2011年11月7日月曜日

スマイルズ 『向上心』 第6章(下1)



サミュエル・スマイルズ著、竹内均 訳
『向上心』(三笠書房、知的生きかた文庫、改訂新版、平成23年6月)より。
※印は栗木によるコメントです。

第6章 人を動かす
(承前)


人生の道を歩むにつれて、
 苦しみ・悲しみ・悩み・不幸・失敗などの
 暗い情景が道の行く手にあらわれる。

 清らかな心と堅い決意で
 これらを切り抜け、
 試練に明るく立ち向かい、
 どんな重荷を負わされても
 まっすぐに立っていられる人は
 何よりも幸せである。
」239

※時々、調子のいい時に、
 清らかな心と堅い決意を持って、
 物事に望める人は多いでしょう。

 しかし人生のどこかで、
 苦しみ・悲しみ・悩み・不幸・失敗が
 これでもかと押し寄せている最中に、

 清らかな心と明るい雰囲気を保って、
 堅い決意で試練に立ち向かって行ける人は少ないでしょう。

 家族の支えがあれば、
 まだ何とかなるかもしれませんが、
 家族との縁すら見放されている時に、

 清らかで明るい心を保ち続けることは
 たいへん困難なことだと思います。

 誰でもできることではありませんが、
 そこを切り開いていける人間は、
 確かに強いと思います。


孤独な生活を楽しんでいたとしても、
 その喜びは、所詮
 自己満足にすぎない。

 一人ひっそりと暮らすのは、
 他人を軽蔑しているからとも解釈できるし、
 それ以上に本人が
 卑怯な怠け者かわがままな人間であることを
 証明しているようなものだ。

 人にはそれぞれ
 与えられた仕事と義務があり、
 この二つは自分のためにも、
 また自分が所属する社会のためにも
 回避することはできない。
」240

※どちらかといえば、
 一人でひっそりと暮らしていく方が
 性に合っていますので、

 自分への叱咤激励として、
 こうした文章はためになります。

 一人静かに芸術に親しみ、
 学問をする生活に憧れるのですが、

 それは自己満足なんだよ、
 他人を軽蔑していることになるんだよ、
 卑怯な怠け者だ、
 わがままだ、

 と言ってもらえると、
 イケナイ、イケナイ、
 と思い直して、
 仕事に向かう気持ちが湧いてくるのでした。


実際的な知識を身につけ、
 いろいろな智恵を学ぶには、
 社会の一員として
 実生活に溶け込む以外に方法はない。

 社会の荒波にもまれてこそ、
 われわれは自分のやらねばならないことを知り、
 仕事のきびしさを知り、
 忍耐力・根気そして勤勉さを養い、
 人格を磨くことができるのである。
」240

※実際的な知識、ほんものの智恵を学ぶには、
 社会の中で、その一員として生きていくしかないんだ、
 ということは、
 若いころにもっと聞いておきたい言葉でした。

 社会の中で、
 仕事をしながら生きていくことによって、
 自分の人格が磨かれて、
 完成されていくのだ、ということも、
 若いころにもっと聞いておきたかったと思います。

 まだまだの人間ですが、
 確かに社会に出てから学んだことの重さは、
 学校で学んでいた時の比ではありません。

 人格を磨く道場として、
 仕事をはじめとした
 実社会の人間関係以上のものは考えられません。


他人とのふれ合いは
 自分自身を知るための必要条件でもある。
 大勢の人たちと自由に交わってこそ、
 人は自分の脳力を正当に評価できる。

 そうでなければうぬぼれが強くなり、
 思い上がった傲慢な人間になってしまう。

 そこまで行かずとも、
 その人は、他人とつき合わなかったために、
 一生、自分の本当の姿がわからずじまいで
 終わってしまうだろう。
」241

※これもまた、
 自分の殻に閉じこもりがちだった若いころに、
 聞いておきたかった言葉です。

 今でもそうした志向は変わりませんから、
 閉じこもりたい傾向な時に、時折読み返して、
 外に出るきっかけにしたいです。

 確かに、
 いつも一人きりでいたのでは、
 自分のたつ位置がわからなくなってしまいます。
 自分のうぬぼれを消すためにも、
 人とかかわる時期を持つのは絶対に必要ですね、


青春は人生の春である。

 若い寛容な心に種を蒔かなければ、
 夏になっても花は開かず、
 秋の収穫もおぼつかない。

 このような人生は
 春のない一年のようなものだ。

 情熱がなければ、
 何かに賭けて力を試すことも少なく、
 実りはさらに少ない。

 情熱があれば自信と希望に刺激されて
 労働意欲も湧き、
 ビジネスと義務の冷たい世界も
 明るく乗り越えることができるだろう。
」243

※青春が去ってみると、
 ああ、あの頃が青春だったんだな、
 とわかるようになって来ました。

 ある程度、
 やりたいことは実践してきたので、
 とくに後悔はありませんが、

 この時期を
 不完全燃焼で終わってしまった人は、
 基本的に取り返しがつきませんから、
 春のない人生をどう生きるのか、
 後悔の連続になるのかもしれません。

 ただし青春時代の情熱を、
 いつまでも持ちつづけることは誰にでもできます。

 歳相応にではあるでしょうが、
 それなりに元気ハツラツとした心情は、
 いつまでも保っていきたいと思います。

 精神的な部分では、
 いつまでも情熱的でありたいものです。


後世に残るような大事業を
 成し遂げるためには
 情熱が必要である。

 物事に打ち込む情熱がなければ、
 次々に降りかかる災難や障害に
 押し潰されてしまうだろう。

 しかし情熱によってかき立てられた
 勇気と不屈の精神があれば、
 危険にあってもひるまず、
 障害を組み伏せることができる。
」245

※私はどちらかといえば、
 情熱が内に向かうタイプなので、
 外からはそれほど情熱的だとは思われないはずですが、
 内に秘める情熱は、かなり熱いものがあります。

 それで若いうちはいろいろ失敗もして来ました。

 でもやはり、先に立つ情熱がなければ、
 何ごとも前に進んで行かないだろう、
 と思っています。

 どんな人生にも
 なにがしかの災難や障害は必ず待ち受けていますから、
 それを乗り越えられるだけの情熱は、
 体内に蓄えておきたいものです。


勇敢な人間はけっして挫折せず、
 成功するまで何回でも挑戦する。

 大木は最初の一撃ではビクともせず、
 くりかえし懸命に斧を入れることによって
 はじめて倒れる。

 成功した結果は
 われわれの目に映るが、
 そこに至るまでにくぐり抜けてきた
 危険や困難、そして労力のことは
 何もわからない。
」246

※10回、20回の失敗となると、
 視点を変えたほうが良い場合もあるでしょうが、

 数回の失敗で諦めてしまっては、
 なかなか成功を手に入れることは難しいでしょう。

 私はどうしても実現したいことであれば、
 とりあえず10回失敗するまではがんばることにしています。

 そのつもりで努力していけば、
 たいていそこまでの失敗を重ねるまでに、
 成功を手にできることが多いです。

 大切なのは覚悟を決めて、
 成功が保証されていない中で、
 成功を信じて、あきれるくらいの回数、
 挑戦することだと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