2011年10月15日土曜日
【読了】ドナルド・キーン 『明治天皇(四)』
ドナルド・キーン著、角地幸男 訳『明治天皇(四)』
(新潮文庫、平成19年4月。初出は平成13年10月)
少し時間がかかりましたが、
キーンさんの大作『明治天皇』、
ようやく読み終えました。
日本の国民ですので、
明治天皇の名を知らないわけはありませんが、
どんなお方であったのかは、
詳しく勉強する機会がないまま、
今まで生きて来ました。
大変勉強になりました。
訳書でありながら、
最後まで飽きることなく、
読了することができました。
これはキーンさんの並外れた筆力とともに、
角地幸男さんのこなれた邦訳による所も大きいでしょう。
内容面では、
日韓併合に到るまでの経緯を
さめた筆致で詳しく伝えてあったのも
ありがたかったです。
また、大逆事件の経緯を
幸徳秋水の小伝とともに詳しく描き出し、
最後に、五・一五事件、二・二六事件などの
政府を転覆せんとするテロ行為と
結びつけているところも新鮮でした。
日本では、
二・二六事件の源流を、
大逆事件に結びつける考え方は、
ふつうになされているのでしょうか。
表面的な左右の思想に惑わされなければ、
どちらも政府転覆を是とする思想に貫かれた
いまわしい事件です。
Amazonで調べてみると、
英語の原著のほうも、まだ手に入るようなので、
近々手に入れておこうと思います。
Donald Keene
Emperor of Japan: Meiji And His World, 1852-1912
Columbia Univ Pr; New Ed版(2005)
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