2019年2月15日金曜日

【199冊目】Jane Austen, Persuasion(Oxford Bookworms Stage 4)

やさしい英語の本、通算199冊目は、
オックスフォード・ブックワームズの
レベル4(1,400語レベル)の13冊目として、

イギリスの小説家
ジェイン・オースティン
(Jane Austen, 1775年12月16日-1817年7月18日)
の長編小説『説得 Persuasionを読みました。

オースティンが
41歳(1817年7月)で亡くなる1年前、
1816年8月に完成され

未出版であった処女作
『ノーサンガー・アビー』と合本され、
没後間もなく(1817年末)出版されました。


Jane Austen
Persuasion

Retold by Jennifer Bassett
〔Oxford Bookworms Level 4〕
This simplified edition (c) Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms 2006
19,370語

2013年12月に
ペンギン・アクティブ・リーディングの
レベル2(600語レベル 6,575語)
で読んで以来、5年3ヶ月ぶり、

やさしい英語で2回目の
『説得』となりました。


  ***

一貫して女性の視点から描かれた小説なので、
男の私が読むと少し距離を感じるところもあるのですが、

再読してみて改めて、
正統派のよく練りこまれた恋愛小説であることが実感できました。

特に刺激的な要素があるわけでもないのですが、
じわじわ心に響いて、楽しみながら読了することができました。


翻訳は以前と同じく、
ちくま文庫の中野康司(なかのこうじ)訳を参照しました。

曖昧さのない明確なわかりやすい日本語なので、
とりあえず内容を知りたい方にはお薦めです。


中野康司(なかのこうじ)訳
『説得』
(ちくま文庫、2008年11月◇430頁)


網羅していませんが、
ざっと調べた限りでは、
次のような翻訳が見つかりました。


藤田永祐(ふじたえいすけ)訳
『説得されて』
(春風社、2019年2月◇360頁)



パーカー敬子(けいこ)訳
『説得』
(近代文藝社、2014年11月◇280頁)


大島一彦(おおしまかずひこ)訳
『説得』
(シネマ旬報社、2001年5月◇329頁)

 ⇒『説得』
  (中公文庫、2008年9月◇411頁)


近藤いね子(こんどういねこ)訳
「説得」
(『世界文学全集11 オースティン』講談社、1969年3月。
  伊吹知勢(いぶきちせ)訳「高慢と偏見」を併録)

 ⇒「説得」
  (『世界文学全集21 オースティン』講談社、1975年11月)
    伊吹訳「高慢と偏見」を併録)

 ⇒「説得」
  (『世界文学全集(豪華版)5 オースティン』講談社、1976年10月)
    伊吹訳「高慢と偏見」を併録)

 ⇒「説得」
  (『ジェイン・オースティン著作集2』文泉堂出版、1996年9月)
   ※豪華版の復刻。


阿部知二(あべともじ)訳
「説きふせられて」
(『世界文学全集(カラー版)9オースティン』河出書房新社、1968年5月
 「高慢と偏見」との合本)



富田彬(とみたあきら)訳
『説きふせられて』
(岩波文庫、1942年2月◇368頁)
 ※改版、1998年10月◇409頁)

このうち、
中公文庫の大島一彦(おおしまかずひこ)訳は、
難しすぎない言い回しで、上品な雰囲気のある表現が実現されていて、
読んでみようか気になっているところです。

なお今回、漫画版が出ていることを知り、
手に入れてみました。


英洋子(はなぶさようこ)作画
『説きふせられて』
(宙出版、2018年1月◇124頁)

原著のほうを熟読されている場合は、
素直に受け入れられないかもしれませんが、

どんな作品か知らないで、
手短にあらすじを知りたい時には有効だと思うので、
少し時間がたってから挑戦してみます。


※第199冊目。総計2,121,375語。


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2019年1月31日木曜日

【198冊目】Louisa May Alcott, Little Women(Oxford Bookworms Stage 4)

やさしい英語の本、通算198冊目は、
オックスフォード・ブックワームズの
レベル4(1,400語レベル)の12冊目として、

アメリカの作家
ルイーザ・メイ・オルコット
(Louisa May Alcott, 1832年11月- 1888年3月)の
『若草物語 Little Womenを読みました。

著者35歳の時(1868年10月)に出版された作品です


Louisa May Alcott
Little Women

Retold by John Escott
〔Oxford Bookworms Level 4〕
This simplified edition (c) Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms 1995
14,920語

2011年10月に
マクミラン・リーダーズの
レベル2(600語レベル 7,092語)、

2013年1月に
ペンギン・アクティブ・リーディングの
レベル1(300語レベル 3,552語)

