2012年11月9日金曜日

【読了】夏目漱石 『倫敦塔』(明治38年)

夏目漱石(慶応3〔1867〕-大正5〔1916〕)の2作品目は、
短編小説『倫敦塔(ろんどんとう)』を読みました。

漱石全集〈第2巻〉短篇小説集 (1966年)

夏目漱石『倫敦塔 ― 明治三八、一、一〇』
(『漱石全集 第二巻 短篇小説集』岩波書店、昭和41年1月)

「倫敦塔(ろんどんとう)」とは、
雑誌『帝國文學』第11巻1号(明治38年〔1905〕1月10日発行)に発表され、

漱石初の短編集『漾虚集(ようきょしゅう)』
(大倉書店・服部書店、明治39年5月刊)に収録された作品です。

『吾輩は猫である』とほぼ同時期、
漱石30代後半にまとめられた作品です。


漱石は33歳のとき、
明治33年(1900)5月から、
イギリスに留学しています。

そのときの記憶をもとに、
創作を交えて語られる、幻想的な作品でした。

ちょうど読み終えていた
シェイクスピアの『リチャード三世』からの引用もあって、
興味深く読み終えることができました。


ただし、
今の作家なら絶対に使わない、
難しい漢字をふんだんに盛り込んだ表現がされていて、

総ルビ付きでなかったら、
かなり手こずっただろうな、と感じました。


『吾輩は猫である』とは全く違った趣向で、
小説家として進むべき方向を、試行錯誤しているようにも感じました。


短い作品なので、
再読する機会はあると思いますが、

文章を飾り立てるのは余り好きではないので、
さほど感銘は受けなかったことを告白しておきます。


※Wikipediaの「夏目漱石」「倫敦塔」「ロンドン塔」

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