2014年9月1日月曜日

【読了】マーク・トウェイン著(河田智雄訳)『王子とこじき』〔偕成社文庫〕

アメリカ合衆国の作家
マーク・トウェイン(Mark Twain 1835.11-1910.4)の
小説『王子とこじき』を読みました。

トウェイン46歳の時(1881.12)に出版された作品です。


河田智雄(かわだともお)訳
『王子とこじき(上・下)』
(偕成社文庫、昭和54年1・2月)

今年の2月に、
ペンギン・リーダーズのレベル2(600語)
で読んだのをきっかけに、翻訳を探していました。

はじめに手に入れたのは、
最新の大久保博(おおくぼひろし)訳でした。


マーク・トウェイン著
大久保博(おおくぼひろし)訳
『王子と乞食』
(角川書店、平成15年5月)

表紙に
「1881年刊行の初版本を再現、全192点のイラストを完全収録」
とあり、とても凝った作りで、

一語一語わかりやすくていねいに訳してあって、
好感が持てる翻訳だったのですが、

いざ読みはじめてみると、
先へ先へと読み進める文章自体の魅力に欠けるようで、
途中で飽きてしまいました。


その後、
偕成社文庫の河田智雄(かわだともお)訳を手に取り、

こちらの方が読みやすかったので、
河田訳で読み進めることにしました。

こちらも完訳ですが、
大久保訳よりざっくりした感じで、

子供向けにひらがなを多めに使い、
誰にでも読みやすく仕上げてありました。


それでも、
実は上巻を読み終えたあたりで、
先が見えてしまうというのか、

乞食にせよ、王子にせよ、
どちらも一般人には感情移入しにくい立場だからか、

また飽きが来て、しばらく放置しておりました。

お盆明けに改めて下巻を読みはじめ、
そのまま読了となりました。

話の筋は、
まさか王子が死んでしまうわけもなく、
乞食が本当に王様になってしまうわけもなく、

今読むとそれほど奇想天外な感じがしないので、
そんなにお薦めの話でもないのかな、
と思っていたところが、

最近復刊された村岡花子訳を手にとって驚きました。


村岡花子 訳
『王子と乞食』
(岩波文庫、昭和9年7月。第24刷改版、昭和33年5月)
 ※初出は世界家庭文学大系、平凡社、昭和4年。
 
逐語訳にはなっていませんが、
村岡氏の文章自体にいい味があり、

物語もサクサク先に進んでいく感じで、

大久保訳・河田訳と比べれば、
圧倒的に読みやすい翻訳だと思いました。

初出時から、
3度稿を改めているのも影響しているかもしれません。


少し時間を置いてから、
次はこの村岡訳で読んでみたいと思っています。

2 件のコメント:

  1. 村岡花子氏から児童文学の講義を受けた方から話を伺う機会がありました。読み聞かせが巧みでまた読み手の解釈で言葉を変えないように指導していたそうです。翻訳者が考えて選んだ言葉を大切にしてほしいとの考えがあったそうです、。

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  2. コメントありがとうございます。村岡氏の翻訳、最近いろいろと復刊されていますので、読み直していこうと思います。

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