やさしい英語の本、通算80冊目、
Oxford Bookworms のStage2(700語レベル)の13冊目は、
アメリカの小説家
オー・ヘンリー(1862.9-1910.6)の短編集
『ニューヨークの人々』を読みました。
O.Henry
New Yorkers
Short Stories
Retold by Diane Mowat
(Oxford Bookworms Stage2)
This simplified edition (c)Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms 1991
5,895語
収録作品は、
1) The Christmas Presents
2) Soapy's Choice
3) A Walk in Amnesia
4) Tidy's Moment
5) The Memento
の5編です。
1) The Christmas Presents は、
「The Gift of the Magi」という原題で、
オー・ヘンリーが44歳の時(1906)に刊行された
第2短編集『The Four Million (四百万)』に収められました。
邦訳はいろいろ出ていますが、
大久保康雄訳
『O・ヘンリー短編集(二)』
(新潮文庫、昭和44年3月。39刷改版、昭和62年12月)
の中に「賢者の贈りもの」という邦題で収められています。
2) Soapy's Choice は、
「The Cop and the Anthem」という原題で、
オー・ヘンリーが44歳の時(1906)に刊行された
第2短編集『The Four Million (四百万)』に収められました。
こちらも邦訳はいろいろ出ていますが、
大久保康雄訳
『O・ヘンリー短編集(一)』
(新潮文庫、昭和44年3月。40刷改版、昭和62年5月)
の中に「警察官と賛美歌」という邦題で収められています。
3) A Walk in Amnesia は、
「A Ramble in Aphasia」という原題で、
オー・ヘンリーが47歳の時(1910)、亡くなる年に刊行された
第9短編集『Stricyly Business(厳しい商売)』に収められています。
邦訳は、
清水武雄監訳
『新編 オー・ヘンリー傑作集』
(松柏社、平成17年7月)
の中に「弁護士の失踪」という邦題(中島剛訳)で収められています。
4) Tidy's Moment は、
「The Brief Debut of Tildy」という原題で、
オー・ヘンリーが44歳の時(1906)に刊行された
第2短編集『The Four Million (四百万)』に収められました。
邦訳は出ていないようです。
邦題は「ティルディの束の間のデビュー」と訳せるでしょうか。
5) The Memento は、
そのままの原題で、
オー・ヘンリーが46歳の時(1908)に刊行された
第5短編集『The voice of the City (都会の声)』に収められています。
邦訳は上掲、
清水武雄監訳
『新編 オー・ヘンリー傑作集』
(松柏社、平成17年7月)
の中に「忘れ形見」という邦題(中島剛訳)で収められています。
***
ふつうの小説の体裁ですが、
前の戯曲よりもこちらの方が読みやすかったです。
知らない単語もところどころ出て来ましたが、
前後の文脈でほぼ理解できるレベルでした。
オー・ヘンリーの作品は、
筆者自身がさまざまな人生体験を積まれたからか、
ニューヨークに生きる実にさまざまな立場の人々のことが描かれていて、
独特の取っつきにくさがあるように感じています。
もう少し読み続けて、
オー・ヘンリーの世界観に馴染んでくると、
良さが身に染みてくるのかもしれません。
※通算80冊目。計617,152語。
※オー・ヘンリー短編集の邦題(『四百万』『てんやわんや』)は、大久保康雄著「O・ヘンリーの生涯と作品」(『O・ヘンリー短編集(一)』新潮文庫)を参照しました。
2014年7月27日日曜日
【読了】ディケンズ著(加賀山卓朗訳)『二都物語』〔新潮文庫〕
イギリスの小説家
チャールズ・ディケンズ(1812.2-1870.6)の
長編小説『二都物語』を読みました。
ディケンズ47歳の時(1859)、
週刊誌『ALL THE YEAR ROUND』誌上
(1859年の4/30号から11/26号まで)
に掲載された作品です。
チャールズ・ディケンズ著
加賀山卓朗(かがやまたくろう)訳
『二都物語』
(新潮文庫、平成26年6月)
英語の多読をはじめて間もないころ(2011.11)、
マクミラン・リーダーズのレベル2(600語レベル)で
読んだのをきっかけに、
『二都物語』の翻訳を探してみたのですが、
なかなか読みやすい翻訳に出会えませんでした。
・田辺洋子(たなべようこ)訳
『新訳 二都物語』
(あぽろん社、平成22年4月)
・松本恵子(まつもとけいこ)訳
『二都物語』
(旺文社文庫、昭和49年6月)
・本多顕彰(ほんだあきら)訳
『二都物語』
(角川文庫、昭和41年2月)
※筑摩書房 世界の文学Eterna38-9、昭和52年12月に再録。
・中野好夫(なかのよしお)訳
『二都物語(上・下)』
(新潮文庫、昭和42年1月。改版、平成3年2月。改版、平成24年8月)
※初出は、河出書房新社 世界文学全集6、昭和36年3月。
・岩波文庫から昭和11・12年に出版された
佐々木直次郎(ささきなおじろう)氏の翻訳は、
インターネット上の青空文庫で読むことができます。
・柳田泉(やなぎだいずみ)」訳
『二都物語』
