2014年11月30日日曜日

【読了】Frances Hodgson Burnett, The Seacret Garden (OBW Stage3)

やさしい英語の本、通算92冊目!

オックスフォード・ブックワームズの
ステージ3(1,000語レベル)の3冊目として、

イギリス生まれの小説家
フランシス・ホジソン・バーネット(1849.11-1924.10)の
小説『秘密の花園』を読みました。

著者61歳の時(1911.8)に出版された作品です。


Frances Hodgson Burnett
The Secret Garden

Reyold by Clare West
〔Oxford Bookworms Stage 3〕
This simplified edition (c) Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms 1993
10,715語


『秘密の花園』は、

やさしい英語で2年3ヶ月ほど前に(2012.7)、

ペンギン・アクティヴ・リーディングの
レベル2(600語レベル)で読んでいるので、
2回目の挑戦になります。

前回よりかなり語彙レベルが上がっているので、
多少の難しさはありましたが、

その分物語の内容にまで踏みこんで、
それなりに充実した内容を楽しむことができました。


『小公子』や『小公女』とは打って変わって、

両親からの愛情をまったく受けずに、
わがままし放題に育てられた結果、

心に深い傷を負い、自分勝手な癇癪持ち、
誰からも好かれない子供に育ってしまった少女メアリーが主人公です。

長らく捨ておかれた「秘密の花園」に出会い、
土を掘り、花の種を植え、花と鳥にあふれた花園に再生していく中で、
徐々に自分の心をも取り戻していく物語。

読むたびに心洗われる思いのする小説です。


翻訳は、初めに読んだ
土屋京子(つちやきょうこ)氏の印象がまだ強く、
一番のお薦めです。


土屋京子訳
『秘密の花園』
(光文社古典新訳文庫、2007年5月)

ただし大人が読んで調度良いように訳されているので、
小中学生には少し難しいかもしれません。

挿絵入りで、
小学生高学年くらいから読めるものとして、
山内玲子(やまのうちれいこ)氏が良さそうだと
手元に置いてありますが、まだ読み終えていません。


山内玲子訳
『秘密の花園(上・下)』
(岩波少年文庫、2005年3月)

挿絵も含めて考えると、
山内訳が一番かもと思い始めているのですが、

最近もう一人、
谷口由美子(たにぐちゆみこ)氏の全訳も出ています。


谷口由美子訳
『秘密の花園1・2・3』
(講談社青い鳥文庫、2013年2・3・6月)

ハッキリクッキリした感じの、
女の子向きの挿絵に買うのを少し躊躇しましたが、

誰にもわかりやすい丁寧な訳文なので、
挿絵を気に入れば、谷口訳もおもしろそうです。


あと1点、
完訳でも特別読みにくくはないのですが、

多少冗長なところを削って、
読みやすさ重視で編集しなおしたものとして、

栗原ちひろ氏の編訳は、
純粋に日本語の小説としてみた場合、
一番読みやすく優れていると思いました。


栗原ちひろ編訳
『秘密の花園』
(角川つばさ文庫、2012年10月)

少しでも読みにくいと放り出しそうな場合は、
子供さんに限らずお薦めです。


※通算92冊目。計718,733語。

※Wikipediaの「フランシス・ホジソン・バーネット」「秘密の花園」を参照。

2014年11月26日水曜日

【読了】Charles Dickens, A Christmas Carol (OBW Stage3)

やさしい英語の本、通算91冊目!

オックスフォード・ブックワームズの
ステージ3(1,000語レベル)の2冊目として、

イギリスの小説家
チャールズ・ディケンズ(1812.2-1870.6)の
小説『クリスマス・キャロル』を読みました。

著者31歳の時(1843.12)に出版された作品です。


Charles Dickens
A Christmas Carol

Reyold by Clare West
〔Oxford Bookworms Stage 3〕
This simplified edition (c) Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms1996
10,385語


『クリスマス・キャロル』は、
ディケンズのファンになるきっかけになったお話です。

やさしい英語では、
マクミランリーダーズのレベル3(1100語レベル)と、
ペンギン・リーダーズのレベル2(600語レベル)で読んでいるので、
3回目の挑戦です(2012年2月/2013年8月)。


今回は1000語レベルですが、
3冊のなかでは一番むつかしい印象でした。

原文を活かす方針なのか、
ところどころに見慣れない言い回しがあって、
多少の読みにくさを感じました。

その分、
だんだん原文に近づいているのかもと思い、
パフィン・クラシックスというシリーズで、
『クリスマス・キャロル』の原著を購入してみましたが、
まだまだとても歯がたたないことを知りました。


Charles Dickens
A Christmas Carol

Puffin Classics
First published 1843
First published in Puffin Books 1984
Reissued in this edition 2008

ディケンズの英文には、
明治の文豪の文章を読むのに似たわかりにくさを感じます。

すぐには難しいと思いますが、
いずれ日本語の小説を読むのと同じように、
楽しめたらいいなと思っています。


有名な作品ですが、
原文をそのまま再現しようとすると、

イギリス独特の古い言い回しが多いからか、
どうしても違和感のある訳文になってしまうようです。


子供にもわかりやすい翻訳として一番のお薦めは、
木村由利子(きむらゆりこ)氏です。


木村由利子訳
『新訳 クリスマス・キャロル』
(集英社みらい文庫、2011年11月)

