短編小説「琴のそら音」を読みました。
漱石全集〈第2巻〉短篇小説集 (1966年)
夏目漱石「琴のそら音 ― 明治三八、五、一」
(『漱石全集 第二巻 短篇小説集』岩波書店、昭和41年1月)
「琴のそら音」は、
文芸同人雑誌『七人』第2巻第2号(明治38年〔1905〕6月)に発表され、
漱石初の短編集『漾虚集(ようきょしゅう)』
(大倉書店・服部書店、明治39年5月刊)に収録されました。
『吾輩は猫である』と
ほぼ同時期、30代後半に書かれた作品です。
美文調に飾り立てることのない
あっさりとした出だしで、
はじめはさほど惹きつけられなかったので、
一日に数ページずつ読み進めていきました。
半ばにさしかかるあたりから惹き込まれ、
手に汗握りながら、一気に読み終えていました。
『吾輩は猫である』のような
他愛もない日常会話が続くのかと思いきや、
幽霊話でどきりとさせられながら、
婚約者も登場して、男女間の微妙な感情のあやも織り交ぜて、
意外に読ませる内容でした。
最後にほんわか暖かい気分にもさせられて、
これはそれなりに読んでよかったと思える作品でした。
漱石の全集を読みはじめて、
十分に満足できた最初の作品となりました。
※雑誌『七人』については、
早稲田大学図書館編『精選近代文芸雑誌集』の
ホームページ上の解説を参照しました。
【http://www.yushodo.co.jp/micro/kensaku/zassi/zassi-mok2.html】
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