2011年4月12日火曜日

『自助論』9章~すばらしい出会い



スマイルズ著、竹内均訳『自助論』
(三笠書房 知的生きかた文庫、2002年4月改訂新板)より抜粋。
※印は栗木によるコメントです。

9章 すばらしい出会い

ことわざや格言も、
 確かにわれわれの進むべき道を示してはくれる。
 だが実際に人間を導くものは、
 ものいわぬ無数の手本であり、
 生活をとりまく現実の模範なのだ。
」237

※よき師にめぐり逢うことは、本当に大切なことだと思います。
 でもそれはまた、難しいことでもあります。
 師と弟子どちらかの一方通行ではうまくいかないわけで、
 狭く貧しい心しか持たない私が、
 広く豊かな心を持った師にめぐり逢う幸せは、
 なかなかないことと、知らなければいけなかったなあと、
 今にして反省しています。


家庭は社会の結晶であり、
 国民性の核を成している。
 われわれの公私の生活を支配する習慣や信条、主義主張は、
 それが清いものであれ汚れたものであれ、
 家庭の中で培われる。
」238

※家庭では実際
 いろいろなことが起きるわけですが、
 それでもやはり、
 家庭がすべての礎であると思います。
 そのことを忘れずに、
 まずはわが家庭に
 よい流れを呼び込めるようにすることが
 大切だと思います。


社会の中でわれわれが属している最小単位、
 すなわち家庭を愛することが社会全体を愛するための第一歩である

 (政治思想家バーク)238

※社会に目を向ける、すべての前提として、
 家族を愛する現実が先に立たないと、
 いろんなモノが狂って来るなあ、と思います。
 家族を飛び越えて、
 視点がいきなり個人へと向かうことのないように、
 心がけたいものです。


現代に生きる人間は、
 それに先立つ幾世代の文化によって育てられた果実に他ならず、
 はるか遠い過去とずっと先の未来とを
 行動と手本によって結びつける磁石の役割をになっている。
」241

※幾世代にもわたるご先祖さまの努力があって
 今の私があることへの感謝は忘れてならないと思います。
 過去をしっかりと見つめることで、
 未来への責任ある視点が養われて来ます。
 過去とも未来とも切り離された
 宙ぶらりんの私であることを、
 恥だと思うようにしたい。


立派に歩んだ人生と正直一途な人格は、
 子孫と社会への大切な遺産である。
 このような人生や人間性は、
 美徳の何たるかを雄弁に教え、
 悪徳をきびしく批判する。
」243

※自分をすてること、他人のために生きることが、
 何より大切である、という価値観は、私が受けてきた教育では、
 それほど当り前のものではなかったように思われます。
 でも社会に出て、自分よりも、
 他人のために働いてみることで、
 自分の心のすき間がどれほど埋められるものなのか、
 何が本当の幸せなのか、教えられたように思います。


人に何かしてもらいたいと望むなら、
 自分が率先してそれをやるべきです。
 口先ばかり達者でも何の役にも立ちません

 (チザム夫人)244

※実践することは、
 しんどくて大変なことなので、
 ついつい口先ばかりになりがちなのが、
 ふつうの人間だと思います。

 そんな私を叱咤激励する言葉を
 日々かみしめて、
 まず私が席をたって仕事をする、
 そんな私でありたい。


よい忠告を与えながら悪い手本を見せているのは、
 左手で家を建てながら右手でそれを取り壊しているようなものだ。
」247

※教育者としての自分への戒め。
 かといって、自分の心に嘘をついてもいけないので、
 ごく自然に、よいお手本が示せるように、
 日々の生活を戒めていけたらいいです。


つまらぬ友と付き合うくらいなら一人で生きよ
 (海軍将校コリングウッド)248

※これは厳しい言葉です。
 実際は、人は本物の孤独には耐えられないものです。
 特に、味方となる家族すら一人もいない状況だと、
 つまらぬ友であれ、何であれ、
 一緒にいたいと思うのが人情でしょう。
 つまり、つまらぬ友を遠ざけて、
 栄光ある孤独を歩むためには、
 家族の惜しみない愛情が降りそそぐ環境に
 生きる必要があるのでしょう。


よき友と付き合えば必ずよい感化を受ける。
 野辺を行く旅人の衣に草花の香りがしみつくように、
 よい交際はすばらしい恩恵を手みやげに与えてくれる。
」249

※よき友との出会いは、
 大切にしたいものです。
 ただし、実際のよい巡り合いとは、
 一生のうちに何度もあることではないので、

 周りの人は、
 みな自分の師と感じられるような
 心境を持てるようになると、
 より一層、
 よい出会いに包まれるようになるのでしょう。


真の人生を生きた人間の伝記には、
 現代にも実を結ぶ貴重な種子がぎっしり詰まっている。
 このような伝記は真実の声であり、
 現代に生きる英知だ。
 詩人エミルトンの言葉を借りれば、
 それは『巨匠の精神に脈打つ血液』に他ならない。
」252

※偉人の伝記を読んで、
 心ときめかせる経験は、
 ぜひ子どものうちに経験しておきたいものです。

 そして、
 学ぶことの意義からいえば、
 大人にとっても、
 伝記はたいへん興味深い、
 知的財産だと思います。

 伝記と歴史から学ぶことは
 とても多いです。


よい手本は人々を引きつけ、
 将来をになう世代へ伝えられていく。
 したがって書を読む場合も、
 交友関係と同じように良書にふれ、
 その最良の部分を見習うことが大切だ。
」254

※数多くある書物の中で、
 その何割かに、
 人の精神を病ませる影響のある、
 悪書があることは、
 注意しておいたほうが良いでしょう。

 悪書をたくさん読む害を考えれば、
 まだ、何も読まないで
 日々の生活に汗をかいていたほうが
 健全な精神を保っていけると思います。


快活さは、人間の精神に弾力性を与える。
 元気で働いていれば恐怖心は消え去り、
 どんな困難に直面してもヤケを起こしたりしない。
 それは希望が心の支えになるためで、
 希望に満ちた精神は成功のチャンスを決して逃しはしないのだ。
 希望に燃えている人の心は、
 健全で幸福そのものである。
」256

※快活さがいかに大切か、
 一度それをなくして、泥沼にはまって、
 快活さを忘れた自分に出会い、もがき苦しんで、
 大きな失敗をしてみると、よくわかります。
 時にがんばりすぎる所があるので、
 心が快活さを失い出したら、
 一息ついて、リセットして、がんばり直すことを覚えたら、
 人生再び開けて来たようです。
 心の快活さを保つこと、
 私の人生の基本です。

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