2012年1月25日水曜日

【読了】岡崎久彦 『小村寿太郎とその時代』

岡崎久彦さんの外交5部作のうち
第2部『小村寿太郎とその時代』を読み終わりました。

年末年始に
他にもいろいろ読み始めたため、
ひと月半ほどかかりました。



岡崎久彦『小村寿太郎とその時代』
(PHP文庫、平成15年5月。初出は平成10年11月)


小村寿太郎の評伝を軸足に、

日清戦争後の世界の状況から、
日英同盟の締結、日露戦争の推移、
そして韓国併合へと至る歴史的な背景を、

ていねいにわかりやすく描いてあり、
たいへん勉強になりました。

歴史を叙述すること、
それも出来るだけわかりやすく語ることは、
本当に実力のある方でなければ難しいことです。

中高生の歴史教科書の副読本としても
秀逸な内容だと思いました。


小村外交の功罪についても、
バランスよく記述されています。

日露戦争を勝利するために、
小村が果たした功績の大きさは、
絶大なものがあったわけですが、

それだけに、
日露戦争の勝利後、
米国との間によい協調関係を築く機会が
何度もあったにもかかわらず、

小村自らそれを放棄していたことは、
たいへん残念でなりません。


その後の、東アジア一体が
共産主義化してしまった状況を目のあたりにすれば、

日本の判断しだいで、

満州をはさんで、
アメリカ(+イギリス)と強調しつつ、
ロシアに対峙する体制が築けていた可能性があることは、

今後への反省点として、
よく知っておく必要があるでしょう。


時期的に、
そこまで先を見越した判断ができないのは
責められるべきことではありませんが、

ここで明らかに道を誤っていることは、
知っておくべきことだと思いました。

それでは、次へと進みましょう。

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