江戸川乱歩(1894 - 1965)が
41歳のとき(1936)に発表された
少年向けの探偵小説『怪人二十面相』を読みました。
江戸川乱歩 著
『少年探偵 怪人二十面相』
(ポプラ文庫、平成20年11月)
※巻末に「この作品は、昭和三十九年にポプラ社より刊行されました」とある。
もともとの初出は『少年倶楽部』昭和11年1月から12月。
ポプラ社の「少年探偵」シリーズの表紙は、
小中学生のころ、学校の図書室でみた記憶が残っています。
しかし表紙のおどろおどろしい雰囲気が嫌で、
実際に読んでみることはありませんでした。
江戸川乱歩については、
高校のときにこれまた学校の図書室で、
渡部昇一氏の『発想法』(講談社現代新書)を読んでいたときに、
江戸川乱歩の興味深い話が出て来て、
強く印象に残ったのを覚えています。
しかしこのときも、
独特なオカルトのほの暗い雰囲気が苦手で、
読んでみようとは思いませんでした。
結局今まで、
乱歩を読む機会はなく、このまま
縁はないのかなとも思っていたのですが、
最近になって復刊されたようで、
懐かしい表紙はそのままに、
本屋の棚に見かけるようになったのに惹かれ、
1冊手にとってみたのですが、
「です・ます」調の美しく丁寧な日本語で、
大変わかりやすく書かれていることに感心し、
こんな文章が書けたらな、と思って読んでいるうちに、
どんどん惹き込まれ、楽しんで読み終えることができました。
トリック自体は、
今読むと若干稚拙かな、
と感じさせるところもありますが、
昭和11年に書かれたことを思えば、
驚くほど若々しい感性で、
今でも十分に読者を魅了する力のある
娯楽小説に仕上がっていると思いました。
今から86年前の子ども向けの作品が、
思いのほか美しく上品で、
なおかつわかりやすい日本語で書かれていたことを知り得たのは、
一番の収穫でした。
一気にシリーズ全部を読み通す必要もないので、
時折暇をみて、読み進めていこうと思います。
※wikipedia「江戸川乱歩」の項目を参照。
0 件のコメント:
コメントを投稿