2012年9月25日火曜日

【読了】與謝野晶子 『全訳 源氏物語 五』



紫式部 著/與謝野晶子 訳
『全訳 源氏物語 五  新装版』
(角川物語、平成20年5月)

※初出は『新新訳 源氏物語』(金尾文淵堂、昭和14年刊)

※第5巻には、
  「早蕨(さわらび)」
  「宿り木(やどりぎ)」
  「東屋(あずまや)」
  「浮舟(うきふね)」
  「蜻蛉(かげろう)」
  「手習(てならい)」
  「夢の浮橋(ゆめのうきはし)」
 までの計7帖が収録されています。


第四巻を読み終えてから、
また三ヶ月ほど経ちました。

「東屋」あたりから、ようやく
前に読んだ記憶がよみがえって来て、
勢いがついて、一気に最後までたどりつきました。

昨年秋も深まるころから読み始め、
今年秋の風が漂い始めたころに、
読み終えることができました。

あんまり急いでも意味がないので、
ほどほどに時間をかけて、じっくり読むことができました。


完訳で読んだのは、
今回が初めてなので、
後半少し滞りがちでしたが、
最後まで読み終えると、やはり充実度が違います。


光源氏が亡くなるまでで、
いったん物語が完結した感があったのが、

よほど続編の要望が高かったのか、

試行錯誤しながら、
もう一つの新しい恋愛小説を書き上げていく様は、
それなりに興味深いものでした。


後半の筆者について、
いろいろと議論があるようですが、
それはもう少し先の楽しみに、取っておこうと思います。


これでもかと繰り広げられる男女の恋愛模様。

でも人が生きていく上で、
それこそ決して古くなりようがない関心事なわけで、

現代よりもむしろ繊細な
心と心の交流を感じることができ、
充実した時間を過ごすことができました。


與謝野氏の全訳は、
勢いのある訳文で、
現代の小説を読むのとほとんど同じように
読み進めることができました。

その分、細部にこだわりがある場合は、
割り切りすぎに感じるところもあるかもしれませんが、
まず全体像を知りたいときには、
今なお第一に、お薦めできる訳だと思います。


そうはいいつつも、近い将来ぜひ
原文で楽しめるようになりたいと思っているので、

つぎはより原文に忠実と定評のある
谷崎潤一郎訳に挑戦しようと思っております。

以前は、むつかしすぎる感じがあったのですが、
最近少しだけ読んでみて、しみじみと心に響いてくるものがありました。


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