2025年12月2日火曜日

【暗唱用11-20】『古今和歌集』巻第1 春歌上①

11 〈春のはじめの歌〉
                    壬生忠岑
春きぬと人はいへども鶯のなかぬかぎりはあらじとぞ思ふ


12 〈寛平の御時きさいの宮の歌合のうた〉
                    源當純
谷風にとくる氷のひまごとに打ちいづる波や春のはつ花

(※「寛平の御時きさいの宮の歌合」寛平の始め、皇太夫人班子女王の催し給うた百番の歌合。群書類従百八十に収められる。七條后といふ説は誤り。)


13
                     紀友則
花のかを風のたよりにたぐへてぞ鶯さそふしるべにはやる


14
                   大江千里
鶯の谷よりいづるこゑなくば春くることをたれかしらまし


15
                   在原棟梁
春たてど花もにほはぬ山ざとはものうかるねに鶯ぞなく


16 〈題しらず〉
                     読人しらず
野べちかく家ゐしせれば鶯のなくなるこゑはあさなあさなきく

17
かすが野はけふはなやきそわか草のつまもこもれり我もこもれり

18
み山には松の雪だにきえなくに宮こは野べのわかなつみけり

19
春日野のとぶひの野守(のもり)いでて見よ今いくかありて若菜つみてむ

20
梓弓おして春雨けふ降りぬあすさへふらばわかなつみてむ



※個人的な暗唱用に。本文のテキストは、西本経一(にししたきょういち)校註『日本古典全書 古今和歌集』(毎日新聞社、1948年9月)による。解釈は今はおもに、久曽神昇(きゅうそじんひたく)全訳注『古今和歌集(一)』(講談社学術文庫、1979年9月)と、小沢正夫(おざわまさお)・松田茂穂(まつだしげほ)校注・訳『完訳 日本の古典9 古今和歌集』(小学館、1983年4月)を参照している。

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