43歳の時(昭和12年〔1935〕)から4年かけて執筆した
小説『宮本武蔵』の第8巻を読み終えました。
今年の2月から読み始めていますので、
毎月1冊くらいのペースで、10ヶ月ほどで読み終わったことになります。
吉川英治 著
『宮本武蔵(八)』
〔新潮文庫、平成25年9月〕
※全編の初出は
『朝日新聞』昭和10年(1935)8月23日から
昭和14年(1939)7月11日まで。
最終巻に入ると、
これまで広げてあった筋書きが、
終結に向かって一つずつ解決していく様子が読み取れて、
あとは最後まで、
一気に読み終えることができました。
読み終わるまでは、
宮本武蔵が亡くなるまでのことが描かれていると思っていたので、
佐々木小次郎との戦いまでで
話がプツリと途切れてしまうのは、
若干意外な感じもありましたが、
もともと史実としての
「宮本武蔵」像にこだわった小説ではないので、
ちょうど良い加減の幕切れのようにも思いました。
また晩年の作である『五輪書』に一切言及されていなかったのも意外でしたが、
40代前半の吉川氏にとって、
晩年の武蔵がたどりついた境地とはまだ一定の距離があったのかもしれません。
全体を読んで感じるのは、
天才的といえる
吉川英治の文章の冴えです。
とてもわかりやすいのですが、
日本人としての心に訴えかけてくる、
独特の雰囲気のある文章で、
このレベルの文章は、
どうあがいても私には書けないな、
としきりに感心しながら読み進めていました。
読後に爽快な印象を残す小説で、
40代前半のうちに一度読んでおけて良かったです。
新潮文庫版の吉川英治、次は年明けに、
長編『新・平家物語』が出るようなので、そちらもまた読んでいこうと思います。
※Wikipediaの「宮本武蔵(小説)」「宮本武蔵」を参照。
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