やさしい英語の本、通算34冊目、
Penguin Active Reading Level2 の5冊目、
アメリカの小説家
ジャック・ロンドン(1876-1916)の
小説『野性の呼び声』(1903)を読みました。
ロンドン27歳のときの作品です。
Jack London
The Call of the Wild
Retold by Tania Iveson
(Penguin Active Reading の Level2)
2007年刊(9,280語)
実は最近まで、
書名すら知らなかったのですが、
光文社古典新訳文庫から出た
深町眞理子氏訳の『野性の呼び声』が気になって、
いずれ読もうかなと思っていたところ、
名古屋のジュンク堂書店で、
リトールド版が出ているのを確認し、
読んでみることにしました。
カリフォルニアで飼われていた
飼い犬バックが家から盗み出され、
アラスカでそり犬となり、
鍛えられるうちに野性を取り戻し、
狼の群れの中へと入っていく物語です。
1848年に、
カリフォルニアで金が発見され、
ゴールドラッシュが始まったことはよく知られていますが、
1899年に、
アラスカでも金が発見され、
ゴールドラッシュが起こり、
当時、犬ぞりの需要が高まったことが
物語の背景となっているようです。
犬と心が通いあう、
心暖まるストーリーを期待していたところ、
そうした場面も含まれているものの、
調教のために犬を虐待する場面や、
喧嘩で犬同士が殺しあう場面や、
そりを引けなくなっ犬をやむなく射殺する場面なども描かれていて、
自然の中で生きていく厳しさをそのまま描きながら、
それでも力強く生きていこうとする
バックの前向きな姿に感動しました。
これは確かに、
今後も読み返すに足る名作だと思いました。
ロンドンは、アメリカ人に珍しく、
社会主義者として知られているようですが、
今回読んだ限りでは、
『野性の呼び声』の中に、
社会主義を直接 賛美する要素はないようです。
翻訳を調べました。
(網羅していません。)
深町眞理子 訳『野性の呼び声』(光文社古典新訳文庫、平成19年9月)
辻井栄滋 訳『野性の呼び声』(現代教養文庫、平成13年12月。『決定版 ジャック・ロンドン選集1』〔平成20年6月〕に再録)
吉田秀樹 訳『野生の呼び声 ―名作再発見シリーズ』(あすなろ書房、平成11年9月)※挿絵多し。編訳か未見。
海保真夫 訳『荒野の呼び声』(岩波文庫、平成9年12月)
阿部知二 訳『荒野の呼び声』(偕成社文庫、昭和52年2月。初出は『世界大ロマン全集 第28巻 白い牙・荒野の呼び声』〔東京創元社、昭和32年〕)
大石真 訳『野性の呼び声』(新潮文庫、昭和34年6月)
三浦新市 訳『野性の呼び声』(河出文庫、昭和30年)
岩田欣三 訳『荒野の呼び声』(岩波文庫、昭和29年)
山本政喜 訳『荒野の呼び声』(角川文庫、昭和28年)
ロンドンの動物小説は、
『野性の呼び声』のほかにもう一つ、
『白い牙』という作品も有名なので、こちらも調べました。
深町眞理子 訳『白い牙』(光文社古典新訳文庫、平成21年3月)
辻井栄滋 訳『白牙』(現代教養文庫、平成14年6月)
神宮輝夫 編訳『白い牙 ― 痛快世界の冒険文学20』(講談社、平成11年5月)
白石佑光 訳『白い牙』(新潮文庫、改版、昭和33年11月)
阿部知二 訳『白い牙・荒野の呼び声 ―世界大ロマン全集 第28巻』(東京創元社、昭和32年)
本多顕彰 訳『白い牙』(岩波文庫、昭和32年)
山本政喜 訳『白い牙』(角川文庫、昭和28年)
これらの中から、
まずは深町眞理子さんか、
辻井栄滋さんを選ぶべきでしょうか。
『白い牙』は、白石佑光訳(新潮文庫)の勢いのある出だしにも惹かれています。
手に入れて読んでみて、また報告します。
※Wikipedia の「ジャック・ロンドン」「野生の呼び声」を参照。
※日本ジャック・ロンドン協会のホームページ
〈http://www2d.biglobe.ne.jp/~to_yoshi/JLJAPAN.htm〉を参照。
※計34冊 計279,759語。
0 件のコメント:
コメントを投稿