(新潮社 世界文学全集18、昭和3年10月)
※ディケンズ著『世の中(ハード・タイムズ)』の翻訳も併録。
恐らくはディケンズの原文自体が
非常に訳しにくいのだろうと思い、
半ばあきらめていたのですが、
今回の加賀山卓朗氏の翻訳で、
ようやく現代の日本語の小説を読む感覚で、
楽しみながら、
全編を読み通すことができました。
英語の古い言い回しが
ところどころわかりにくかったり、
原文を意識してか一文を若干長めに訳してあるので、
まだ少し堅さが残っていて、
最上レベルまであともうひと押しな感じもありますが、
上記の翻訳の中では、
一番わかりやすい現代文に仕上がっていると思います。
これでようやく、
日本語で『二都物語』の全容を知ることができました。
イギリス人からみた、
フランス革命の
文化大革命的な負の側面をえぐり抜いた作品
といえるでしょうか。
ディケンズは、
ルイ16世が処刑(1793)された19年後に生まれ、
47歳の時に『二都物語』を執筆(1859)しているので、
父母の世代にイギリス国民が見聞きしてきた
「フランス革命」像が反映されていると言えるでしょう。
明らかに、
フランス革命に批判的な立場から書かれていますので、
日本式の「フランス革命=善」という刷り込みがあると、
作品の真価がわかりにくくなるかもしれません。
恐らくまだ、いつ誰が読んでも
読みやすいレベルには到達していないと思うので、
10年くらいたってから、
加賀山氏本人が今一度、全編を推敲されたら、
さらに良い一冊になるだろうなとも思いました。
チャールズ・ディケンズ(1812.2-1870.6)の
長編小説『二都物語』を読みました。
ディケンズ47歳の時(1859)、
週刊誌『ALL THE YEAR ROUND』誌上
(1859年の4/30号から11/26号まで)
に掲載された作品です。
チャールズ・ディケンズ著
加賀山卓朗(かがやまたくろう)訳
『二都物語』
(新潮文庫、平成26年6月)
英語の多読をはじめて間もないころ(2011.11)、
マクミラン・リーダーズのレベル2(600語レベル)で
読んだのをきっかけに、
『二都物語』の翻訳を探してみたのですが、
なかなか読みやすい翻訳に出会えませんでした。
・田辺洋子(たなべようこ)訳
『新訳 二都物語』
(あぽろん社、平成22年4月)
・松本恵子(まつもとけいこ)訳
『二都物語』
(旺文社文庫、昭和49年6月)
・本多顕彰(ほんだあきら)訳
『二都物語』
(角川文庫、昭和41年2月)
※筑摩書房 世界の文学Eterna38-9、昭和52年12月に再録。
・中野好夫(なかのよしお)訳
『二都物語(上・下)』
(新潮文庫、昭和42年1月。改版、平成3年2月。改版、平成24年8月)
※初出は、河出書房新社 世界文学全集6、昭和36年3月。
・岩波文庫から昭和11・12年に出版された
佐々木直次郎(ささきなおじろう)氏の翻訳は、
インターネット上の青空文庫で読むことができます。
・柳田泉(やなぎだいずみ)」訳
『二都物語』
(新潮社 世界文学全集18、昭和3年10月)
※ディケンズ著『世の中(ハード・タイムズ)』の翻訳も併録。
恐らくはディケンズの原文自体が
非常に訳しにくいのだろうと思い、
半ばあきらめていたのですが、
今回の加賀山卓朗氏の翻訳で、
ようやく現代の日本語の小説を読む感覚で、
楽しみながら、
全編を読み通すことができました。
英語の古い言い回しが
ところどころわかりにくかったり、
原文を意識してか一文を若干長めに訳してあるので、
まだ少し堅さが残っていて、
最上レベルまであともうひと押しな感じもありますが、
上記の翻訳の中では、
一番わかりやすい現代文に仕上がっていると思います。
これでようやく、
日本語で『二都物語』の全容を知ることができました。
イギリス人からみた、
フランス革命の
文化大革命的な負の側面をえぐり抜いた作品
といえるでしょうか。
ディケンズは、
ルイ16世が処刑(1793)された19年後に生まれ、
47歳の時に『二都物語』を執筆(1859)しているので、
父母の世代にイギリス国民が見聞きしてきた
「フランス革命」像が反映されていると言えるでしょう。
明らかに、
フランス革命に批判的な立場から書かれていますので、
日本式の「フランス革命=善」という刷り込みがあると、
作品の真価がわかりにくくなるかもしれません。
恐らくまだ、いつ誰が読んでも
読みやすいレベルには到達していないと思うので、
10年くらいたってから、
加賀山氏本人が今一度、全編を推敲されたら、
さらに良い一冊になるだろうなとも思いました。
2014年7月20日日曜日
【読了】キップリング著(岡田好惠訳)『ジャングル・ブック』〔講談社青い鳥文庫〕
イギリスの小説家
ラドヤード・キップリング(1865.12-1936.1)の
小説『ジャングル・ブック』を読みました。
キップリング29・30歳の時(1894・95)の作品です。
もとは
『ザ・ジャングル・ブック』(1894)
『ザ・セカンド・ジャングル・ブック』(1895)
の2巻からなる作品ですが、
完訳は西村孝次氏によるものがあるのみで、
他はすべて、
狼に育てられたモウグリ少年についての章のみを集めて翻訳してあります。
ラドヤード=キップリング著
岡田好惠(おかだよしえ)訳
『ジャングル・ブック』
(講談社青い鳥文庫、平成13年11月)
※原作から「モウグリがでてくる物語だけを集めて訳し、
一冊にまとめ」てある(岡田訳 357頁)。
〔講談社青い鳥文庫版の章立て〕
第1章 モーグリ、オオカミの子となる
第2章 ニシキヘビ、カーの狩り
第3章 トラよ、でてこい!
