2014年10月31日金曜日

【読了】Edith Nesbit, The Railway Children (OBW Stage3)

やさしい英語の本、通算89冊目、
オックスフォード・ブックワームズの
ステージ3(1,000語レベル)の1冊目は、

イギリスの小説家
イーディス・ネズビット(1858.8-1924.5)の
小説『鉄道きょうだい(若草の祈り)』を読みました。

著者48歳の時(1906)に出版された作品です。


Edith Nesbit
The Railway Children

Retold by John Escott 〔Oxford Bookworms Stage 3〕
This simplified edition (c) Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms1993
9,295語


昨年(2013)12月に、
ペンギン・リーダーズの
レベル2(600語レベル)で初めて読んでいるので、

やさしい英語で読む
2冊目の『鉄道きょうだい』でした。

中村妙子(なかむらたえこ)氏の翻訳も読了しているので、
一つ上の1000語レベルでしたが、難なく読み終えることができました。

ストーリーに馴染んできたからか、
姉弟妹を中心にくり広げられる心暖まるお話に、
楽しいひと時を過ごすことができました。

ぱっと見、平凡な感じなのですが、
子どもたちの心理描写が味わい深い、
ネズビットの名作のひとつだと思います。

これはぜひ、
将来原文でも読んでみたい1冊になりました。


中村妙子訳
『鉄道きょうだい』
(教文館、2011年12月)

中村妙子氏の翻訳で不満はありませんが、

かつて映画が公開された時に、
岡本浜江氏による翻訳も出ているので、
近々手に入れたいと思っています。


岡本浜江訳
『若草の祈り』
(角川文庫、1971年10月)

1970年に公開された映画も興味はありますが、
字幕つきでは出ていないようなので、
もう少し英語力がアップしてからのほうがよいでしょう。


※通算89冊目。計680,802語。

※Wikipediaの「イーディス・ネズビット」を参照。

2014年10月27日月曜日

【読了】森絵都著『つきのふね』(平成10年6月刊行)

森絵都(もりえと 1968.4- )の本、
5冊目は小説『つきのふね』を読みました。

著者30歳の時(1998.6)に刊行された作品です。
第36回野間児童文芸賞(1998)を受賞。


森絵都著
『つきのふね』
(角川文庫、平成17年11月)
 ※初出〔単行本〕は講談社、平成10年6月。


デビュー以来、
『リズム』(1991)
『ゴールドフィッシュ』(1991)
『宇宙のみなしご』(1994)
と長編が3作続いた後、

短編集
『アーモンド入りのチョコレートのワルツ』(1996)
をはさんで、

再び取り組まれた4作目の長編が
『つきのふね』(1998)でした。

私が最初に読んだ
森絵都の小説『カラフル』はこの後、
5作目の長編に当たります。


こういう流れでみてみると、確かに
 『宇宙のみなしご』
 『つきのふね』
 『カラフル』
の3作は似た色調の作品でした。

発表順に物語としての完成度が高くなり、

『カラフル』には一歩及ばないものの、
『宇宙のみなしご』よりは数段よい出来で、

クライマックスに向けての感動は
『つきのふね』が一番でした。


人が生きていく時の孤独さに、
軽めのタッチですがしっかり向き合って、
ごく穏当な答えに行きついているのは好感がもてました。

途中の展開に、
少し停滞を感じたのがマイナスでしたが、

新しい方向性を模索しているのかな、
と思えば納得できるレベルでした。


森絵都の作品は、
発表の速度がゆっくりだからかもしれませんが、

一作ずつ着実に進化していて、
変わっていく様子を作品ごとに読み取れるのがおもしろいです。

次はどんな進化を見せてくれるのでしょうか。

2014年10月22日水曜日

【読了】ダニエル・スティール著(天馬龍行訳)『アクシデント』

アメリカ合衆国の女流作家
ダニエル・スティール(Danielle Steel 1947.8-)の
小説『アクシデント Accidentを読みました。

著者46歳の時(1994.3)に刊行された作品です。


ダニエル・スティール著
天馬龍行訳
『アクシデント(上・下)』
(アカデミー出版、1995年4月。新書判版、1996年4月)

