2011年11月8日火曜日

スマイルズ 『向上心』 第6章 (下2)



サミュエル・スマイルズ著、竹内均 訳
『向上心』(三笠書房、知的生きかた文庫、改訂新版、平成23年6月)より。

※印は栗木によるコメントです。

※スマイルズ著、竹内均 編訳による『向上心』、
 これで読了になります。
 原著の内容を読みやすいかたちで提供されており、
 たいへん勉強になりました。

 ただし原著をのぞいてみると、
 章立てからして違っておりますので、
 そちらも読んでみたくなって来ました。

 原著そのものか、中村正直さんの訳にまで遡って、
 ひきつづき勉強していきたいと思います。

第6章 人を動かす
(承前)


不幸は必ずしも苦しいものではない。

 一方では苦しみにつながるが、
 ある意味では幸せにつながる。

 悲しいものではあるが、
 修復できるし、
 またとない鍛錬ともなる。

 しかし、われわれ人間は、
 鍛錬となる面を見逃してしまいがちである。」253


※不幸は苦しいものです。
 不幸は悲しいものです。

 できるだけ、
 避ける努力をするべきでしょう。

 ただし人生で一つの不幸もない、
 ということもありえないわけですから、

 不幸の受け入れ方を知っておくことは大切だと思います。

 その後の修復に向けて、
 どのような努力をするかによって
 自分の人格を鍛錬する、
 またとない機会を与えられたのだ
 と考えるようにしたいです。

 わかっていてもなかなかできることではありませんが、
 不幸・失敗のあとの生き方が、
 一番大切です。


悲しいできごとや災いは、
 自分を向上させるための試練と考えよ。

 それはわれわれの気持ちを引き締め、
 節度ある考えをもたせ、
 軽率な態度をいましめ、
 罪深い行動から遠ざける。

 われわれは、不幸を通じて
 ますます徳を高め智恵を働かせ、
 耐える心を鍛え、
 勝利と栄光を目ざして
 ひたすら前進しなくてはならない。

 逆境に遭わなかった人間ほど
 不幸な者はいない。

 本人がよい悪いではなく、
 その人は試練を受けていないからである。

 才能があるとか性格がよいというだけでなく、
 徳にあふれた行動こそ
 勝利の王冠にふさわしいのである。

 (ジェレミー・テイラー)255

※試練のない人生、
 逆境のない人生って、
 ありえるのでしょうか。

 物事に挑戦する生き方を選んでいれば、
 どこかで失敗はつきものでしょう。

 もしかしたら、
 何ごとも挑戦しない生き方を選んでいれば、
 失敗しない人生を送れるのかもしれませんが、

 はじめから負けていればよい、
 という敗北主義の生き方は、
 誰にとっても楽しくないでしょう。

 試練にあって、
 それを一つ一つ乗りこえて行くことによって、
 人生は楽しくなるのだと思います。

 逆境にあって、
 試練にあって、
 それを乗りこえていくことを、
 楽しみとできるようにしたいです。

 そのためには、
 家族や恋人や友人の支えがあるかどうか、
 も大きいだろうと思います。

 人はなかなか、
 本当の孤独には耐え切れるものではありません。

 たとえ一人でも、
 全幅の信頼を置ける誰かがいてくれれば、
 試練に立ち向かうことは
 相当容易になると思います。

 そしてただ一人だとしても、
 死ぬ気になって数年辛抱する覚悟があれば、
 たいてい何とかなるものでしょう。


われわれは、
 人生の喜びを心から味わい、
 一方では
 苦しみを辛抱強く甘受しなくてはならない。

 泣き言や不平を言っても
 何の役にも立たない。

 明るさを失わず、正しい手段で
 黙々と働き続けることが
 何よりも有益である。
」258


人生は、その大部分を
 自分自身でつくっていくものである。

 一人ひとりが
 それぞれの心という大地の上に
 小さな世界を創造するのだ。

 明るい心の持ち主は楽しい人生を送り、
 不満だらけの人間は惨めな人生を送る。
」257

※家族とのつながりが密に過ぎると、
 時々自分が見えなくなることもあるでしょう。

 でもしかし、
 これは自分の人生なのだから、

 という視点はやはり大切でしょう。

 自分をある程度すてる姿勢は立派ですが、
 すてた結果、まわりに不満タラタラで、
 誰かに怒ってばかりの人生になるのなら、
 それは何かが間違っているのでしょう。

 自分の人生を、
 しかるべき義務を果たしながら、
 どのように明るく楽しく生きていくのか、
 考えていきたいものです。


たとえ貧しくても、
 ある者は王者の心を持ち、
 たとえ王であっても、
 ある者は奴隷の心を持つ。

 人生はその大部分が
 自分自身を映す鏡にすぎない。

 善良な者にとって世の中は善であり、
 悪人にとっては悪なのである。
」257

※成功するか、失敗するかは、
 ある程度、時の運も関係して来ます。

 万全を尽くしても、
 時には失敗することがあります。

 大切なのは、
 その過程をどのように生きたのかについて、
 自分なりの答えを持って、
 努力をし続けることでしょうか。

 自分の力を出し尽くして、
 それで失敗した場合は、
 とんでもなく悔しいにしても、
 それ以上は何ともし難かったわけですから、
 わりとさっぱりあきらめて、
 次へと努力していけるものです。

 心で、折れることがないようにしたいです。

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