第4章 ジャングル、〈恐れ〉を知る
第5章 ジャングル、村をのむ
第6章 王さまの象突き棒
第7章 赤イヌ
第8章 春を走る
・『ザ・ジャングル・ブック』(1894)
1「モーグリ、オオカミの子となる」→【第1章】
2「ニシキヘビ、カーの狩り」→【第2章】
3「トラよ、でてこい!」→【第3章】
4「白アザラシ」
5「リッキ=ティッキ=タービ」
6「ゾウのトーマイ」
7「女王さまの召し使い」
・『ザ・セカンド・ジャングル・ブック』(1895)
1「ジャングル、〈恐れ〉を知る」→【第4章】
2「ブルーン=バガットの奇跡」
3「ジャングル、村をのむ」→【第5章】
4「死体を処理するものたち」
5「王さまの象突き棒」→【第6章】
6「幽霊イヌ」
7「赤イヌ」→【第7章】
8「春を走る」→【第8章】
はじめは金原瑞人氏の翻訳で読むつもりだったのですが、
ところどころ言葉のつながりを欠くところがあって、
流れが途切れがちな印象でした。
半分読み終えたあたりで、
偶然手に入れた岡田好恵氏の翻訳を読んでみたところ、
金原訳はもとより、
木島始氏、西村孝次氏の翻訳と比べても、
誰にでも読みやすい、
よくこなれた現代の言葉で訳されていましたので、
岡田訳に切りかえ、改めて読み直すことにしました。
***
モウグリの物語だけではありますが、
全体を読み終えての感想です。
岡田訳はどこも読みにくくなかったのですが、
それでも
ところどころ違和感を覚えながら、
立ち止まりつつ読了することになりました。
その違和感とは、
まだ確実にはつかみきれていないのですが、
キップリングのジャングルへの認識、
そこに生きる動物たちへの認識に対して、
少なからず違和感を覚えたように思います。
インドで生まれ育った点、
ふつうのイギリス人よりも、
ジャングルで生きる動物たちについて
色々知る立場にいたことは確かですが、
実際ジャングルに分け入って、
5年10年と動物たちが身近にいる環境で、
命の危険と隣り合わせに生きてきた上で、
自らの豊富な経験をもとに書かれた作品だとは
とても思えませんでした。
現実のジャングル
現実の動物たちとの乖離(かいり)が、
今読むと作品としての弱さを感じさせる
少し残念な結果となっているように思いました。
***
手元にある他の翻訳を、
章立てとともに紹介します。
ラドヤード=キップリング著
金原瑞人(かねはらみずひと)訳
『ジャングル・ブックⅠ・Ⅱ』
(偕成社文庫、平成2年7月)
※こちらも原作から、
モウグリが出て来る8章を選んで訳してあります。
番外編として、
『ザ・ジャングル・ブック』(1894)の刊行前に発表された、
モウグリが出て来る中編「ラクにて」(1893)を収録してあります。
〔偕成社文庫版の章立て〕
第1章 モウグリの兄弟たち
第2章 カー登場
第3章 トラよ、トラよ!
第4章 恐怖のはじまり
第5章 ジャングル、村をのむ(以上、Ⅰ部)
第6章 死の棒(以下、Ⅱ部)
第7章 赤犬
第8章 春をかける
番外編 ラク(ジャングル)にて
・『ザ・ジャングル・ブック』(1894)
1「モウグリの兄弟たち」→【第1章】
2「カー登場」→【第2章】
3「トラよ、トラよ!」→【第3章】
4「白いオットセイ」
5「リッキ・ティッキ・ターヴィ」
6「象使いのトゥーマイ」
7「女王陛下の召し使い」
・『ザ・セカンド・ジャングル・ブック』(1895)
1「恐怖のはじまり」→【第4章】
2「プルン・バガートの奇跡」
3「ジャングル、村をのむ」→【第5章】
4「死体ひきうけ人たち」
5「死の棒」→【第6章】
6「キケルン」
7「赤犬」→【第7章】
8「春をかける」→【第8章】
※2・4・6の章題の翻訳は、
木島訳掲載の訳に従った。
ラディヤード・キップリング著
木島始(きじまはじめ)訳
『ジャングル・ブック』
(福音館書店、昭和54年7月)
※原作から「モーグリが主人公になった物語と詩のぜんぶを、
訳したものです。」(木島訳 476頁)
〔福音館書店版の章立て〕
第1章 おおかみのなかまいり
第2章 カーの狩り
第3章 恐れのあらわれかた
第4章 赤い花
第5章 とら! とら!