『長い家路』に続く2冊目のダニエルです。

長めの作品ですが、
訳のおかげかさくさく読み進められました。

今回も濃い内容で、
交通事故で瀕死の重傷を負った娘をめぐる
様々な人間模様が、

母親の視点から重層的に描かれていました。

それだけでも十分に濃いのですが、
夫の不倫、新たな恋、実父からの虐待、
実母、姉との不仲と盛りだくさんな内容で、

これでもかと押し寄せてくる種々の困難を、
主人公が力強く乗り越えていく風の、
人間の感情が色濃く交差する小説でした。

それでも不思議と悲壮感はないのが
ダニエルの小説の特徴なのか、

どんな困難な中でも明るく人生を肯定し、
前向きに生きていこうとする人物像を描いているのは、
『長い家路』と同じで好感がもてました。


辛く苦しいことの多い人生の中に、
どのように明るく前向きな側面がありえるのか、

ふつうに考えたら、
重苦しくてとても読み進められないテーマを扱いながら、

時に感動で涙しながら、
一気に最後まで読ませる力量はさすがだと思いました。


作品を量産していくタイプのようで、
昼ドラ的な味わいもなくはないので、

そのうち飽きが来るかもしれませんが、
またほかの作品も読んでみたいと思っています。

2014年10月21日火曜日

【読了】Janet Hardy-Gould, Henry VIII and his Six Wives (OBW Stage2)

やさしい英語の本、通算88冊目、
オックスフォード・ブックワームズのステージ2(700語レベル)の21冊目は、

英語学習者向けに
やさしい英語の本を書き下ろされている
ジャネット・ハーディ=グールド氏による

イングランド王
ヘンリー8世(1491.6-1547.1)の評伝

『ヘンリー8世と6人の妻たち』を読みました。


Janet Hardy-Gould
Henry VIII and his Six Wives

〔Oxford Bookworms Stage 2〕
This edition (c) Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms1996
6310語


英文学に親しむ以上、
イギリスの歴史にも徐々に詳しくなれたらいいなと、

ヘンリー8世(1491.6-1547.1 在位1509.4-1547.1)
の伝記に手をのばしてみました。

ほぼ何も知らない状況で読みましたが、

 1) キャサリン・オブ・アラゴン(メアリー1世の母)
 2) アン・ブリーン(エリザベス1世の母)
 3) ジェイン・シーモア(エドワード6世の母)
 4) アン・オブ・クレーヴズ
 5) キャサリン・ハワード
 6) キャサリン・パー

と国王の妻が次々変わっていく様子を、
わかりやすくまとめてありました。

このヘンリー8世の父
ヘンリー7世にはじまるチューダー王家は、

 ヘンリー7世 (1457-1509 在位1485-1509)
 ヘンリー8世 (1491-1547 在位1509-1547)
 エドワード6世(1537-1553 在位1547-1553)
 メアリー1世 (1516-1558 在位1553-1558)
 エリザベス1世(1533-1603 在位1558-1603)

と続いたところで断絶し、
スコットランドのスチュアート王家から、

スコットランド王ジェームズ6世
(1566-1625 在位1567-1625)を、

イングランド王ジェームズ1世
(在位1603-1625)として迎えることになるわけですが、
それはまた別のお話。


日本語での評伝を探してみたところ、
ヘンリー8世と6人の妃の変遷をまとめたものとしては、

渡辺みどり著
『英国王室物語 ― ヘンリー八世と六人の妃』
(講談社、1994年3月)

が一番わかりやすかったです。

より多角的に、
ヘンリー8世とその時代を論じた研究としては、

指昭博(さしあきひろ)著
『ヘンリ8世の迷宮 ―イギリスのルネサンス王』
(昭和堂、2012年6月)

がよく出来ていました。専門的な内容を
素人にもわかりやすく解き明かしてあり、
たいへん勉強になりました。


  ***

そういえば先日読み終えた
マーク・トウェインの小説『王子と乞食』の主人公が、
ヘンリー8世の息子エドワード6世だったことを思い出しました。

小説中にヘンリー8世も出て来て、
その崩御の場面が描かれています。

シェイクスピアにも戯曲『ヘンリー8世』がありますが、
いきなり読んでもピンと来ないと思い、今回は手をつけていません。


最近でも、ヘンリー8世をめぐる人々は、
小説の題材に取り上げられることが多いようで、

少し調べただけでも、
歴史小説で2つの大作を見つけました。


◎フィリッパ・グレゴリー(Philippa Gregpry 1954.1-)著

 加藤洋子訳
 『ブーリン家の姉妹(上・下)』
 (集英社文庫、2008年9月)
  ※原題「The Other Boleyn Girl 」(2001)

