訳で、
『小公子』を読んでみました。
『小公子』は、なかなか
自分にしっくり来る翻訳に出会わなかったので、
後回しになってきたのですが、
昨年出版された
脇明子さんの翻訳は、
現代の日本語としてよくこなれており、
違和感なく、話に入り込むことができました。
一種のおとぎ話ではありますが、
バーネットの筆にかかると何となくありえそうな話にも思えて来て、
想像していた以上に楽しむことができました。
人の心の美しく明るい側面が、
周りに与える良い影響について、
考えなおす機会になりました。
現実はそんなに甘くないにせよ、
後ろ向きに悪いことばかり心配していても、
良いことは起こらないわけで、
心を美しい方向へ導いてくれる物語の存在は貴重です。
脇明子さんは
ごく最近『小公女』の訳も上梓されたようなので、
そちらも近々読んでもたいと思います。
ざっと『小公子』の翻訳を調べてみました。
西田佳子 訳
(西村書店、平成22年3月)※書名『小公子セドリック』
坂崎麻子 訳
(偕成社文庫、昭和62年9月)
吉野壮児 訳
(角川文庫、昭和62年11月)※書名『小公子セディ』
蕗沢忠枝 訳
(ポプラ社文庫、昭和62年12月)
岡上鈴江 訳
(旺文社文庫、昭和53年1月)
川端康成 訳
(河出書房新社〔世界文学の玉手箱〕平成4年12月)
※初出はポプラ社〔世界の名著〕昭和42年8月
村岡花子 訳
(講談社〔21世紀版少年少女世界文学館〕平成22年12月)
※初出は講談社〔少年少女世界文学全集13 アメリカ編3〕昭和33年。
講談社〔少年少女世界文学館10〕昭和62年9月に再録。
講談社〔青い鳥文庫〕昭和62年12月に再録。
吉田甲子太郎 訳
(岩波少年文庫、改版、昭和61年。初版、昭和28年)
中村龍三 訳
(新潮文庫、改版、昭和62年。初版、昭和28年)
若松賤子 訳
(岩波文庫、改版、昭和14年8月)
村岡花子訳も手に入れましたが、
「お母さま」という訳が今では古めかしく、少し違和感がありました。
最近の西田佳子氏の訳は、近々読んでみようと思っています。
※Wikipediaの「フランシス・ホジソン・バーネット」「小公子」の項目を参照。
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