第6章 ジャングルのなだれこみ
第7章 王さまのぞう突き棒
第8章 赤犬
第9章 春に駆ける
・『ザ・ジャングル・ブック』(1894)
1「おおかみの兄弟たち」→【第1・4章】
(第1章「おおかみのなかまいり」・第4章「赤い花」と改題)
2「カーの狩り」→【第2章】
3「とら! とら!」→【第5章】
4「白あざらし」
5「リッキ・ティッキ・タービ」
6「ぞうつかいトゥーマイ」
7「女王の召使」
・『ザ・セカンド・ジャングル・ブック』(1895)
1「恐れのあらわれかた」→【第3章】
2「プルン・バガートの奇跡」
3「ジャングルのなだれこみ」→【第6章】
4「死体ひきうけ人たち」
5「王さまのぞう突き棒」→【第7章】
6「キケルン」
7「赤犬」→【第8章】
8「春に駆ける」→【第9章】
ラドヤード・キプリング著
西村孝次(にしむらこうじ)訳
『ジャングル・ブック』
(角川文庫、昭和47年7月。改版、平成7年2月)
※初出は『世界少年少女文学全集 第5巻イギリス編3』創元社、昭和28年。
上巻『ザ・ジャングル・ブック』(1894)のみの全訳です。
〔角川文庫版の章立て〕
1「モーグリの兄弟」
2「カーの狩り」
3「虎! 虎!」
4「白あざらし」
5「リッキ・ティッキ・ターヴィ」
6「象トーマイ」
7「女王さまの召使たち」
※西村孝次氏による
下巻『ザ・セカンド・ジャングル・ブック』も含んだ全訳が、
『学研世界名作シリーズ5 ジャングル・ブック』
(学習研究社、昭和49年)
『学研世界名作シリーズ6 続ジャングル・ブック』
(学習研究社、昭和49年)
として出ており、これが唯一の全訳ですが、高価なので未見です。
ラドヤード・キップリング(1865.12-1936.1)の
小説『ジャングル・ブック』を読みました。
キップリング29・30歳の時(1894・95)の作品です。
もとは
『ザ・ジャングル・ブック』(1894)
『ザ・セカンド・ジャングル・ブック』(1895)
の2巻からなる作品ですが、
完訳は西村孝次氏によるものがあるのみで、
他はすべて、
狼に育てられたモウグリ少年についての章のみを集めて翻訳してあります。
ラドヤード=キップリング著
岡田好惠(おかだよしえ)訳
『ジャングル・ブック』
(講談社青い鳥文庫、平成13年11月)
※原作から「モウグリがでてくる物語だけを集めて訳し、
一冊にまとめ」てある(岡田訳 357頁)。
〔講談社青い鳥文庫版の章立て〕
第1章 モーグリ、オオカミの子となる
第2章 ニシキヘビ、カーの狩り
第3章 トラよ、でてこい!
第4章 ジャングル、〈恐れ〉を知る
第5章 ジャングル、村をのむ
第6章 王さまの象突き棒
第7章 赤イヌ
第8章 春を走る
・『ザ・ジャングル・ブック』(1894)
1「モーグリ、オオカミの子となる」→【第1章】
2「ニシキヘビ、カーの狩り」→【第2章】
3「トラよ、でてこい!」→【第3章】
4「白アザラシ」
5「リッキ=ティッキ=タービ」
6「ゾウのトーマイ」
7「女王さまの召し使い」
・『ザ・セカンド・ジャングル・ブック』(1895)
1「ジャングル、〈恐れ〉を知る」→【第4章】
2「ブルーン=バガットの奇跡」
3「ジャングル、村をのむ」→【第5章】
4「死体を処理するものたち」
5「王さまの象突き棒」→【第6章】
6「幽霊イヌ」
7「赤イヌ」→【第7章】
8「春を走る」→【第8章】
はじめは金原瑞人氏の翻訳で読むつもりだったのですが、
ところどころ言葉のつながりを欠くところがあって、
流れが途切れがちな印象でした。
半分読み終えたあたりで、
偶然手に入れた岡田好恵氏の翻訳を読んでみたところ、
金原訳はもとより、
木島始氏、西村孝次氏の翻訳と比べても、
誰にでも読みやすい、
よくこなれた現代の言葉で訳されていましたので、
岡田訳に切りかえ、改めて読み直すことにしました。
***
モウグリの物語だけではありますが、
全体を読み終えての感想です。
岡田訳はどこも読みにくくなかったのですが、
それでも
ところどころ違和感を覚えながら、
立ち止まりつつ読了することになりました。
その違和感とは、
まだ確実にはつかみきれていないのですが、
キップリングのジャングルへの認識、
そこに生きる動物たちへの認識に対して、
少なからず違和感を覚えたように思います。
インドで生まれ育った点、
ふつうのイギリス人よりも、
ジャングルで生きる動物たちについて
色々知る立場にいたことは確かですが、
実際ジャングルに分け入って、
5年10年と動物たちが身近にいる環境で、
命の危険と隣り合わせに生きてきた上で、
自らの豊富な経験をもとに書かれた作品だとは
とても思えませんでした。
現実のジャングル
現実の動物たちとの乖離(かいり)が、
今読むと作品としての弱さを感じさせる
少し残念な結果となっているように思いました。
***
手元にある他の翻訳を、
章立てとともに紹介します。
ラドヤード=キップリング著
金原瑞人(かねはらみずひと)訳
『ジャングル・ブックⅠ・Ⅱ』
(偕成社文庫、平成2年7月)
※こちらも原作から、
モウグリが出て来る8章を選んで訳してあります。
番外編として、
『ザ・ジャングル・ブック』(1894)の刊行前に発表された、
モウグリが出て来る中編「ラクにて」(1893)を収録してあります。
〔偕成社文庫版の章立て〕
第1章 モウグリの兄弟たち
第2章 カー登場
第3章 トラよ、トラよ!
第4章 恐怖のはじまり
第5章 ジャングル、村をのむ(以上、Ⅰ部)
第6章 死の棒(以下、Ⅱ部)
第7章 赤犬
第8章 春をかける
番外編 ラク(ジャングル)にて
・『ザ・ジャングル・ブック』(1894)
1「モウグリの兄弟たち」→【第1章】
2「カー登場」→【第2章】
3「トラよ、トラよ!」→【第3章】
4「白いオットセイ」
5「リッキ・ティッキ・ターヴィ」
6「象使いのトゥーマイ」
7「女王陛下の召し使い」
・『ザ・セカンド・ジャングル・ブック』(1895)
1「恐怖のはじまり」→【第4章】
2「プルン・バガートの奇跡」
3「ジャングル、村をのむ」→【第5章】
4「死体ひきうけ人たち」
5「死の棒」→【第6章】
6「キケルン」
7「赤犬」→【第7章】
8「春をかける」→【第8章】
※2・4・6の章題の翻訳は、
木島訳掲載の訳に従った。
ラディヤード・キップリング著
木島始(きじまはじめ)訳
『ジャングル・ブック』
(福音館書店、昭和54年7月)
※原作から「モーグリが主人公になった物語と詩のぜんぶを、
訳したものです。」(木島訳 476頁)
〔福音館書店版の章立て〕
第1章 おおかみのなかまいり
第2章 カーの狩り
第3章 恐れのあらわれかた
第4章 赤い花
第5章 とら! とら!
