2017年5月16日火曜日

【156冊目】William MakepeaceThackeray, Vanity Fair (PR Level 3)

やさしい英語の本、通算156冊目は、
ペンギン・リーダーズのレベル3(1200語レベルの)の20冊目として、

インド出身のイギリスの小説家
ウィリアム・メイクピース・サッカレー
(William Makepeace Thackeray, 1811年7月-1863年12月)の
小説『虚栄の市 Vanity Fair 』を読みました。

サッカレー35歳から37歳の時、
1847年1月から翌年7月にかけて毎月分冊にて発表された小説です。


William Makepeace Thackeray
Vanity Fair

Retold by Pauline Francis
〔Penguin Readers Level 3〕
First published by Penguin Books 2000
This edition published 2008
23,566語

サッカレーの名のみどこかで聞いたことがありましたが、
作品を読んだことは一度もありませんでした。

ディケンズと同時代の作家による代表作ということで、
取り寄せて読んでみました。

『虚栄の市』という古めかしいタイトルに、
堅めの真面目なお話かと思っていたら、

全体的に軽めの筆致で、
したたかに貪欲に生きていく女性の姿を描いていて、
かの『風と共に去りぬ』を多少俗っぽくしたような印象が残る、
読み応えのある小説でした。

やさしい英語で読むと、
長い原作をかなり圧縮しているからか、
初めて読むには、却ってわかりにくいところがありました。

それでも手短にあらすじを知ることができるので、
作品の魅力に触れるのに役立つ1冊だと思いました。


  ***

翻訳は次の3点が見つかりました。

平田禿木(ひらたとくぼく)訳
『虚栄の市 (上・下)』
(国民文庫刊行会〔泰西名著文庫〕1914年6月・15年4月◇792・738頁)
 ※下巻の本文738頁に「とりあつめて」(20頁)「サッカレ書史」(11頁)が続く。

三宅幾三郎(みやけいくさぶろう)訳
『虚栄の市(一~六)』
(岩波文庫〔1-3〕1939年2・4・7月◇275・285・210頁。
     〔4-6〕1940年1・4・7月◇204・190・181頁)

 ※『虚栄の市(上・下)』
   (河出書房〔世界文学全集[第1期]第39・40〕1951年◇354・353頁)
 ※『虚栄の市』
   (河出書房新社〔世界文学全集[第3期]第7〕1957年◇486頁)


中島賢二(なかじまけんじ)訳
『虚栄の市(一~四)』
(岩波文庫〔1-2〕2003年9・11月◇434・447頁、
     〔3-4〕2004年1・3月◇446・381頁)

最近のものとしては中島訳があるのみですが、
購入してざっと目を通した限りでは、
十分読める訳文に仕上がっているように感じました。

それでも文庫4冊は多いので、
今後時間が取れそうな時に読んでみようと思います。

1998年にイギリスで製作されたBBCドラマが
DVDで手に入るようなので、
まずはこちらを観るのが一番かもしれません。


監督:マルク・マルデン(Marc Munden)
脚本:アンドリュー・デイビス(Andrew Davies)
主演:ナターシャ・リトル(Natasha Little)、
   フランシス・グレー(Frances Grey)
   フィリップ・グレニスター(Philip Glenister)

322分の大作なので、
こちらもまた時間のある時に。


※第156冊目。総計1,469,388語。

2017年5月3日水曜日

ジェフレイ・チョーサー著『カンタベリー物語』翻訳目録(抄)

ジェフレイ・チョーサー著『カンタベリー物語』翻訳目録(抄)

◎金子健二(かねこけんじ)訳
 『カンタベリ物語』
 (東亜堂書房、1917年12月◇816頁)
  ⇒◎『カンタベリ物語(上・下)』
    (国際文献刊行会〔世界奇書異聞類聚1・2〕1926年2・4月
     ◇500・260頁)


◯亘理俊雄(わたりとしお)訳註
 『カンタベリー物語 ―序歌』
 (尚文堂、1934年◇132頁)


◯金子健二編訳 
 『カンタベリ物語』
 (ふもと社、1948年◇259頁)
  ※「序の歌」「粉屋のおぢさん物語」「会計吏物語」
   「水夫物語」「温泉町バスのあばずれ女房物語」「托鉢僧物語」
   「召喚吏物語」「地主物語」「商人物語」の9話を収録。

  ⇒◯『カンタベリー物語』
    (角川文庫、1973年1月◇203頁)
     ※「序の歌」「粉屋の物語」「家扶の物語」
       「船乗り物語」「バースの女房の物語」「托鉢僧の物語」
       「送達吏の物語」「郷士の物語」「商人の物語」の9話を収録。

 ★構成をみる限り、1973年刊行の「角川文庫」版は、
  1948年刊行の「ふもと社」版をもとに編集されたはずであるが、
  題名だけをみても、様々な改訂が加えられている。
  金子氏は1961年に亡くなっているので、
  1973年刊行の「角川文庫」編集の経緯には不明な所がある


◯小林智賀平(こばやしちかひら)編訳
 『カンタベリー物語』
 (コギト社、1948年◇164頁)


