福田恆存訳のシェイクスピア、
しばらくストップしていましたが、
夏目漱石と交互に読んでいこうと思いたち、
『吾輩は猫である』を読み終わったのに続いて、
イギリスの劇作家
ウィリアム・シェイクスピア(1564-1616)の
史劇『リチャード三世』(初演1591年)を読んでみました。
シェイクスピア20代後半の作品です。
ウィリアム・シェイクスピア著/福田恆存 訳
『リチャード三世』(新潮文庫、昭和49年1月)
※初出は『シェイクスピア全集1』昭和35年12月。
福田恆存訳の
『シェイクスピア全集1~15』
(新潮社、昭和34年~42年)も格安で手に入れましたが、
平成16年7月に改版したばかり、
大きめの鮮明な活字が読みやすく、
難しそうな漢字にはルビもふってあり、
持ち運びやすい文庫本で読みました。
このあたりの歴史はほとんど何も知らないので、
巻末の関係系図を行きつ戻りつしながら、
でも流れを切らないように、
多少こんがらがりながらも、
舞台を観ているようなテンポで、
とりあえず全体を通読してみました。
わからないなりに1冊読み終えると、
自分なりの「リチャード三世」像が出来てきて、
少なくともこの時期の王位が、
ヘンリー六世(在位1422-61/1470-71)
エドワード四世(在位1461-1470/1471-1483)
エドワード五世(在位1483.4.10-6.26)
リチャード三世(在位1483-1485)
ヘンリー七世(在位1485-1509)
の順に継承されていたこと位は、
実感できるようになりました。
細かな史実と相違するところも当然あるのでしょうが、
イギリス王室史入門としては、
教科書的なものを読むよりは、よほどおもしろいと思いました。
リチャード三世の在位は、
1483年から85年までなので、
1564年生まれのシェイクスピアにしてみれば、
自分が生まれる80年くらい前のことを描いたことになります。
初演時20代後半だったことを考えれば、
記憶を110年ほどさかのぼらせて、史劇に作り上げたことになります。
ちなみに、
今から80年さかのぼると、
昭和7年(1932)5・15事件が起こった年、
110年さかのぼると、明治35年(1902)日英同盟が締結された年になります。
こう考えると、今の我々が、
日清・日露戦争のことを描くような感覚で、
この史劇が描かれたのかな、とも思えます。
初『リチャード三世』の感想は、
これくらいにしておきましょうか。
※森護『英国王室史話〈上〉』(中公文庫、平成12年3月。初出は大修館書店、昭和61年3月)を参照。
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