 加藤洋子訳
 『愛憎の王冠(上・下)―ブーリン家の姉妹2』
 (集英社文庫、2009年9月)
  ※原題「The Queen's Fool 」(2003)

 高里ひろ訳
 『宮廷の愛人(上・下)―ブーリン家の姉妹3』
 (集英社文庫、2010年9月)
  ※原題「The Virgin's Lover 」(2004)

 加藤洋子訳
 『悪しき遺産(上・下)―ブーリン家の姉妹4』
 (集英社文庫、2011年9月)
  ※原題「The Boleyn Inheritance 」(2006)

 ※シリーズの未邦訳。
  The Constant Princess (2005)
    The Other Queen (2008)


◎ヒラリー・マンテル(Hilary Mantel 1952.7-)著

 宇佐川晶子訳
 『ウルフ・ホール(上・下)』(早川書房、2011年7月)
  ※原題「Wolf Hall 」(2009)

 宇佐川晶子訳
 『罪人を召し出せ』(早川書房、2013年9月)
  ※原題「Bring Up teh Bodies 」(2012)

大著ですがおもしろそうなので、
いずれ時間がある時に読んでみようと思います。


※通算88冊目。計671,507語。

※Wikipediaの「ヘンリー8世(イングランド王)」「ブーリン家の姉妹」「ヒラリー・マンテル」を参照。

2014年10月12日日曜日

【読了】ガストン・ルルー著(三輪英彦訳)『オペラ座の怪人』〔創元推理文庫〕

フランスの作家
ガストン・ルルー(1868.5-1927.4)の
小説『オペラ座の怪人』を読みました。

この作品は、
フランスの日刊紙『ル・ゴロワーズ Le Gaulois 』誌上に、
1909年9月23日から1910年1月8日まで連載され、

著者41歳の時(1910.4)に出版された作品です。


三輪秀彦(みわひでひこ)訳
『オペラ座の怪人』
(創元推理文庫、昭和62年1月)


『オペラ座の怪人』は、

2011年11月に
マクミラン・リーダーズのレベル2(600語レベル)、

2013年3月に
オックスフォード・ブックワームズのステージ1(400語レベル)

で読んで、
大まかなあら筋は知っていました。

次は完訳でと思い、
いくつか手にとってみた上で、
一番読みやすかった三輪秀彦氏の翻訳で読んでみることにしました。

かなり複雑に入り組んだ構成の重厚な小説で、

不思議な魅力に惹かれて、
少しずつ読み進めていくうちに終わりを迎えていました。

怪奇小説でもあり、
推理小説でもあり、
切ない恋愛小説でもある、
複雑な要素をかねそなえた大人向けの本格的な小説でした。


翻訳はこのほか、

日影丈吉(ひかげじょうきち)訳
『オペラ座の怪人』
(ハヤカワ文庫、平成元年5月)

長島良三(ながしまりょうぞう)訳
『オペラ座の怪人』
(角川文庫、平成12年2月)



平岡敦(ひらおかあつし)訳
『オペラ座の怪人』
(光文社古典新訳文庫、平成25年7月)

の3つを手に入れました。

読みやすさでは
最初の三輪訳が一歩秀でていたのですが、

最新の平岡訳も、
初めて読むには多少堅い感じがしたものの、
大人向けのていねいな仕事がされていて好感がもてました。

次に読む機会があれば、
平岡訳に挑戦しようと思っています。


子供向けの編訳版は、
大まかな話の流れをつかむのには便利ですが、
圧縮しすぎて原作の魅力がかなり減じているように思いました。

村松定史編訳
『オペラ座の怪人 ―地下にひびく、恐怖のメロディ』
(集英社みらい文庫、平成23年12月)
 ※初出は集英社、こどものための世界文学の森34、平成8年7月。