◯吉田新吾訳(よしだしんご)編訳
 『キャンタベリー物語』
 (創元社、1948年◇304頁)
  ※「序歌」「騎士の物語」「粉屋の物語」「家扶の物語」
   「修道尼院長の物語」「修道尼附僧侶の物語」
   「免罪僧の物語」「バースの女房の物語」の8話を収録。


◎西脇順三郎(にしわきじゅんざぶろう)訳
 『カンタベリ物語(上・中)』
 (東西出版社〔もだん・らいぶらりい〕1949年◇397・257頁、未完)

  ⇒◎『カンタベリ物語』
    (河出書房〔世界文学全集[第2期]7 〕1951年12月◇424頁)
  ⇒◯「カンタベリ物語」
    (筑摩書房〔世界文学大系8〕1961年◇174頁〔5-178〕※計395頁)
  ⇒◎「カンタベリ物語」
    (筑摩書房〔筑摩世界文学大系12〕1972年11月◇*頁〔-〕計496頁)
  ⇒◎『カンタベリ物語』
    (筑摩書房〔近代世界文学1〕1974年10月◇*頁〔-〕計485頁 )

  ⇒◎『カンタベリ物語(上・下)』
    (ちくま文庫、1987年4・5月◇433・435頁)


◯御輿員三(おごしかずそう)訳解
 『二十六の群像 :キャンタベリー物語序歌訳解』
 (南雲堂、1959年◇145頁)


◯神戸海星女子学院大学編
 『総序の詩 :チョーサーのカンタベリー物語』
 (中央出版社、1981年3月◇227頁)※対訳


◯神戸海星女子学院大学編
 『騎士の物語 :チョーサーのカンタベリー物語』
 (中央出版社、1983年3月◇390頁)※対訳


◯桝井迪夫(ますいみちお)訳
 『カンタベリー物語(上)』
 (岩波文庫、1973年11月◇345頁。未完)

 ⇒◎『完訳 カンタベリー物語(上・中・下)』
   (岩波文庫、1995年1月◇350・472・326頁)


◯繁尾久(しげおひさし)編訳
 『カンタベリ物語 選』
 (荒地出版社、1985年3月◇275頁)
  ※9話を収録。



◯武居正太郎(たけすえまさたろう)編訳
 『カンタベリ物語選訳集』
 (泉屋書店、2000年6月)
  ※「総序」「粉屋の物語」「家扶の物語」「船長の物語」
   「尼僧付き僧の物語」「免償説教師の物語」「バースの女房の物語」
   「托鉢僧の物語」「貿易商人の物語」の9話を収録。



◎笹本長敬(ささもとひさゆき)訳
 『カンタベリー物語』
 (英宝社、2002年5月◇677頁)






※インターネット上に公開されている玉井美枝子(たまいみえこ)著「本邦初訳の『カンタベリ物語』」(『英学史研究』第18号、1986年)も参照。

2017年4月29日土曜日

【155冊目】Geoffery Chaucer, The Canterbury Tales (PR Level 3)

やさしい英語の本、通算155冊目は、
ペンギン・リーダーズのレベル3(1200語レベルの)の19冊目として、

イングランドの詩人ジェフリー・チョーサー
(Geoffrey Chaucer, 1343年頃-1400年10月)の
物語集『カンタベリー物語 The Canterbury Tales 』を読みました。

『カンタベリー物語』は、
フィレンツェの詩人ジョバンニ・ボッカッチョ
(Giovanni Boccaccio, 1313年-1375年12月)の
物語集『デカメロン Decameron 』に影響を受けた作品として知られ、

当時主流のラテン語でなく、
イタリア語で書かれた『デカメロン』に呼応して、
中世英語で書かれた代表的な文学作品としても知られるそうです。


Geoffrey Chaucer
The Canterbury Tales

Retold by Joanna Strange
〔Penguin Readers Level 3〕
First published by Penguin Books 2000
This edition published 2008
20,739語

昨年の秋頃に手に入れていたのですが、
堅苦しそうな感じがして読まずに置いてありました。

実際に読んでみると、
世俗のユーモア満載の楽しいお話で、
最後までスイスイ読み進めることができました。

このやさしい英語版には、
次の8話が収録されていました。

 The Prologue(ぷろろぐ)
 The Knight's Tale(騎士の話)
 The Clerk's Tale(学僧の話)
 The Wife of Bath's Tale(バースの女房の話)
 The Pardoner's Tale(赦罪状売りの話)
 The Franklin's Tale(郷士の話)
 The Friar's Tale(托鉢僧の話)
 The Nun's Priest's Tale(尼院侍僧の話)