第6章 ジャングルのなだれこみ
第7章 王さまのぞう突き棒
第8章 赤犬
第9章 春に駆ける
・『ザ・ジャングル・ブック』(1894)
1「おおかみの兄弟たち」→【第1・4章】
(第1章「おおかみのなかまいり」・第4章「赤い花」と改題)
2「カーの狩り」→【第2章】
3「とら! とら!」→【第5章】
4「白あざらし」
5「リッキ・ティッキ・タービ」
6「ぞうつかいトゥーマイ」
7「女王の召使」
・『ザ・セカンド・ジャングル・ブック』(1895)
1「恐れのあらわれかた」→【第3章】
2「プルン・バガートの奇跡」
3「ジャングルのなだれこみ」→【第6章】
4「死体ひきうけ人たち」
5「王さまのぞう突き棒」→【第7章】
6「キケルン」
7「赤犬」→【第8章】
8「春に駆ける」→【第9章】
ラドヤード・キプリング著
西村孝次(にしむらこうじ)訳
『ジャングル・ブック』
(角川文庫、昭和47年7月。改版、平成7年2月)
※初出は『世界少年少女文学全集 第5巻イギリス編3』創元社、昭和28年。
上巻『ザ・ジャングル・ブック』(1894)のみの全訳です。
〔角川文庫版の章立て〕
1「モーグリの兄弟」
2「カーの狩り」
3「虎! 虎!」
4「白あざらし」
5「リッキ・ティッキ・ターヴィ」
6「象トーマイ」
7「女王さまの召使たち」
※西村孝次氏による
下巻『ザ・セカンド・ジャングル・ブック』も含んだ全訳が、
『学研世界名作シリーズ5 ジャングル・ブック』
(学習研究社、昭和49年)
『学研世界名作シリーズ6 続ジャングル・ブック』
(学習研究社、昭和49年)
として出ており、これが唯一の全訳ですが、高価なので未見です。
2014年7月17日木曜日
【読了】アレクサンドル・デュマ著(矢野徹編訳)『巌窟王―モンテ・クリスト伯』(講談社青い鳥文庫)
フランスの小説家
アレクサンドル・デュマ(1802.7-1870.12)の
小説『モンテ・クリスト伯』を、
1冊に編訳した版で読みました。
1844年から46年にかけて
新聞「デバ」誌上に発表された、
デュマ40代前半の作品です。
アレクサンドル・デュマ著
矢野徹(やのてつ)編訳
『巌窟王―モンテ・クリスト伯』
(講談社青い鳥文庫、平成元年5月)
1冊に短縮してあることもあり、
飽きる間もなく、
わくわくどきどき手に汗握りながら、
楽しんで一気に読み終えることができました。
罪を憎んで人を憎まずとは真逆の、
どろどろした復讐劇ですが、
デュマの性格ゆえか、
読むのが嫌になるような陰湿な感じはほとんどなく、
自分を無実の罪に追いやった相手への復讐という、
わかりやすい正義の物語として読了することができました。
物語のテーマが一貫している点、
『三銃士』よりもわかりやすく感じました。
編訳版は他にも、
大友徳明 編訳
『モンテ・クリスト伯(上・下)』
(偕成社文庫、平成22年10月)
村松友二 編訳
『モンテ・クリスト伯』
(講談社〔痛快世界の冒険文学15〕平成10年12月)
中村真一郎 編訳
『モンテ・クリスト伯爵』
(河出書房新社、世界文学の玉手箱13、平成5年4月)
※初出は世界文化社〔世界の文学12〕昭和53年。
竹村猛 編訳
『モンテ・クリスト伯(上・中・下)』
(岩波少年文庫、平成12年6月)
※初出は旺文社文庫(上・下)昭和44年7月。
黒岩涙香 編訳
『巌窟王〈上・下巻〉』
(はる書房、平成18年9月)
※初出は明治34-35年(1901-02)。
などがあります。
どれもまだ未読ですが、
ごく最近の大友訳はどんな感じなのか気になっています。
いずれは全訳を、
と思って探してみるとたくさん見つかりました。
大矢タカヤス訳
『モンテ=クリスト伯爵』
(新井書院〔オペラオムニア叢書1〕平成24年6月)※1486頁!
