2011年4月5日火曜日
『自助論』8章~自己修養
スマイルズ著、竹内均訳『自助論』
(三笠書房 知的生きかた文庫、2002年4月改訂新版)より。
※印は栗木によるコメントです。
8章 自己修養
『卓抜な技量は、努力によってのみ与えられる。
すぐれた才能を持っていれば、勤勉がその才能をいっそう高めるだろう。
能力が人並みであっても、勤勉がその欠点を補うだろう。
努力が正しい方向へ向けられてさえいれば、
決して裏切られることはない。
努力なしには、何ものも得られない。』
(画家レーノルズ)204
※努力は基本だと思います。
こつこつした努力の積み重ねが、すべて。
注意すべきは、
正しい方向への努力でなければ、
よい結果はほとんど期待できない、
ということです。
自分で何も考えず、
がむしゃらに努力するだけでは、
なかなかよい結果に結びつきません。
努力は皆がしているもの。
彼我をわけるのは、
正しい努力の積み重ねになってるかどうか、
なのだと思います。
「自信のなさからくる優柔不断な態度も、
人間の進歩をはばむ大きな性格上の欠陥だ。
自信を持ち積極果敢にチャレンジしなければ、
大きな成果など望むべくもない。」208
※自信をもつこと。
これだけ努力したのだから、
結果は気にしない、
といえる所まではがんばる。
優柔不断とはあまり縁がない性格なので、
すんなりと理解できる言葉です。
何かこれだけは、
と思える何かを手に入れることができると、
確かに強いなあ、と思います。
「人間の美徳は、
自分の力で精一杯努力して学んだ時に初めて目覚める。」209
※精一杯のところで勝負する。
しかしそれは、
倒れてしまって、
健康が維持できない所まで、ではない。
健康を維持できる範囲で、
明るく朗らかに生きていられる範囲で、
精一杯な努力をする、
ということだと思います。
「ほんとうの意味で賢くなりたいと願うなら、
まず勤勉の習慣を身につけ、
先達のようにねばり強く努力していく他はない。」210
※勤勉は基本です。
勤勉であることを否定しては、
何も先には動いていかないでしょう。
まずは努力しなければ、
何もはじまりません。
それも小さいうちから、
何ごともまじめに努力する習慣をつけておきたいものです。
『何かに打ちこんでいるほど幸せなことはない。』
(詩人グレイ)211
※することが何もないのはとても苦しい。
それは学校で勉強すること、
外で仕事をすることでなくても、
全然かまわないでしょう。
何かしら、打ち込む対象があることは、
とても幸せなことだと思います。
『さびついてしまうよりボロボロにすり切れたほうがましだ』
(カンバーランド主教)211
※熱血!
そんな生き方も、時にはいいでしょう。
若いうちなら、それでもいい。
「もう一つ忘れてならないのは、
本からいくら重要な経験を学んだとしても、
しょせんは耳学問の域を出ないという点だ。
それに反して、
現実生活から得た経験は真の知恵となる。
わずかな知恵でさえ、
膨大な量の耳学問よりはるかに値打ちが高い。」213
※現実から逃げない。
現場で得た結論が一番大切。
現実から離れるための対象として、
書物の中に逃げこまない。
現場で切磋琢磨されるなかでしか、
人は磨かれないものと知る。
知識を増やすことが何になろう。
それだけでは、何にもならない。
「実践的な知恵は、
自己修養と克己心を通じてのみ得られる。
この両者の根底には自尊心が横たわっている。
希望も自尊心から生まれる。
希望は力の伴侶であり成功の母だ。
切に望むものはどんな奇跡でも成し遂げられる。」214
※自己肯定感。
自分のことを認める。
うぬぼれるわけでもなく、
自己否定に走るわけでもなく。
自分のことを、
まあ、これでいいのかな、
とそれなりに肯定できる感情。
それが自尊心。
その上に、
自己修養、克己心の芽が、
そして希望さえも育ちゆく。
「自尊心とは、
人間が見にまとう最も貴い衣装であり、
何ものにもまして精神を奮い立たせる。」214
※プライドというと、
何となく軽い感じがありますが、
生きているだけでもうけものというか、
生きていて良かった、
日々それなりに楽しいな、うれしいな、