※各話の邦題は、西脇順三郎訳『カンタベリ物語』に従いました。

もとより8話のみの作品ではなく、
手元にある西脇順三郎訳『カンタベリ物語』
(ちくま文庫、1987年4・5月)では全24話が収録されています。

未完に終わった作品であるため、
長編の整ったプロローグ(序章)に対応するはずの
エピローグ(終章)が存在しません。

また、各物語の前後関係もそれほど明確ではなく、
未完の物語が途中に挟まれていたりもして、
構成上の不備はそれなりに目立つのですが、

各物語のもつ素朴な魅力が、
それらの欠点を補って余りあるということでしょう。

中世英語で書かれているので、
なかなか原文で読むわけにはいかないでしょうが、
まずは翻訳で、全体を読んでみたいと思いました。

翻訳については、
調べてみるとたくさん出て来たので、
別のブログでまとめ直したいと思います。


※第155冊目。総計1,445,822語。

※桝井迪夫著『チョーサーの世界』(岩波新書、1976年5月)、斎藤勇著『カンタベリ物語 中世人の滑稽・卑俗・悔悛』(中公新書、1984年12月)を参照。

2017年4月24日月曜日

石田勇治著『ヒトラーとナチ・ドイツ』(講談社現代新書、2015年6月)

毛沢東の評伝を読んだのに続いて、
ヒトラーに関する平易な入門書を1冊読みたいと思っていました。

本屋でふと手にした
東京大学大学院総合文化研究科(地域文化研究専攻)教授の
石田勇治(いしだゆうじ)氏による概説がとてもわかりやすく、
一気に読み終えることができました。


石田勇治著
『ヒトラーとナチ・ドイツ』
(講談社現代新書、2015年6月)

ドイツの近現代史について、
ほとんど知識のない状態で読みましたが、
そんな私にも読みやすい文章だったので助かりました。

第一次世界大戦の敗戦と同時に、
帝政を廃止して共和制を導入し、
民主的なワイマール憲法を公布し、
近代的な議会制民主主義が導入されたはずのドイツ国民が、

その後ヒトラーを選択するまで、
20年しか経っていなかったことに驚きました。

毛沢東と比べると、
ありきたりな政治的な手段を用い、
(プロバガンダや暴力に流れる傾向があったとはいえ、)
わりと真っ正面から選挙を戦って、

選挙に圧勝することで政権を手に入れ、
政治的に瑕疵のない手法によって、
ヒトラーが全権を掌握していく様子は、
もっと強引な手法を想定していたので、
意外な印象が残りました。

これならどこかでヒトラーを止められたのではないかと。


著者の石田氏については、カバーの扉に

「東京外国語大学卒業、
 東京大学大学院社会学研究科(国際関係論)修士課程修了、
 マールブルク大学社会科学哲学部博士課程終了、Ph.D.取得。
 現在、東京大学大学院綜合文化研究科(地域文化研究専攻)教授。
 専門はドイツ近現代史、ジェノサイド研究。」

とありました。

専門の先生の書かれる本は、
とっつきにくいことが多いのですが、
石田氏の文章は素人の私にもわかりやすかったです。

何となくの印象に過ぎませんが、
ヒトラーは第2次世界大戦の終了前に死亡しているので、
毛沢東に比べれば、遥かに重厚な研究の蓄積があるように感じました。

調べてみると、石田氏は
ほかにも概説を2冊書かれているようなので、
近々手に入れて読んでみようと思います。


石田勇治著
『20世紀ドイツ史』
(白水社〔シリーズ・ドイツ現代史Ⅰ〕2005年7月)


石田勇治編著
『図説 ドイツの歴史』
(河出書房新社〔ふくろうの本〕2007年10月)

2017年4月15日土曜日

【154冊目】H.E.Bates, The Darling Buds of May (PR Level 3)

やさしい英語の本、通算154冊目は、
ペンギン・リーダーズのレベル3(1200語レベルの)の18冊目として、

イギリスの作家
ハーバート・アーネスト・ベイツ
(Herbert Ernest Bates, 1905年5月16日-1974年1月29日)の

小説『五月のすてきな新芽たち
    The Darling Buds of May 』

を読みました。


H.E. Bates
The Darling Buds of May

Retold by Annette Keen
〔Penguin Readers Level 3〕
This edition first published by Pearson Education Ltd 2008
12,357語

本書は、ベイツが53歳の時(1958)に刊行されました。

すぐにアメリカで映画化され、
1959年4月に「Mating Game 」という題名で公開されました。

本国イギリスでは、
刊行後30年過ぎてからテレビドラマ化され、
1991年4月から93年4月にかけて、20回にわけて、
原題のまま(The Darling Buds of May )で公開されました。

※Wikipediaの「The Darling Buds of May (novel) 」「Mating Game (film)」「The Darling Buds of May (TV series)」を参照。

まったく知らなかった小説ですが、
そんなに深刻でない、軽めの雰囲気で、
読んで心が暖かくなる、家族の愛情にあふれた楽しい作品でした。

日本人が読んでも十分楽しめる小説だと思うのですが、
映画もテレビドラマも、日本では公開されなかったからか、
翻訳は出ていません。

雰囲気としては
モンゴメリの『赤毛のアン』から、
深刻な要素(死や老い)を取り除いた感じでしょうか。

いずれ原著でも読んでみたい1冊になりました。

邦訳は短編集が何冊か出ているようなので、
調べてからブログにアップしたいと思います。


※第154冊目。総計1,425,083語。