松下和則・松下彩子訳
『モンテ・クリスト伯(Ⅰ・Ⅱ)』
(集英社〔世界文学全集24・25〕昭和55年7・8月)
泉田武二 訳
『モンテ=クリスト伯』
(講談社〔スーパー文庫〕平成2年11月)
※初出は評論社〔ニューファミリー文庫 世界の名作12-17〕全6巻、昭和50-51年。
新庄嘉章 訳
『モンテ=クリスト伯(1-5)』
(講談社文庫、昭和49年12月〈1〉、同50年1月〈2〉4月〈3〉5月〈4〉6月〈5〉)
山内義雄 訳
『モンテ・クリスト伯〈1-7〉』
(岩波文庫、昭和31年2月〈1・2〉3月〈3〉7月〈4〉8月〈5〉9月〈6〉、昭和32年1月〈7〉)
気になっているのは最新の大矢訳です。
先へ先へと読ませる翻訳かどうか、
近々手に入れてみようと思っています。
※Wikipediaの「アレクサンドル・デュマ・ペール」「モンテ・クリスト伯」を参照。
アレクサンドル・デュマ(1802.7-1870.12)の
小説『モンテ・クリスト伯』を、
1冊に編訳した版で読みました。
1844年から46年にかけて
新聞「デバ」誌上に発表された、
デュマ40代前半の作品です。
アレクサンドル・デュマ著
矢野徹(やのてつ)編訳
『巌窟王―モンテ・クリスト伯』
(講談社青い鳥文庫、平成元年5月)
1冊に短縮してあることもあり、
飽きる間もなく、
わくわくどきどき手に汗握りながら、
楽しんで一気に読み終えることができました。
罪を憎んで人を憎まずとは真逆の、
どろどろした復讐劇ですが、
デュマの性格ゆえか、
読むのが嫌になるような陰湿な感じはほとんどなく、
自分を無実の罪に追いやった相手への復讐という、
わかりやすい正義の物語として読了することができました。
物語のテーマが一貫している点、
『三銃士』よりもわかりやすく感じました。
編訳版は他にも、
大友徳明 編訳
『モンテ・クリスト伯(上・下)』
(偕成社文庫、平成22年10月)
村松友二 編訳
『モンテ・クリスト伯』
(講談社〔痛快世界の冒険文学15〕平成10年12月)
中村真一郎 編訳
『モンテ・クリスト伯爵』
(河出書房新社、世界文学の玉手箱13、平成5年4月)
※初出は世界文化社〔世界の文学12〕昭和53年。
竹村猛 編訳
『モンテ・クリスト伯(上・中・下)』
(岩波少年文庫、平成12年6月)
※初出は旺文社文庫(上・下)昭和44年7月。
黒岩涙香 編訳
『巌窟王〈上・下巻〉』
(はる書房、平成18年9月)
※初出は明治34-35年(1901-02)。
などがあります。
どれもまだ未読ですが、
ごく最近の大友訳はどんな感じなのか気になっています。
いずれは全訳を、
と思って探してみるとたくさん見つかりました。
大矢タカヤス訳
『モンテ=クリスト伯爵』
(新井書院〔オペラオムニア叢書1〕平成24年6月)※1486頁!
松下和則・松下彩子訳
『モンテ・クリスト伯(Ⅰ・Ⅱ)』
(集英社〔世界文学全集24・25〕昭和55年7・8月)
泉田武二 訳
『モンテ=クリスト伯』
(講談社〔スーパー文庫〕平成2年11月)
※初出は評論社〔ニューファミリー文庫 世界の名作12-17〕全6巻、昭和50-51年。
新庄嘉章 訳
『モンテ=クリスト伯(1-5)』
(講談社文庫、昭和49年12月〈1〉、同50年1月〈2〉4月〈3〉5月〈4〉6月〈5〉)
山内義雄 訳
『モンテ・クリスト伯〈1-7〉』
(岩波文庫、昭和31年2月〈1・2〉3月〈3〉7月〈4〉8月〈5〉9月〈6〉、昭和32年1月〈7〉)
気になっているのは最新の大矢訳です。
先へ先へと読ませる翻訳かどうか、
近々手に入れてみようと思っています。
※Wikipediaの「アレクサンドル・デュマ・ペール」「モンテ・クリスト伯」を参照。
2014年7月14日月曜日
【読了】O.henry, One Thousand Dollars and Other Plays (OBW Stage2)
やさしい英語の本、通算79冊目、
Oxford Bookworms のStage2(700語レベル)の12冊目は、
アメリカの小説家
オー・ヘンリー(1862.9-1910.6)の短編集
『1000ドル』を読みました。
O.Henry
One Thousand Dollars
and Other Plays
Retold by John Escott
(Oxford Bookworms Stage2)
This simplified edition (c)Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms 2000
5,333語
収録作品は、
1) All that Money can Buy
2) One Thousand Dollars
3) A Night Out
4) Two Loaves of Bread
の4編です。
1) All that Money can Buy は、
「Mammon and the Archer」という原題で、
オー・ヘンリーが44歳の時(1906)に刊行された
第2短編集『The Four Million (四百万)』に収められました。
邦訳は、
大久保康雄訳
『O・ヘンリー短編集(一)』
(新潮文庫、昭和44年3月。40刷改版、昭和62年5月)
の中に「黄金の神と恋の射手」という邦題で収められています。
その他、
千葉茂樹訳
『賢者の贈り物』
(理論社 オー・ヘンリー ショートストーリーセレクション4、平成19年8月)
の中にも「お金の神さまとキューピット」という邦題で収められています。
2) One Thousand Dollars は、
そのままの原題で、
オー・ヘンリーが46歳の時(1908)に刊行された
第5短編集『The voice of the City (都会の声)』に収められています。
邦訳は、
大久保康雄訳
『O・ヘンリー短編集(二)』
(新潮文庫、昭和44年3月。39刷改版、昭和62年12月)
の中に「千ドル」という邦題で収められています。
その他、
千葉茂樹訳
『千ドルのつかいみち』
(理論社 オー・ヘンリー ショートストーリーセレクション7、平成20年1月)
の中にも「千ドルのつかいみち」という邦題で収められています。
3) A Night Out は、
「Lost on Dress Parade」という原題で、
オー・ヘンリーが44歳の時(1906)に刊行された
第2短編集『The Four Million (四百万)』に収められています。