と思える状態の、私でありたい。
『慎み深く正しい自尊心は、
立派で有意義な業績を生む土壌であり源泉である』
(詩人ミルトン)215
※うぬぼれまで行くと、
自虐的よりは良いような気もしますが、
慎み深く正しい、という前提は大切だと思います。
「下ばかり見ていては人は大志を抱けない。
向上したいと本心から望むなら、
顔を上げなくてはいけない。」215
※まず前をみよう。
とりあえず、
四十が目前に迫ってきて、
人生半分生きてしまった現実に向きあうと、
後ろを見ている時間が
もったいなくなって来ています。
「人生の成功は、
知識ではなく勤勉によって得られる。」217
※高学歴=人生の成功ではない。
そこから先に、
まだもう一山も二山もあるんだな、
とわかったところでしょうか、
『結局のところ、人生には真剣にならざるを得ない部分がある。』
(劇作家ダグラス・ジェロルド)218
※斜めにかまえて生きていても、
まっすぐ前をみて生きていても、
同じように人生は過ぎていく。
それならば、まっすぐ生きる方を選びたい。
「人間をつくるのは安楽ではなく努力……便利さではなく困難である。」222
※安楽に流れない。便利さに安住しない。
困難さに出会ったら、
ここで今、私は試されているんだ
と思えるようにしたい。
『私は、順調ではなやかな人生を送っている人間より、
失敗してもそれをめげず生きている人間に望みをかけている。』
(政治家チャールズ・フォックス)222
※失敗していない人間は、
ある種の弱さがあるということ。
しかしわざわざ失敗したい人間はいないわけで、
もし仮に、ぶざまな失敗をしてしまうことがあれば、
そこから先をどう生きるかによって、
真価が問われていると考えたい。
「『何を行なうべきか』に気づくのは、
『何を行なってはいけないか』を悟る時だ。
過ちを犯さなければ、
いつまでたってもそこに気づくことはない。」223
※過ちを恐れない。
それは難しいことかもしれない。
でもしかし、
過ちを糧とすること、
それは誰にでもできる。
過ちを過ちとして認めるすなおさを、
持てるようにしたい。
「逆境に置かれたり苦難を体験したりするのは、
考えただけでもゾッとする話だ。
だが実際に逆境と向きあうハメになったら、
勇猛果敢に戦わねばならない。
むしろ逆境の中でこそ、
われわれの力は発揮される。」226
※逆境に立ち向かう。
死なない程度に立ち向かう。
明らかに正気を保てなくなるような逆境であれば、
それは一時退散して、避難して、
ひたすら休養して、英気を養うべきでしょう。
ここで言っているのは、
それなりに元気で、
戦える力が余っているはずの状況で、
逆境から逃げてはいないのか、
ということだと思います。
『困難と闘いながら、人間は勇気を高め、才能をみがき上げていく。
われわれの敵は、実はわれわれの味方なのだ。』
(政治思想家バーク)227
※自分を高める生き方は、
簡単なことではありません。
でも充実した生き方です。
私は、そうした生き方を選びたいと思います。
「1000回あこがれるより、
たった一度でも勇敢に試してみるほうがずっと価値がある。」228
※あこがれる暇があったら、
目の前で見えることをまず実践すべし。
あこがれるのももちろん大切でしょう。
でもあこがれるだけで終わりそうな時には、
思い出したい言葉です。
『困難は乗り越えるためにある。
だから、ただちに困難と取り組め。』
(法律家リンドハースト)228
※困難から逃げない。
程度にはよる。
死ぬよりは、逃げたほうがいい。
ぶっ倒れるよりは、逃げたほうがいい。
でもギリギリまでは、努力したい。
一度の人生のうち、おそらく数回までなら、
ぶっ倒れるのもいいかもしれない。
ただそれは若いうちでないと、
そのままお別れになることもあるから、
気をつけましょう。
『とにかく努力を続けなさい。
そうすればいつか必ず自信と力が湧いてくるでしょう。』
(啓蒙思想家ダランベール)229
※とにかく努力は基本。
それがすべて。
すべては、そこからはじまります。
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