2012年10月8日月曜日
【読了】畑正憲 『ムツゴロウと天然記念物の動物たち ― 森の仲間』
畑正憲 著
『ムツゴロウと天然記念物の動物たち ― 森の仲間』
(角川ソフィア文庫、平成24年9月)
※「グジョウジドリ」「コウモリ」「ニホンザル」「アマミノクロウサギ」
「シロヘビ」「大雪山に生きるもの」の計6編。
※『天然記念物の動物たち』(角川文庫、昭和47年1月)を、
改題の上、2つに分冊し、再編集したものです。
単行本の初出は月刊ペン社、昭和44年。
最近『シートン動物記』の翻訳を読み比べているうちに、
ムツゴロウさんのことを思い出しました。
様々な方面で才能を発揮されている方ですが、
小中学生のころに『どんべえ物語』と『さよならどんべえ』に出会い、
圧倒的な感銘を受けたことから、
私には作家としての印象が強いです。
最近読んでいないなと思い、本屋で探してみたところ、
ほとんどの作品がすでに絶版であることがわかりました。
残念に思って、古本を探して買い集めようか、
と考えはじめていたのですが、
他でもそう思う方がおられたのか、
ずいぶん久しぶりに『天然記念物の動物たち』が、
再編集の上、2冊に分けて復刻されたことを知りました。
さっそく1冊購入し、読んでみたところ、
今から40年前の作品ですが、
文章に独特の力があって、
すぐに惹きつけられ、楽しく読み通すことができました。
昭和の日本の自然誌として、
出色の作品だと思います。
なお、本冊の最終章「大雪山に生きるもの」で、
1年間の企画の総まとめを書いてあったのですが、
確か自分の記憶では、
シリーズで何冊か出ていたはずだ、
と思って調べてみると、
本冊をきっかけとしてシリーズ化し、
全10冊(!)も発表されていたことを知りました。
畑正憲 著
『天然記念物の動物たち』
(月刊ペン社、昭和44年。角川文庫、昭和47年1月に再録。
畑正憲作品集8、文藝春秋、昭和53年5月に再録)
『梟の森 ― 天然記念物の動物たち』
(角川書店、昭和53年6月。角川文庫、平成5年5月に再録)
※「梟の森」「白鳥の里」「羚羊の丘」「丹頂の野」の全4編。
『馬の岬 ― 天然記念物の動物たち』
(角川書店、昭和54年4月。角川文庫、平成5年5月に再録)
※「馬の岬」「鈍足の島」「鶏の町」「海燕の島」の全4編。
『北の鷲 ― 天然記念物の動物たち』
(角川書店、昭和55年7月。角川文庫、平成5年5月に再録)
※「北の鷲」「鶴の田」「瀬戸の狸」「猿の山」など全7編。
『北限の猿 ― 天然記念物の動物たち』
(角川書店、昭和56年1月。角川文庫、平成5年5月に再録)
※「北限の猿」「鷺の山」「鹿の都」「鷲の浜」など全7編。
『オロロンの島 ― 天然記念物の動物たち』
(角川書店、昭和57年7月。角川文庫、平成5年5月に再録)
※「オロロンの島」「岩魚と海豹」「兜蟹の海」「比叡の猿人」「鰻の井」「鶏の里」など全7編。
『雷鳥の山 ― 天然記念物の動物たち』
(角川書店、昭和59年2月。角川文庫、平成5年5月に再録)
※「雷鳥の山」「雁の沼」「北の犬」「鳩の街」など全7編。
『人魚の国 ― 天然記念物の動物たち』
(角川書店、昭和61年7月。角川文庫、平成5年5月に再録)
※「人魚の国」「ジャッカル犬」「はるか南の島へ」「山猫序曲」など全7編。
『オオサンショウウオの川 ― 天然記念物の動物たち』
(角川書店、昭和61年8月。角川文庫、平成5年5月に再録)
※「オオサンショウウオの川」「土佐の犬」「タナゴの川」など全7編。
『海亀の浜 ― 天然記念物の動物たち』
(角川文庫、平成5年5月)
※「海亀の浜」「甲斐の犬」「死滅への森」など全7編。
達意の文章とともに、
在野の一個人が執筆した
昭和の日本の自然誌としては、
他に類例がないのではないか、と思います。
(こちらの方面は詳しくないので、他にもどなたかいらっしゃるかもしれません)
古書で集めて
全部読んでみようかな、
と思っております。
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