邦訳は、新潮文庫版には未収録ですが、
千葉茂樹訳
『マディソン街の千一夜』
(理論社 オー・ヘンリー ショートストーリーセレクション6、平成19年11月)
の中に「パレードのしくじり」という邦題で収められています。
4) Two Loaves of Bread は、
「Witches' Loaves」という原題で、
オー・ヘンリーが亡くなった翌年(1911)に刊行された
短編集『Sixes and Sevens(てんやわんや)』に収められています。
邦訳は、
大久保康雄訳
『O・ヘンリー短編集(二)』
(新潮文庫、昭和44年3月。39刷改版、昭和62年12月)
の中に「善女のパン」という邦題で収められています。
その他、
千葉茂樹訳
『魔女のパン』
(理論社 オー・ヘンリー ショートストーリーセレクション、平成19年6月)
の中にも「魔女のパン」という邦題で収められています。
***
どれもやさしい戯曲に書き直されています。
ふだん台本を読むことはないので、
却って読みにくく感じるところもあるのですが、
やさしい英語で書かれていますので、
場面場面を思い浮かべつつ、
軽めの読み物として楽しむことができました。
どれも初めて読みましたが、
思いがけない結末にニヤリとしながら、
オー・ヘンリー独特のカラリとしたユーモアを感じることができました。
※通算79冊目。計611,257語。
※オー・ヘンリー短編集の邦題(『四百万』『てんやわんや』)は、大久保康雄著「O・ヘンリーの生涯と作品」(『O・ヘンリー短編集(一)』新潮文庫)を参照しました。
Oxford Bookworms のStage2(700語レベル)の12冊目は、
アメリカの小説家
オー・ヘンリー(1862.9-1910.6)の短編集
『1000ドル』を読みました。
O.Henry
One Thousand Dollars
and Other Plays
Retold by John Escott
(Oxford Bookworms Stage2)
This simplified edition (c)Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms 2000
5,333語
収録作品は、
1) All that Money can Buy
2) One Thousand Dollars
3) A Night Out
4) Two Loaves of Bread
の4編です。
1) All that Money can Buy は、
「Mammon and the Archer」という原題で、
オー・ヘンリーが44歳の時(1906)に刊行された
第2短編集『The Four Million (四百万)』に収められました。
邦訳は、
大久保康雄訳
『O・ヘンリー短編集(一)』
(新潮文庫、昭和44年3月。40刷改版、昭和62年5月)
の中に「黄金の神と恋の射手」という邦題で収められています。
その他、
千葉茂樹訳
『賢者の贈り物』
(理論社 オー・ヘンリー ショートストーリーセレクション4、平成19年8月)
の中にも「お金の神さまとキューピット」という邦題で収められています。
2) One Thousand Dollars は、
そのままの原題で、
オー・ヘンリーが46歳の時(1908)に刊行された
第5短編集『The voice of the City (都会の声)』に収められています。
邦訳は、
大久保康雄訳
『O・ヘンリー短編集(二)』
(新潮文庫、昭和44年3月。39刷改版、昭和62年12月)
の中に「千ドル」という邦題で収められています。
その他、
千葉茂樹訳
『千ドルのつかいみち』
(理論社 オー・ヘンリー ショートストーリーセレクション7、平成20年1月)
の中にも「千ドルのつかいみち」という邦題で収められています。
3) A Night Out は、
「Lost on Dress Parade」という原題で、
オー・ヘンリーが44歳の時(1906)に刊行された
第2短編集『The Four Million (四百万)』に収められています。
邦訳は、新潮文庫版には未収録ですが、
千葉茂樹訳
『マディソン街の千一夜』
(理論社 オー・ヘンリー ショートストーリーセレクション6、平成19年11月)
の中に「パレードのしくじり」という邦題で収められています。
4) Two Loaves of Bread は、
「Witches' Loaves」という原題で、
オー・ヘンリーが亡くなった翌年(1911)に刊行された
短編集『Sixes and Sevens(てんやわんや)』に収められています。
邦訳は、
大久保康雄訳
『O・ヘンリー短編集(二)』
(新潮文庫、昭和44年3月。39刷改版、昭和62年12月)
の中に「善女のパン」という邦題で収められています。
その他、
千葉茂樹訳
『魔女のパン』
(理論社 オー・ヘンリー ショートストーリーセレクション、平成19年6月)
の中にも「魔女のパン」という邦題で収められています。
***
どれもやさしい戯曲に書き直されています。
ふだん台本を読むことはないので、
却って読みにくく感じるところもあるのですが、
やさしい英語で書かれていますので、
場面場面を思い浮かべつつ、
軽めの読み物として楽しむことができました。
どれも初めて読みましたが、
思いがけない結末にニヤリとしながら、
オー・ヘンリー独特のカラリとしたユーモアを感じることができました。
※通算79冊目。計611,257語。
※オー・ヘンリー短編集の邦題(『四百万』『てんやわんや』)は、大久保康雄著「O・ヘンリーの生涯と作品」(『O・ヘンリー短編集(一)』新潮文庫)を参照しました。
2014年7月1日火曜日
【読了】Peter Dainty, The Love of a King (OBW Stage2)
やさしい英語の本、通算78冊目、
Oxford Bookworms のStage2(700語レベル)の11冊目は、
イギリスの作家
ピーター・デインティ氏による
エドワード8世(1894.6-1972.5)の伝記
『ある王の愛 The Love of a King』
を読みました。
Peter Dainty
The Love of a King
(Oxford Bookworms Stage2)
This simplified edition (c)Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms 1989
