イーディス・ネズビット(1858.8-1924.5)が執筆した
小説『鉄道きょうだい』(若草の祈り)を読みました。
ネズビット48歳の時(1906年)に出版された作品です。
イーディス・ネズビット著
中村妙子(なかむらたえこ)訳
『鉄道きょうだい』
〔教文館、平成23年11月〕
本書については何も知らなかったのですが、
ペンギン・リーダーズの目録をながめていた時に、
『The Railway Children』の書名が気になり調べてみたところ、
昭和46年(1971)12月に
『若草の祈り』という邦題で公開された映画の原作で、
同年10月に岡本浜江氏の翻訳で、
角川文庫から出版されていることもわかりました。
こちらは平成3年(1991)頃まで再版されていたようですが、
今は古本でしか手に入りません。
古本で手に入れようか迷っていた時に、
中村妙子(なかむらたえこ)氏による新訳が
『鉄道きょうだい』の邦題で出ていることを知り、
早速手に入れて読んでみました。
父が突然姿を消したのち、
母とともに田舎で過ごすことになった
3人きょうだい(姉弟妹)によって繰り広げられる
さまざまな生活模様が描かれています。
住まいの近くに鉄道の駅があって、
鉄道に関わる人びととの心温まる交流なども描かれており、
当時のイギリスの鉄道の様子が知られるのは興味深かったです。
父親が姿を消したのは
政治的な理由がからんで来るのですが、
物語の中では、
父親がいない、という現実にのみ向き合って、
ネズビットの政治的な主義主張が絡んでくることはないので、
ハッピーエンドの結末とともに、
楽しんで読める児童文学の名作の一つだと思いました。
中村妙子氏の翻訳もよくこなれており、
丁寧な表装とともに、よい一冊と出会えました。
※Wikipediaの「イーディス・ネズビット」を参照。
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