ディケンズの翻訳にはめずらしく、
いかにも訳文といったところが皆無で、

日本語のふつうの小説として、
誰にでもよくわかるように訳してあります。

ストーリーの省略もないので、
物語をとりあえず楽しみたい方にはお薦めです。


ディケンズの原文にできるだけ忠実な訳で、
という趣向からは、

中川敏(なかがわさとし)氏がお薦めです。


中川敏訳
『クリスマス・キャロル』
(集英社文庫、1991年11月。改訂第11刷、2006年11月)

完訳を志向する中では、
一番読みやすい翻訳でしたが、

子供が読むにはわりと難しい語彙、
まわりくどい表現があって、

一気に通読できたわけでないことは告白しておきます。

でもディケンズの文体に慣れてくると、
このまわりくどさが癖になるのかもしれません。


中川敏氏と同じ趣向で、
原文にできるだけ忠実に、
しかしできるだけわかりやすい翻訳として、
脇明子(わきあきこ)氏も気になっています。


脇明子訳
『クリスマス・キャロル』
(岩波少年文庫、2001年12月)

こちらは未読なので、
読み終わり次第また報告します。


※通算91冊目。計697,367語。

やっと70万語に到達しました!!
100万語まで残り30万語となりました。

月に3万語なら10ヶ月、
月に2万語でも15ヶ月あれば到達します。

恐らく1000~1500語レベルのものを読んでいくうちに
100万語到達となりそうです。

それくらいだと、
高校生のリーダーレベルなら、
辞書なしでスラスラ読めるくらいだろうと思います。

そこから先、
200万語に到達するまでに、
大学入試レベルがスラスラ読めるようになれば、
児童書なら原文のままで読めるものも出て来そうです。

さらにその先となると、
まだ霧の中でどうなるかわかりませんが、

300万語まで飽きずに続ければ、
ディケンズを原文で楽しむこともできるのかな、
と淡い期待を抱いています。


※Wikipediaの「チャールズ・ディケンズ」「クリスマス・キャロル(小説)」を参照。

2014年11月11日火曜日

【読了】エミリー・ブロンテ著(河島弘美訳)『嵐が丘(上・下)』(岩波文庫)

イギリスの小説家
エミリー・ブロンテ(1818.7-1848.12)の
小説『嵐が丘』を読みました。

ブロンテ姉妹の四女、
エミリーが亡くなる前年、
29歳の時(1847.12)に出版された
著者唯一の長編小説です。


エミリー・ブロンテ著
河島弘美(かわしまひろみ)訳
『嵐が丘(上・下)』
(岩波文庫、平成16年2・3月)


姉シャーロットの『ジェイン・エア』に感動した後、
妹エミリーの『嵐が丘』もぜひ読んでみたいと思い、

いろいろな翻訳に手を出したのですが、
なかなかこれならと思えるものに出会いませんでした。

そうした中で、
河島弘美(かわしまひろみ)氏の翻訳は
画期的にわかりやすく、

最近の日本語の小説を読むのと変わらぬ感覚で、
最後まで読み進めることができました。


おたがいの内に秘めた愛憎がすれ違い、
傷つけあい、もつれにもつれてからみあう
色濃い人間の感情のぶつかりあいが描かれていて、

姉の『ジェイン・エア』と比べると、
はるかにドロドロとした小説でした。

死んでようやく安らぎの場所を得るまでの、
悲劇の過程を描いた小説といえましょうか。


わたしの読みが浅いだけかもしれませんが、
一回読んだだけでは多少雑然とした印象もあり、

これが本当に名作といえるのか、
少し時間を置いて読みなおしたいと思います。


   ***

河島訳のほか、
次の翻訳にも目を通しました。

阿部知二(あべともじ)訳
『嵐が丘(上・下)』
(岩波文庫、昭和35年7月・36年11月)

大和資雄(やまとやすお)訳
『嵐が丘』
(角川文庫、昭和38年12月。改版、平成11年5月)

鴻巣友季子(こうのすゆきこ)訳
『嵐が丘』
(新潮文庫、平成15年7月)

小野寺健(おのでらたけし)訳
『嵐が丘(上・下)』
(光文社古典新訳文庫、平成22年1・2月)

自らの感情をさらけ出すような
会話文がたくさん出てくるので、

これを違和感なく翻訳するのは
至難の業だろうと思います。

3、40年前の翻訳に、
違和感が目立つのは仕方のないことなのですが、

最近の翻訳でも、
なかなかしっくり来るものには出会いませんでした。

この中では、
河島訳がとくに優れていると感じました。


※Wikipediaの「ブロンテ姉妹」「エミリー・ブロンテ」「嵐が丘」を参照。
※「日本ブロンテ協会」のホームページ上にある「ブロンテ姉妹関連年譜」を参照。

2014年11月4日火曜日

【読了】Mark Twain, Huckleberry Finn (OBW Stage2)

やさしい英語の本、通算90冊目!