2017年11月に
IBCパブリック・ラダーシリーズの
レベル2(1300語レベル 25,960語)

で読んで以来なので、
やさしい英語では4回目の
『若草物語』となりました。


  ***

4回目ともなれば、
飽きて来てもおかしくないのですが、

読み返すたびに新しい発見があって、改めて、
深い魅力のある作品であることを確認できました。

オールコットの描き出す四姉妹が、
古さを感じさせない自由な魅力を放っていて、
いずれ原文でも読みこなしたい作品になってきました。


翻訳はふだん参照している
掛川恭子(かけがわやすこ)訳に加えて、

最近刊行された
海都洋子(かいとようこ)訳も購入してみました。


掛川恭子(かけがわやすこ)訳
『若草物語』
(講談社文庫、1993年8月◇452頁)


海都洋子(かいとようこ)訳
『若草物語(上・下)』
(岩波少年文庫、2013年8月◇258・299頁)


『赤毛のアン』のように、
全編にわたって見事な構成で、
先へ先へと読ませる力がある作品、
とまではいえないので
(多少冗長なところもある)、
翻訳によって印象が随分異なります。

海都訳は、
原文の流れをできるだけ尊重しつつも、
よくこなれた読みやすい訳文に仕上がっていて、
作品への感動を新たにしました。

大きめのきれいな活字で読めるのなら、
今なお掛川訳も捨てがたいのですが、

手に入れやすさも考慮すると、
いまは海都訳を推すべきだと思います。

※第198冊目。総計2,102,005語。


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2019年1月16日水曜日

【197冊目】Jules Verne, 20,000 Leagues Under the Sea(Oxford Bookworms Stage 4)

やさしい英語の本、通算197冊目は、
オックスフォード・ブックワームズの
レベル4(1,400語レベル)の11冊目として、

フランスの小説家
ジュール・ヴェルヌ
(Jules Verne, 1828年2月8日-1905年3月24日)の
小説『海底二万里 Vingt Mille Lieues Sous Les Mers
やさしい英語版20,000 Leagues Under the Seaを読みました。

著者41-42歳の時、フランスの季刊誌
『教育娯楽雑誌 Magasin d'éducation et de récréation
第11-13号(1869年3月-70年6月)に発表された小説です。

単行本は、第1部が1869年10月、
第2部が1870年6月に刊行されました。


Jules Verne
20,000 Leagues Under the Sea

Retold by Rachel Bladon

〔Oxford Bookworms Level 4〕
This simplified edition (c) Oxford University Press 2015
First published in Oxford Bookworms 2015
15,748語

2012年7月に
ペンギン・リーダーズのレベル1
(300語レベル/4,402語)で読んで以来、
6年半ぶりの『海底二万里』となりました。

もとがフランス語の作品なので、
それほどこだわりはないのですが、

子供の頃に読んだヴェルヌの小説で、
面白かった記憶が残るのが、
これと『十五少年漂流記』なので、
この2作については英語で読む機会があれば、
読んでいこうと思っています。

やさしい英語で読む分には、
特に難しいところもなく、少し物足りないくらいで、
最後まで難なく読み終えることができました。

原作はかなり長大で、
なかなか全体像をつかみにくかったのですが、
今回の挑戦でだいぶ把握できたように思います。


  ***

翻訳は、
読みやすいものを探しているうちに
色々集まって来ました。

まだ全然網羅されていませんが、
手元にあるものをまとめておきます。


渋谷豊(しぶやゆたか)訳
『海底二万里(上・下)』
(角川文庫、2016年7月◇349・414頁)


村松潔(むらまつきよし)訳
『海底二万里(上・下)』
(新潮文庫、2012年9月◇471・564頁)


朝比奈美知子(あさひなみちこ)訳
『海底二万里(上・下)』
(岩波文庫、2007年8・9月◇397・481頁)


私市保彦(きさいちやすひこ)訳
『海底二万里(上・下)』
(岩波少年文庫、2005年8月◇392・464頁)


加藤まさし訳
『海底2万マイル』
(講談社青い鳥文庫、2000年4月◇269頁)


大友徳明(おおとものりあき)訳
『海底二万里(上・中・下)完訳版』
(偕成社文庫、1999年10・11月◇346・340・336頁)


荒川浩充(あらかわひろみつ)訳
『海底二万里』
(東京創元社〔創元SF文庫〕1977年4月◇549頁)


清水正和(しみずまさかず)訳
『海底二万海里』
(福音館書店〔福音館古典童話シリーズ〕1972年10月◇752頁)
 ※福音館文庫 上・下巻(2005年5月◇371・426頁)として再刊。