K.マクマラン編著
岡部史編訳
『オペラ座の怪人』
(金の星社 フォア文庫、平成17年3月)

それでも原作は、
全体的に冗長な感じがあるので、
多少刈り込んだ読みやすくした編訳版はあっても良いと思います。


ガストン・ルルーは、
『オペラ座の怪人』のほかにも、
『黄色い部屋の謎』という作品も評価が高いようなので、
近々読んでみようかなと思っています。


※Wikipediaの「ガストン・ルルー」「オペラ座の怪人」を参照。

2014年10月9日木曜日

【読了】Janet Hardy-Gould, Marco Polp and the Silk Road (OBW Stage2)

やさしい英語の本、通算87冊目、
オックスフォード・ブックワームズのステージ2(700語レベル)の20冊目は、

英語学習者向けに
やさしい英語の本を書き下ろされている
ジャネット・ハーディ=グールド氏による

イタリア〔ヴェネチア共和国〕の商人
マルコ・ポーロ(1254.9-1324.1)の評伝

『マルコ・ポーロとシルク・ロード』を読みました。


Janet Hardy-Gould
Marco Polo and the Silk Road

〔Oxford Bookworms Stage 2〕
(c) Oxford University Press 2010
6700語

マルコ・ポーロの名こそ知れ、
詳しく調べたことはありませんでした。

今回英語で彼の評伝を読んで、
初めてどんな人物なのかその概要を知りました。

マルコ・ポーロと
その著書『東方見聞録』について
改めて興味がわいてきました。

マルコ・ポーロが訪れた
中近東や中国の歴史や地理は
複雑に入り組んでいる印象があって、
これまで遠ざけてきたように思いますが、

そんな私でも興味深く、
1冊を読み通すことができました。


当時のモンゴル帝国の皇帝と
これほど深い直接的なつながりがあったとは知らなかったので、

マルコ・ポーロを起点にして、
この時期の世界史を勉強していくのもありかな、
と思いました。


マルコ・ポーロ著『東方見聞録』の翻訳について、
ざっと調べてみました。


月村辰雄・久保田勝一(つきむらたつお・くぼたかついち)共訳
『マルコ・ポーロ 東方見聞録』
(岩波書店、平成24年5月)

※初出は『全訳 マルコ・ポーロ 東方見聞録 ―『驚異の書』fr.2810 写本』(岩波書店、平成14年3月)。フランス国立図書館所蔵の写本『驚異の書』〔Fr.2810写本〕からの初めての全訳。挿絵もすべて掲載の上、月村辰雄・久保田勝一両氏の本文翻訳に、フランシス・アヴリル、マリー=テレーズ・グセ両氏の解説を付してある。


長沢和俊編訳
『東方見聞録』
(小学館 地球人ライブラリー、平成7年12月)

青木富太郎訳
『東方見聞録』
(現代教養文庫、昭和44年4月)
 ※社会思想社、昭和58年12月〔単行本〕。


愛宕松男(おたぎまつお)訳
『完訳 東方見聞録(1・2)』
(平凡社ライブラリー、平成12年2月)
※初出は平凡社 東洋文庫158・183、昭和45年3月・46年1月。

青木一夫訳
『全訳 マルコ・ポーロ 東方見聞録』
(校倉選書、昭和35年11月)


ふつうに全文読んでおもしろいかわからないので、
1冊に編訳された長沢和俊訳を手に入れようと思っています。


マルコ・ポーロの評伝としては、
保永貞夫氏のものが一番やさしく
誰にでもわかるように書かれていました。



保永貞夫著
『マルコ=ポーロ』
(講談社 火の鳥伝記文庫、昭和57年10月)


岩村忍著
『マルコ・ポーロ ―西洋と東洋を結んだ最初の人』
(岩波新書、昭和26年6月)

佐口透著
『マルコ=ポーロ ―東西を結んだ歴史の証人』
(清水新書、昭和59年10月)

かなり前の著述になりますが、
岩村忍氏の岩波新書もぜひ手に入れなければと思っています。


※通算87冊目。計675,848語。

※Wikipediaの「マルコ・ポーロ」「東方見聞録」「モンゴル帝国」「元(王朝)」を参照。