谷崎潤一郎
(明治19年〔1886〕7月-昭和40年〔1965〕7月)の
小説『細雪(ささめゆき)』の上巻を読みました。
57歳の秋(昭和17年〔1942〕10月頃)から、
62歳の春(昭和23年〔1948〕5月)にかけて執筆された小説です。
谷崎潤一郎著
『細雪(上)』
(新潮文庫、昭和30年10月)
※平成23年3月改版。
谷崎潤一郎は、
近々「谷崎源氏」を読もうと思っているのですが、
その前に谷崎本人の作品で、
面白そうなものはないかなと思って探しているうちに、
『細雪』に出会いました。
中公文庫と新潮文庫から出ていますが、最近、
新潮文庫のほうが改版され、活字が大きくなりましたので、
読んでみることにしました。
まずは上巻を読んでみると、
昭和10年代の関西を舞台とした
上流社会に生きる4人姉妹のお話で、
恋愛小説というほどに、
色々なことが起きるわけでもないのですが、
なぜか先へ先へと読ませる力のある文章で、
関西弁には馴染みがないはずが、
古き良き時代の日本を懐かしむ感じがして、
独特の魅力を味わうことができました。
私の父や母が生まれた頃の出来事なので、
別世界というほどの距離は感じずに、
むしろ読んでいて懐かしい感じがして、
現代小説を読むのと何も変わりなく、
楽しい時間を過ごすことができました。
胸躍らせる恋愛や、
起伏に富んだ冒険が展開されるわけでもなく、
日常が語られていくだけなのに、
なぜか面白い。
恐らく20、30代の私に、
この物語の面白さはわからなかったと思いますので、
それだけ年を重ねたということなのでしょう。
※Wikipediaの「谷崎潤一郎」「細雪」を参照。
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