森絵都(もりえと 1968.4- )の本、
5冊目は小説『つきのふね』を読みました。
著者30歳の時(1998.6)に刊行された作品です。
第36回野間児童文芸賞(1998)を受賞。
森絵都著
『つきのふね』
(角川文庫、平成17年11月)
※初出〔単行本〕は講談社、平成10年6月。
デビュー以来、
『リズム』(1991)
『ゴールドフィッシュ』(1991)
『宇宙のみなしご』(1994)
と長編が3作続いた後、
短編集
『アーモンド入りのチョコレートのワルツ』(1996)
をはさんで、
再び取り組まれた4作目の長編が
『つきのふね』(1998)でした。
私が最初に読んだ
森絵都の小説『カラフル』はこの後、
5作目の長編に当たります。
こういう流れでみてみると、確かに
『宇宙のみなしご』
『つきのふね』
『カラフル』
の3作は似た色調の作品でした。
発表順に物語としての完成度が高くなり、
『カラフル』には一歩及ばないものの、
『宇宙のみなしご』よりは数段よい出来で、
クライマックスに向けての感動は
『つきのふね』が一番でした。
人が生きていく時の孤独さに、
軽めのタッチですがしっかり向き合って、
ごく穏当な答えに行きついているのは好感がもてました。
途中の展開に、
少し停滞を感じたのがマイナスでしたが、
新しい方向性を模索しているのかな、
と思えば納得できるレベルでした。
森絵都の作品は、
発表の速度がゆっくりだからかもしれませんが、
一作ずつ着実に進化していて、
変わっていく様子を作品ごとに読み取れるのがおもしろいです。
次はどんな進化を見せてくれるのでしょうか。
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