快活さを失わない範囲で、
強い意志を示すことは大切だと思います。
サミュエル・スマイルズ著、竹内均訳
『自助論』(三笠書房 知的生き方文庫)より。
※印は栗木によるコメントです。
5章 意志と活力
「活力を高め充実させることは非常に重要だ。
価値ある目標を追求しようとする決意は、
人間のあらゆるすぐれた特性の土台を成している。」102
※活力とは、元気と言い換えてもいいでしょうか。
元気がないと、何も始まらない。
元気があるから、決断できる。
忙しいと、
自分が元気があるのかないのか、
わからなくなりがちです。
ものすごく疲れているな、
と感じた時は、思い切ってお休みする勇気も必要です。
本当は疲れているのに、
元気に見せかける、というのではいけないわけで、
毎日しっかり休んで、
気力を充実させるサイクルを、
生活の中に取り入れていきたい。
「どんな分野であれ、
成功に必要なのは秀でた才能ではなく決意だ。
あくまで精一杯努力しようとする意志の力だ。」103
※才能があっても、
元気がなくて、決断できなくて、
努力もしない人が、成功するだろうか?
まずは前に進もうとする、意志の力が必要です。
『私が唯一正しい教えを受けたのは、
世間という学校である。
そこでは”艱難辛苦”という
厳格で高貴な教師にめぐりあった。』
(地質学者ヒュー・ミュラー)104
※我々は現実の中で生きる他ないわけですから、
現実の「世間」で生きるための智恵は、
それなりに必要です。
また机上で考えた正しさよりも、
世間で教えられる正しさのほうが、
真実をついていることは多いものです。
「真に価値ある目標は、
勇猛果敢に取り組まなければ成就できるものではない。
人間の成長はひとえに、困難と戦おうとする意志の力、
すなわち努力いかんにかかっている。」105
※心とからだがほどほどに健康でなければ、
ひとつの物事を成し遂げるのは難しいものです。
この一線をこえたら、自分の心と体のバランスがこわれて、
元気が無くなって、いい仕事ができなくなる、
という一線を、自分で把握できるようにしておくことは、
とても大切だと思います。
自分の心とからだにとって無理だと思ったら、
まだ自分で制御が効くうちに、
心とからだを休めてあげることが大切です。
ただし、その決断は、
人によって意外に難しいものかもしれません。
『あなたは、
望めばどんなものにでもなれる。(中略)
だが、謙譲や忍耐、節度や寛大さを身につけたい
と強く願わない限りは、
何を望んでもかなえられはしないだろう。』
(ある聖者の口ぐせ)106
※謙譲、忍耐、節度、寛大。
心に元気が満タンであれば、
こうした心の持ちようはむしろ気持ちの良いもので、
ますます元気になって来ます。
そんな元気な心で、
さまざまな事柄に立ち向かっていけば、
おおよそのことは確かに解決できると思います。
『意志を持って生きるというのは、
われわれにはいちばん身につけやすい習慣だ。
だから、強く確固たる意志を持つよう努力しなさい。』
(フランスの宗教家ラムネ)108
※自分の人生を、自分で楽しく生きてくこと。
それが一番最初。
そこから少しずつ、
周りへの思いやり、愛情へと広がっていく。
意志を持って生きるとは、
自分の人生を楽しく生きることでもある。
「人間の意志というものは、
方向などおかまいなくしゃにむに突き進んでいこうとする。
したがって、意志に正しい目標を与え、
適切な方向に舵をとるようにするのが肝心だ。」109
「『私にはわからない』『できっこない』『無理なことだ』……
これらの言葉を、彼はとりわけ忌み嫌った。
そしていつも、『学べ、行なえ、試みよ!』と叫び続けたのである。」
(ロシアの武将スワーロー)110
※後ろ向きの考え方が、
よい結果をもたらさないことは、
ふつうに理解できることなのですが、
実際に、自分の人生で、
悪いことが立て続けにおこっているときに、
後ろ向きの考え方にとらわれないでいることは、
なかなか難しいものです。
悪いサイクルを断ち切るために、
まず考え方から変えることができるか。
それはずいぶん大変なことですが、
前向きの考え方をするのに、
お金はいりません。
薬もいりません。
いるのは自分の勇気です。
前向きの考え方をする、勇気がもてるかどうか、
そこが分かれ目だと思います。
『最高に真実なる知恵は、毅然とした決断なり。』
(ナポレオンの好んだ格言)111
※ただただ優柔不断で、
決められない状態になる方は、
組織のリーダーには向かないでしょう。
『強者と弱者の違い、
偉人と取るに足りない人間との違いは、
その人間が旺盛な活力と
不屈の決意を持っているかどうかにかかっている。
ひとたび目標が定まったら、
あとは勝利か死のいずれかしかない……
そう断じ切る決意が大切なのだ。』
(下院議員ファウエル・バクストン)127
※決断することは、
失敗したときの責任を背負うことですから、
負ける覚悟をもてない方は、
延々と、決断を避けるようになるでしょう。
負けたときの覚悟をもつ上で、
たった一人になってしまったとしても、
支えてくれる誰かがいる人は、
その分強いでしょう。
人はなかなか、
たった一人の孤独には勝てないものです。
日々元気でいて、
必要な決断を下し続けることは、
なかなか楽しいことでもあります。
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