石川湧(いしかわゆう)訳
『海底二万里(上・下)』
(岩波少年文庫、1956年11月・57年5月)
 ※1991年7月、上巻 30刷改版(◇316頁)、
        下巻 24刷改版(◇328頁)。


花輪莞爾(はなわかんじ)訳
『海底二万海里』
(角川文庫、1963年10月◇602頁)
 ※2009年6月、上・下巻 改版(◇299・358頁)


ヴェルヌの文章には冗長なところがあるようで、
丁寧な翻訳であればあるほど、
日本語の小説としては読みづらいものに仕上がりがちで、

これはと思って読み始めても、
まどろっこしい表現にしだいに勢いをそがれて、
結局読むのを止めてしまったものが多数。

いくつか手に取ってみた中で、
最後まで読めそうだったのは、

 ☆花輪莞爾(はなわかんじ)訳〔1963年〕
 ◎清水正和(しみずまさかず)訳〔1972年〕
 ◯荒川浩充(あらかわひろみつ)訳〔1977年〕

の三点でした。

文章を多少刈り込んでいる分、
勢いがあって読みやすいのが花輪訳で、
個人的には一番お薦めです。

清水訳は全部を丁寧に訳してあるにもかかわらず、
ほとんど滞りを感じることなく読み通せる、
文章のうまさに感心する翻訳です。

荒川訳は花輪訳を大人向けに荒々しくした感じで、
よりかっこいいのですが、活字がすり減って読みにくいのが難点です。


※第197冊目。総計2,087,085語。


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2018年12月30日日曜日

【196冊目】Joseph Conrad, Lord Jim(Oxford Bookworms Stage 4)

やさしい英語の本、通算196冊目は、
オックスフォード・ブックワームズの
レベル4(1,400語レベル)の10冊目として、

ロシア領ポーランドに生まれ、
イギリスに帰化した作家ジョゼフ・コンラッド
(Joseph Conrad, 1857年12月3日-1924年8月3日)の
小説『ロード・ジム Lord Jimを読みました。

作者41歳から42歳の時
イギリスの月刊誌『ブラックウッド』の
1899年10月号から1900年11月号に掲載されました。


Joseph Conrad
Lord Jim

〔Oxford Bookworms Level 4〕
This simplified edition (c) Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms 1997
19,160語

インターネットで、
オックスフォード・ブックワームの目録を眺めているうちに、
気になって購入した1冊です。

まったく知らなかったのですが、
書名のみ知る小説『闇の奥』の著者
コンラッドによる小説ということで、

2011年には
柴田元幸(しばたもとゆき)氏による
新訳も刊行されていたことを知り、
「海洋冒険小説の傑作」という見出しに惹かれ、
柴田訳をとなりに置きながら読み進めてみました。


柴田元幸(しばたもとゆき)訳
『ロード・ジム』
(河出書房新社〔池澤夏樹個人編集=世界文学全集Ⅲ-03〕2011年3月◇469頁)

柴田訳はさすがに良くこなれた訳文で、
滞りなくすいすい読み進められますが、

469頁もある大著なので、
まとまった時間が取れるときでないと、
読了するのは難しそうです。

今回はやさしい英語での挑戦なので、
本文86頁で読めてしまうのはありがたいです。

実際に読んでみると、
著者の鬱蒼とした行き場のない感情をいっぱいに詰め込んだ、
熱量の高い小説で、

海洋冒険小説という枠組みには納まらない、
強い印象が残りました。

自らの心の弱さを弱さとして受け入れられない、
若さの残る主人公が、
自らの名誉を最終的に回復していく小説、
と言えないこともないのですが、

暗めの筆致で、
ここまで描かなくてもと思うくらいびっしりと、
複雑な構成で書き込まれているので、

読んでいて共感よりは、
そこまでして付き合いたくない気持ちにもさせられました。

もっと若いころ、
10代か20代くらいまでに読んでいたら、
違う印象を受けたかもしれません。

若さゆえの整理のつかない、
もやもやした自分の心と向かい合いたい時に読むと、
共感しそうな作品でした。

今の私が読むには、少し重すぎました。

英文はそのままでも大体読めますが、
あらすじが頭に入っていないと分かりづらい所もあるので、
翻訳を参照することをお薦めします。

コンラッドの作品、
不思議な魅力を感じたことも確かなので、
また少し時間を置いて挑戦したいと思います。


※第196冊目。総計2,071,337語。


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2018年12月15日土曜日

【195冊目】Robert Louis Stevenson, Treasure Island(Oxford Bookworms Stage 4)

