2012年11月14日水曜日

【読了】夏目漱石 『カーライル博物館』(明治38年)

夏目漱石(慶応3〔1867〕-大正5〔1916〕)の3作目は、
紀行文「カーライル博物館」を読みました。

漱石全集〈第2巻〉短篇小説集 (1966年)

夏目漱石 『カーライル博物館 ― 明治三八、一、一五』
(『漱石全集 第二巻 短篇小説集』岩波書店、昭和41年1月)


「カーライル博物館」は、
雑誌『学鐙』第9年第1号(明治38年〔1905〕1月15日発行)に発表され、

漱石初の短編集『漾虚集(ようきょしゅう)』
(大倉書店・服部書店、明治39年5月刊)に収録されました。

『吾輩は猫である』とほぼ同時期、
30代後半に書かれた文章です。


この作品は「倫敦塔」と同じく、イギリス留学時に、
ロンドンにあるカーライルの記念館を訪れたときのことを綴った文章で、
それなりに創作も交えてあるでしょうが、
紀行文といって良い内容に仕上がっています。


カーライルとは、
スコットランド出身の歴史家・評論家
トーマス・カーライル(1795-1881)のことです。

と書いてみたものの、
岩波文庫に収録された数冊を知るのみ、

実際に読んだことはないので、
どんな方なのかはよく知りません。

『衣服哲学』『英雄崇拜論』『過去と現在』

といった書名から、
今後よくこなれた新訳が出たら読んでみてもいいかな、
と思いますが、しばらくその機会はなさそうです。


さて肝心の内容ですが、
「倫敦塔」とはがらりと作風を変え、

カーライルに思いを馳せつつ、
訪問の記憶を一緒にたどりなおす様子が、

明快な文章でわかりやすく綴られていました。


特別な名作というほどのものではないのでしょうが、
私にとって好きな作品でしたので、
また読み返そうと思います。


※Wikipediaの「夏目漱石」「トーマス・カーライル」の項目を参照。

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