オックスフォード・ブックワームズの
ステージ2(700語レベル)の22冊目として、

アメリカの小説家
マーク・トウェイン(1835.11-1910.4)の
小説『ハックルベリー・フィンの冒険』を読みました。

著者49歳の時(1884.12)に出版された作品です。
(イギリス版。アメリカ版は1885年2月刊行。)


Mark Twain
Huckleberry Finn

Retold by Diane Mowat 〔Oxford Bookworms Stage 2〕
This simplified edition (c) Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms1994
6,180語


ステージ3(1,000語)に進んだばかりですが、

読むのを忘れていたのに気がついて、
ステージ2(700語)に戻ってきました。

『ハックルベリー・フィンの冒険』は、

やさしい英語で
3年前(2011.9)にも読んでいるので、
2度目の挑戦になります。

今年のはじめ(2014.1)には
斉藤健一(さいとうけんいち)氏による全訳も読了しているので、

ああそうだったなと、
あら筋を確かめながら
一気に読み終えることができました。

話の流れがつかめてくるまでは
『トム・ソーヤーの冒険』のほうが面白かったのですが、

いったんどんな話かわかってくると、
『ハックルベリー・フィンの冒険』のほうが味わい深くなってきました。


トウェインの英文は一癖あるようなので、
原文を読めるレベルまでいけるかまだわかりませんが、

『トム・ソーヤーの冒険』と
『ハックルベリー・フィンの冒険』が

原文で読めたら楽しいだろうとと思うので、
目標としてがんばります。


  ***

翻訳はいくつか手に取ってみた中では、


斉藤健一(さいとうけんいち)訳
『ハックルベリー・フィンの冒険(上・下)』
(講談社青い鳥文庫、1996年9月)

が一番読みやすかったです。


また最近刊行された、
土屋京子氏による新訳も期待大です。


土屋京子(つちやきょうこ)訳
『ハックルベリー・フィンの冒険(上・下)』
(光文社古典新訳文庫、2014年6月)

土屋訳は2年前(2012.6)に刊行された
『トム・ソーヤーの冒険』の翻訳がとても良かったので、
こちらにも期待しています。

読了しだいまた報告します。


※通算90冊目。計686,982語。

※Wikipediaの「マーク・トウェイン」「ハックルベリー・フィンの冒険」を参照。

※トウェイン著/土屋京子訳『トム・ソーヤーの冒険』(光文社古典新訳文庫、2012年6月)所収の「トウェイン年譜」を参照。

2014年11月3日月曜日

【読了】塩野七生著『ローマ人の物語21 危機と克服[上]』

少しさぼっていましたが、
塩野氏の「ローマ人の物語」、
次の巻を読み進めて参ります。


塩野七生著
『ローマ人の物語21 危機と克服[上]』
(新潮文庫、平成17年10月)
 ※初出〔単行本Ⅷ〕は新潮社、平成11年9月。


21-23冊目『危機と克服』では3巻を使って、

 皇帝ガルバ    (在位 68.6-69.1)
 皇帝オトー    (在位 69.1-69.4)
 皇帝ヴィテリウス (在位 69.4-69.12)
 皇帝ヴェスパシアヌス(在位 69.12-79.6)
 皇帝ティトゥス  (在位 79.6-81.9)
 皇帝ドミティアヌス(在位 81.9-96.9)
 皇帝ネルヴァ   (在位 96.9-98.1)

という7名の皇帝を取り上げています。

17-20冊目『悪名高き皇帝たち』では4巻を使って、

 皇帝ティヴェリウス(在位 14.9 -37.3)
 皇帝カリグラ   (在位 37.3 -41.1)
 皇帝クラウディウス(在位 41.1 -54.10)
 皇帝ネロ     (在位 54.10-68.6)

という4名の皇帝を取り上げていました。

カリグラ、ネロという問題のある皇帝でさえ、
それぞれ4年、14年の在位期間があったのに対して、

ガルバが即位してからオトー、ヴィテリウスを挟んで
ヴェスパシアヌスが即位するまでわずか1年半。

目まぐるしく皇帝が変わり、
底が抜けてしまったかのように、
不安定な状況に置かれていたことがわかります。

この上巻では、

 皇帝ガルバ    (在位 68.6-69.1)
 皇帝オトー    (在位 69.1-69.4)
 皇帝ヴィテリウス (在位 69.4-69.12)

という有能とは正反対の皇帝が、
擁立されては次々に倒れていくさまが描かれていました。

戦いも行きあたりばったりなところがあって、
読んでいてもどかしい思いをすることが多かったです。

もう数年こうした状態が続いていたら、
さすがのローマ帝国も終わりを迎えていたようですが、

新たな階層から新たな人材が出てきて、
危機の克服へと向かっていくのが次巻となるようです。

帝政が始まってから意外に早くに、
本格的な危機が訪れていたことを知って驚きました。