やさしい英語の本、通算195冊目は、
オックスフォード・ブックワームズの
レベル4(1,400語レベル)の9冊目として、

スコットランド生まれの小説家
ロバート・ルイス・スティーヴンソン
(Robert Louis Stevenson, 1850年11月13日-1894年12月3日)
の小説『宝島 Treasure Islandを読みました。

筆者が31歳の時、
イギリスの児童文学の週刊誌『Young Folks』の
1881年10月1日号から1882年1月28日号に
筆名「Captain George North」、
題名Treasure Island, or the mutiny of the Hispaniola
で発表されました。

単行本は33歳の時(1883年11月)に、
Treasure Islandの書名で刊行されました。


Robert Louis Stevenson
Treasure Island

〔Oxford Bookworms Level 4〕
This simplified edition (c) Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms 1993
15,125語

やさしい英語では、

2012年12月に
マクミラン・リーダーズのレベル3
(1,100語レベル/9,863語)、

2014年2月に
 ペンギン・リーダーズのレベル2
 (600語レベル/5,723語)

で読んで以来、3度目の挑戦となりました。

あらすじはもう頭に入っているので、
記憶をたどり直す感覚で、
最後まで楽しみつつ読み進めることができました。

スティーヴンソンの作品は、
『宝島』に限らず、
はじめのうち独特の読みにくさがあって、
今一つ馴染めないことが多かったのですが、

読み込むほどに味わいが増してきて、
これはぜひ、原文のままでも楽しめるようになってみたいと
思えるようになって来ました。


  ***

翻訳は、読みやすさ重視なら、
偕成社文庫の金原瑞人(かねはらみずひと)訳がお薦めですが、

今回、スティーヴンソンらしさを含め、
できるだけ忠実に反映した翻訳として、
岩波少年文庫の海保眞夫(かいほまさお)訳をとなりに置いて読み進めました。

多少生真面目な印象の訳文なので、
小中学生がこれを読んで夢中になるかはわかりませんが、
大人が読む分には良くできた翻訳だと思いました。

その他、
すぐに手に入る翻訳をいくつか購入したので、
合わせて掲げておきます(全く網羅的ではありません)。

名作であるだけに、
少し前のものでも特に読みにくさを感じない、
優れた翻訳が多くありました。

個人的には、
講談社青い鳥文庫の飯島淳秀(いいじまよしひで)訳も、
勢いのある訳文で気に入っています。


鈴木恵(すずきめぐみ)訳
『宝島』
(新潮文庫、2016年7月◇366頁)


村上博基(むらかみひろき)訳
『宝島』
(光文社古典新訳文庫、2008年2月◇413頁)


海保眞夫(かいほまさお)訳
『宝島』
(岩波少年文庫、2000年10月◇391頁)


金原瑞人(かねはらみずひと)訳
『宝島』
(偕成社文庫、1994年10月◇382頁)


坂井晴彦(さかいはるひこ)訳
『宝島』
(福音館書店、1976年10月◇460頁)

 ⇒『宝島』
  (福音館文庫、2002年6月◇476頁)


飯島淳秀(いいじまよしひで)訳
『宝島』
(ポプラ社版〔世界の名著27〕1969年1月◇334頁)

 ⇒『宝島』
  (講談社青い鳥文庫、1994年7月◇389頁)


阿部知二(あべともじ)訳
『宝島』
(岩波文庫、1963年6月◇310頁)

 ⇒『宝島』
  (岩波少年文庫、1967年12月◇367頁)


野尻抱影(のじりほうえい)訳
『宝島』
(筑摩書房、1956年◇323頁)

 ⇒『宝島・ジーキル博士とハイド氏』
  (東京創元社〔世界大ロマン全集56〕1959年1月)

 ⇒『宝島・ジーキル博士とハイド氏』
  (ちくま文庫、1990年7月◇427頁)


佐々木直次郎(ささきなおじろう)訳
『宝島』
(岩波文庫、1935年10月◇323頁)

 ⇒『宝島』
  (岩波少年文庫1、1950年12月◇370頁)

 ⇒『宝島』
  (新潮文庫、1951年3月◇288頁)

佐々木直次郎(ささきなおじろう)
・稲沢秀夫(いなざわひでお)共訳
『宝島』
(新潮文庫、1970年*月。70刷改版、1997年7月◇336頁)

※佐々木氏は1943年に亡くなっている。
 その後の各バージョン出版の経緯については調査中。


※第195冊目。総計2,052,177語。




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