2025年12月1日月曜日

【暗唱用01-10】『古今和歌集』巻第1 春歌上0

01 〈ふる年に春たちける日よめる〉
                          在原元方
年の内に春はきにけりひととせを去年(こぞ)とやいはむ今年とやいはむ


02 〈春たちける日よめる〉
                      紀貫之
袖ひぢてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ


03 〈題しらず〉
                  読人しらず
花霞たてるやいづこみよしのの吉野の山に雪はふりつつ


04 〈二條のきさきの春のはじめの御歌〉
雪の内に春はきにけり鶯のこほれる涙いまやとくらむ

(※「二條のきさき」清和天皇の皇后。中納言長良の御女。御名高子。)


05 〈題しらず〉
                  読人しらず
梅がえにきゐる鶯春かけてなけどもいまだ雪はふりつつ


06 〈雪の木にふりかかれるをよめる〉
                  素性法師
春たてば花とや見らむしら雪のかかれる枝に鶯のなく


07 〈題しらず〉
                     読人しらず
心ざしふかくそめてしをりければ消えあへぬ雪の花とみゆらむ
 〈ある人のいはく、さきのおほきおほいまうちぎみの歌なり〉

(※「さきのおほきおほいまうちぎみ」太政大臣藤原良房。)


08 〈二條のきさきの東宮のみやすむ所ときこえける時、正月三日おまへに召しておほせごとあるあひだに、日は照りながら雪のかしらにふりかかりけるをよませ給ひける〉
                     文屋康秀
春の日のひかりにあたる我なれどかしらの雪となるぞわびしき


09 〈雪のふりけるをよめる〉
                   紀貫之
霞たちこのめも春の雪ふれば花なき里も花ぞちりける


10 〈春のはじめによめる〉
                      藤原言直
はるやとき花やおそきとききわかむ鶯だにもなかずもあるかな



※個人的な暗唱用に。本文のテキストは、西本経一(にししたきょういち)校註『日本古典全書 古今和歌集』(毎日新聞社、1948年9月)による。解釈は今はおもに、久曽神昇(きゅうそじんひたく)全訳注『古今和歌集(一)』(講談社学術文庫、1979年9月)と、小沢正夫(おざわまさお)・松田茂穂(まつだしげほ)校注・訳『完訳 日本の古典9 古今和歌集』(小学館、1983年4月)を参照している。

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