6,150語
イギリス王室の知識に乏しく、恥ずかしながら
エドワード8世といわれてもピンと来なかったので、
現在のエリザベス2世から順番にさかのぼってみました。
現在のイギリス女王はエリザベス2世(1926.4- 在位1952.2-)です。
彼女の父に当たるのが、
ジョージ6世(1895.12-1952.2 在位1936.12-1952.2)です。
エリザベス2世の1代前の国王であり、
エリザベス2世は、ジョージ6世の第1子として生まれました。
このジョージ6世の父親に当たるのが、
ジョージ5世(1865.6-1936.1 在位1910.5-1936.1)です。
ジョージ6世の2代前の国王であり、
ジョージ6世は、ジョージ5世の次男として生まれました。
ジョージ6世は、次男なので本来、
王位を継ぐ立場にはいませんでした。
ジョージ6世の1代前、
エドワード8世(1894.6-1972.5 在位1936.1-12)は、
ジョージ6世の兄であり、
ジョージ5世の長男でしたので、
ふつうにジョージ5世の次の国王として即位したのですが、
その後わずか325日で、
離婚歴のあるアメリカ人女性
ウォリス・シンプソン(1896.6-1986.4)と
結婚するために退位したのを受けて、
急遽、弟のほうが国王ジョージ6世として即位することになりました。
つまり、
ジョージ5世の長男が
エドワード8世として即位したものの、
すぐに退位したため、
ジョージ5世の次男が
ジョージ6世として即位したということです。
本書は、
愛する女性と結婚するために
「王冠を捨てた」国王エドワード8世についての簡単な伝記です。
どちらかといえば、
エドワード8世を擁護する立場から書かれています。
恋愛を主題にしているからか、
興味深く一気に読み通すことができました。
ただ自らの愛を貫いたといえば聞こえは良いですが、
悪くいえば、
自分の都合で国民を見捨てたことにもなるわけなので、
賛否両論あるようです。
エドワード8世が
即位し(退位し)た1936年は、
日本では、
二・二六事件の起きた年(昭和11年)のことです。
戦争へのきな臭い雰囲気の中で、
国王の退位という一大事を経験しても、
イギリスの政治が盤石であったことには驚きでした。
このあたりの経緯について書かれた
日本語の一般書はないか探してみると、
渡邉みどり氏の著書が見つかりました。
渡邉みどり著
『英国王冠をかけた恋』
(朝日文庫、平成24年10月)
※初出は『恋か王冠か ―英国ロイヤル・ファミリー物語』光人社、平成7年12月。
一般向けで読みやすそうなので、
近々手に入れてみようと思います。
※通算78冊目。計616,575語。
※Wikipediaの「エドワード8世(イギリス王)」「ウォリス・シンプソン」「ジョージ6世(イギリス王)」「エリザベス2世」を参照。
Oxford Bookworms のStage2(700語レベル)の11冊目は、
イギリスの作家
ピーター・デインティ氏による
エドワード8世(1894.6-1972.5)の伝記
『ある王の愛 The Love of a King』
を読みました。
Peter Dainty
The Love of a King
(Oxford Bookworms Stage2)
This simplified edition (c)Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms 1989
6,150語
イギリス王室の知識に乏しく、恥ずかしながら
エドワード8世といわれてもピンと来なかったので、
現在のエリザベス2世から順番にさかのぼってみました。
現在のイギリス女王はエリザベス2世(1926.4- 在位1952.2-)です。
彼女の父に当たるのが、
ジョージ6世(1895.12-1952.2 在位1936.12-1952.2)です。
エリザベス2世の1代前の国王であり、
エリザベス2世は、ジョージ6世の第1子として生まれました。
このジョージ6世の父親に当たるのが、
ジョージ5世(1865.6-1936.1 在位1910.5-1936.1)です。
ジョージ6世の2代前の国王であり、
ジョージ6世は、ジョージ5世の次男として生まれました。
ジョージ6世は、次男なので本来、
王位を継ぐ立場にはいませんでした。
ジョージ6世の1代前、
エドワード8世(1894.6-1972.5 在位1936.1-12)は、
ジョージ6世の兄であり、
ジョージ5世の長男でしたので、
ふつうにジョージ5世の次の国王として即位したのですが、
その後わずか325日で、
離婚歴のあるアメリカ人女性
ウォリス・シンプソン(1896.6-1986.4)と
結婚するために退位したのを受けて、
急遽、弟のほうが国王ジョージ6世として即位することになりました。
つまり、
ジョージ5世の長男が
エドワード8世として即位したものの、
すぐに退位したため、
ジョージ5世の次男が
ジョージ6世として即位したということです。
本書は、
愛する女性と結婚するために
「王冠を捨てた」国王エドワード8世についての簡単な伝記です。
どちらかといえば、
エドワード8世を擁護する立場から書かれています。
恋愛を主題にしているからか、
興味深く一気に読み通すことができました。
ただ自らの愛を貫いたといえば聞こえは良いですが、
悪くいえば、
自分の都合で国民を見捨てたことにもなるわけなので、
賛否両論あるようです。
エドワード8世が
即位し(退位し)た1936年は、
日本では、
二・二六事件の起きた年(昭和11年)のことです。
戦争へのきな臭い雰囲気の中で、
国王の退位という一大事を経験しても、
イギリスの政治が盤石であったことには驚きでした。
このあたりの経緯について書かれた
日本語の一般書はないか探してみると、
渡邉みどり氏の著書が見つかりました。
渡邉みどり著
『英国王冠をかけた恋』
(朝日文庫、平成24年10月)
※初出は『恋か王冠か ―英国ロイヤル・ファミリー物語』光人社、平成7年12月。
一般向けで読みやすそうなので、
近々手に入れてみようと思います。
※通算78冊目。計616,575語。
※Wikipediaの「エドワード8世(イギリス王)」「ウォリス・シンプソン」「ジョージ6世(イギリス王)」「エリザベス2世」を参照。
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